これからはPDCAではなく、DCAPで
2023/06/24 15:49:34 経営
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PDCAという経営用語があります。とても有名なのでご存知の方も多いと思いますが、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の順番で業務を行い、ActionからまたPlanに戻って業務を循環させることで、継続的な業務改善を促す手法です。
綿密な経営計画を作成し、それに沿って業務を実行する。その業務結果を測定値や経営成績という形で評価し、数値目標等に届かなかった部分の改善点を洗い出し、次の計画に繋げる・・。その流れ自体はとても合理的だと思いますが、私にはひとつ疑問があります。
最初にいきなり「綿密な計画」って立てれますかね?私は自信がありません。高すぎる無謀な売上目標や、逆にほぼ現状維持でも達成できちゃう低いハードルでは意味がないばかりか、その後の実行内容がおかしくなってしまいます。なによりこの早い時代の流れの中、正確に未来を予測して計画を立てるなんて不可能です。誰がこのコロナ禍の時代が来ることを予測できましたか?
それに、もしその計画が上司や金融機関が作成したものだとして、その内容が自分にとって腑に落ちないものだったら・・。やる気になりますかね?人間は自分が腑に落ちないままで行動しても、結果を出せない生き物だと思います。
私は、今の時代はDoから始めるべきだと思います。まずやってみる!そしてやってみた結果を評価する、うまくいかなかった部分の改善点を考える。・・ここまでの材料が揃ってから、初めて計画をたてるのです。五里霧中のなかで頭の中だけで立てた計画と、実際にやってみたことで得られた結果の材料をもとにたてた計画、どちらの精度が高いか、言うまでもないですよね。
何より自分の行動の結果をもとにした計画なので、とっても腑に落ちると思います。やる気も出ますし、結果もきっと違ってきます。つまりPDCAの順番で回すのではなく、DCAPの順番で回すのです。まあ回り初めてしまえばどちらも順番は同じなのですが、DCAPのほうはセンスメイキング(←気になる方はググってみて下さい)という考え方に近くなると思います。
注意しないといけないのは、いきなりDoから始めるって、場合によっては無謀なケースもあると思います。失敗しても引き返せる、失敗時の損失は許容範囲内で収まるようにしておく、というリスクヘッジは必ず必要になります。あとは行動を重視するあまり、自分の行動だけを信じちゃう、自分しか信用できない!という感覚になってしまうのも危険です。偏りすぎないバランス感覚も持つことも必要だと思います。
ライバルとは、もう切磋琢磨しない
2023/05/01 14:36:57 経営
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受験勉強やスポーツにおいて、仲間と切磋琢磨することでお互いが成長するのはとても素晴らしいことだと思います。この考えは経営にも応用され(レッドクイーン理論と言います)、高度成長期ではライバル社と製品の品質向上を競い合うことで、結果として日本製品のネームバリューが上がり、日本企業は世界市場を席巻しました。
しかし時代は移りゆき、ライバルを意識するあまり小さな改変しかできなくなったり、ライバルの真似ばかりしてなんとか自分のシェアを減らさないようにする、といったことに終始するようになってしまいました。その結果IT時代の到来などの大きな変化に対応できなくなり、例えば日本企業がガラケーの細かいスペック競争に気を取られているうちに、スマホ市場で世界から駆逐されてしまいました。時代の移り変わりのスピードが急激になった現在では、ライバルとの切磋琢磨では大きな環境変化に対応できないのです。
もちろん切磋琢磨そのものに意味がなくなったわけではありません。これからは自分の未来のビジョン、つまり「したい・なりたい自分」を想い描き、その未来の自分と切磋琢磨すべき時代に突入しているのだと思います。
YouTubeの視聴履歴で重加算税
2023/05/01 14:35:50 税務調査
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関東でこんな税務調査事例がありました。ユーチューバーが動画投稿による広告収入等約3,600万円を全く申告しておらず追徴課税されたのですが、納税者は当初国税局に対し「確定申告が必要なことを知らなかった」と説明したそうです。ところが国税局は、納税者が「税務調査を受けたらどう対応するか」という内容の動画を閲覧していた履歴と、「確定申告が必要である旨の動画配信サービス会社からの受信メール」の証拠を突きつけ、納税者に重加算税(=40%税金上乗せ)の処分を下しました。
この事例のポイントは、国税局がパソコンの閲覧履歴や受信メールを取得したことに正当性があるかどうかです。マルサの強制捜査ですとパソコンも押収されているでしょうからアウトですが、一般の任意調査ですとこれらの内容を調査官が強制的に確認する権限は、今のところありません。勝手に調査官が確認していたのなら違法調査の可能性があります。
税務調査では、調査官からの「パソコン見せて」の要求は要注意です。請求書のエクセルデータを確認したいと言いながら、このような別の証拠を横目で探している可能性があります。先ほど「今のところありません」と書きましたが、来年から電子帳簿保存法が本格的に施行されます。そうなると例えばEメール本文で代金請求があった場合、そのメールデータ自体の保存義務があり、税務調査で閲覧を求められれば拒否できません。電子帳簿保存法はデータのままでも保存できる便利な改正などではなく、税務当局にこのようなパソコン上の証拠を閲覧する権限を与えるためのものだと解釈すべきでしょう。
インボイス制度のせいで電気代値上げ
2023/04/03 15:41:09 経済一般
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今年10月より導入されるインボイス制度。事業者が登録申請することで、今まで消費税の免税事業者であった者までが消費税の納税義務を負うことになり、増税の影響を受けるわけですが、インボイス制度の影響はそんな直接的なものばかりではありません。一例を挙げますと、インボイス制度のせいで電気代が今後値上げされます。
現在家庭の太陽光発電システムなどで発電した電気は、電力会社が買い取ることが義務付けられています。電力会社からするとこの買い取りは仕入れになり、その電力を販売(企業や一般家庭に送電)します。
電力会社が買い取る電気は一般家庭からが多く、そのうち大半はサラリーマン等の家庭であり事業者でないため、インボイスの登録をしていません。そのため電力会社は10月以降買い取った電力代金の大半につき仕入税額控除ができないので、消費税の納税負担が増加することになります。
まあこんなことは電力会社に限ったことではなく、多くの業種でこのような税負担増加が生じるのですが、なんと資源エネルギー庁はその税負担を電気代値上げで穴埋めする方針だと発表しました。
要するに国はインフレ対策をするわけでもなく、景気浮揚策を講じるでもなく、増税とインフレ誘発のダブルパンチで、国民から搾り取れるだけ搾り取ろうというわけです。ただでさえインボイス制度自体が大がかりの割に対した制度設計のされていない愚策なのに、制度導入により派生的に生じるインフレ影響も読めないという無能ぶりをいかんなく発揮したことになりますね。よその国なら、反対派に国会を襲撃されてもおかしくないと私は思いますが、まあ日本は平和でよかったですね・・。
退職金を自分で準備する方法
2023/03/01 17:56:31 節税
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退職金は、数十年働いたことに対する自分自身への最後の対価です。リタイア後のことを考えるといくらあってもいい!と思いますが、経営者・事業者の方は、自分で準備しておかないと誰も準備してくれません。
もちろん給与・賞与の一部を貯蓄していく形でもいいのですが、退職金として準備するほうが税務的なメリットは大きくなります。①一定の方法で準備(積立)することで、その積立金が経費や所得控除になる、②退職金として受け取ったときの税金が優遇されている、③受け取った退職金は社会保険料等の対象にならない、などです。
とは言え、中退共や特退共といった毎月退職金を積み立てていく制度は、従業員さんには使えても経営者自身には使えませんので、下記の3つの商品を組み合わせて積み立てます。
(1)倒産防止共済を使う
意外に思われるかもしれませんが、倒産防止共済は退職金準備に使うほうがいいと思います。倒産防止共済は年額240万円、累計800万円をマックスに積み立てができ、積み立てなのに全額経費にできるので今や数少ない節税商品の一つですが、最大のデメリットは解約時に全額利益に上がることです。適当な時期に解約してしまうと、解約時に節税した税金を全部吐き出すことになるので、実は使い勝手が難しいのですが、これを退職金積立金と位置づけてしまいます。
800万円まで積み立ててずっと置いておき、退職金を支給する時にこれを解約して全額退職金に充てることで、解約益が全額退職金という経費で相殺され、解約にかかる税負担が発生しません(法人の場合)。また途中での一部解約はできませんが、積み立てておけば契約者貸付も受けられるので、一時的な運転資金借入の担保にもなります。
(2)生命保険を使う
800万円ではとても足りない!という場合には退職金の2階部分という意味合いで法人契約の生命保険を使います。なだらかに解約返戻率が上がっていき、リタイア予定時に返戻率がピークにくる長期平準定期保険などがいいと思います。退職金を3,000万円準備したいなら、生命保険で2,200万円を積み立てるイメージです。以前ほどではないにせよ一部節税効果もありますし、生命保険本来の目的である死亡保障等がつくので、経営リスクも減少できます。トータルメリットが大きいので、法人契約の生命保険は一本はほしいです。ただし損金性のないドル建て変額保険などを勧められた場合は、本当に今ベターな保険商品なのか検討する必要がありますので、契約前に一度ご相談いただければと思います。
(3)小規模共済共済を使う
うちは法人じゃない!という方は小規模共済で積み立てます。こちらも全額所得控除になる積立金です。不動産貸付業の個人や、法人の役員(医療法人、NPO法人等は不可)でも加入できます(契約自体は個人)。小規模共済は一括でも年金形式でも受け取ることができます。