Amazonに反撃か!? 消費税のリバースチャージ方式
2015/11/02 09:55:31 経済一般
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今まで、AmazonやGoogleなどのインターネット関連の外国企業に対して消費税を課税できないことによって、年間で200億円以上の税収が失われているとの指摘がありました。例えば私たちがAmazonで書籍を購入した場合、通常の書籍であれば消費税が課税されていますが、それが電子書籍であった場合には課税されていません。
なぜでしょうか?それは、消費税の取り扱いは、国内取引であれば課税、国外取引であれば不課税になるからです。そして、その内外判定は、資産(紙の書籍)の譲渡であれば、それが引き渡された場所が国内か国外か、役務(電子書籍)の提供であれば、原則役務の提供を行う者の事務所等の所在地が国内か国外か、で判定していたからです。
ちなみに、Amazon.co.jpでのショッピングは日本の消費者がAmazon USAから購入しているという取引形態になっており、日本国内にあるのは倉庫のみという主張です。以前、日本の税務当局がAmazonに法人税の課税をしようとした時も、「日本国内には倉庫はあるが支社等は設置していない」ので日本での納税義務はない、ということになり、アメリカとの国際問題に発展しかけたので矛をおさめた、という「うわさ」もあります。
このことにより、同じ電子書籍でも国内事業者が提供するものには消費税が課され、国外事業者から提供するものには消費税が課されないという、税金の、さらには事業者間の価格競争の不公平感が以前から問題にされていました。
そこで、平成27年10月より消費税のリバースチャージ方式というものが導入されました。これにより、国外事業者からの広告の配信等については「役務の提供を受けた国内事業者に申告納税を課す」こととなりました。つまり、支払う側が消費税を納税する(元々の納税義務者である事業者のみ)という、いままでにない方式になりました。ちょっと源泉所得税の預かりに似ているような感じです。また、電子書籍の配信等については、「国外事業者の登録」がされた国外事業者には新たに申告納税の義務が課されることとなりました。
これにより、上記の200億円以上の税金が全額納税されていくのかは、計算上の問題もあり、そうはならない気もするのですが・・。ともかく、日本の税務当局による「反撃の一手」となったことは間違いないのでしょう。ちなみに、簡易課税事業者等は適用する必要がないのですが、各社の会計ソフトには「特定課税仕入れ」という新しい入力区分がつくられています。
実際のところ、これらの適用を受ける取引や事業者は多くはないのですが、インターネットの普及による国境のボーダーレス化と、それに伴う課税当局側の苦悩がうかがえるところが面白いです。
相続税増税の影響はどうか?
2015/10/01 14:11:46 相続
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ご存じのとおり、今年1月に相続税の基礎控除が4割引き下げられました。事実上の相続税「大増税」です。国税庁の「統計年報」によりますと、亡くなられた方のうち相続税が課される割合は、ここ10年ほどは4%程度で推移しています。ただし死亡者数自体が増加傾向にありますので、2012年の課税対象被相続人の数は52,572人と、2006年の45,177人と比較すると明らかに増加しております。
今年の相続税増税で、この課税される割合は6%台にまで増加するだろうと言われております。増加割合は2%程度ですが、人数にすると25,000~30,000人程度は増加するという計算になりますし、もともと課税対象だった方も百万円単位で納付税額が増加することを考えますと、影響は相当大きいとみていいと思います。なんだか消費税の増税と数字上のカラクリが似ている気がします。
税理士として仕事させていただいている私の感覚としましても、ここ9か月で相続に関する仕事は明らかに増えています。相続税の申告もそうですが、税金以外での相続対策の関心も高くなりましたし、必然的に生前対策としての贈与税の申告も増えそうに思います。改めて影響の大きさを肌で感じている今日この頃です。
業績を立て直すための優先順位とは?
2015/08/24 15:22:23 決算書
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業種にかかわらず、事業の利益はざっくり言いますと以下の計算式で算出されます。
利益 = 売上高 ☓ 粗利率 - 経費
ということは、利益をより上げるためには、(1)売上高を上げる、(2)粗利率を上げる、(3)経費を減らす、のいずれか又はその複数が必要になってきます。
ここまでは当たり前の話なのですが、では業績を立て直す場面においては、(1)(2)(3)のうちどれを最優先にすべきかお分かりになりますか?
答えは、(3)経費を減らす、です。
確かに、売上高が上がることが利益の源泉となるわけですし、全社で団結して目標売上高に向かってまい進することでモチベーションも上がってくることとは思います。
しかしながら、法人や事業にとって最も大切なことは「継続すること」です。事業が継続しなければ社長さんの生活は成り立ちませんし、従業員も路頭に迷わせることになるかもしれません。また、取引先や銀行にも迷惑がかかるでしょう。
そうなると、事業の継続にもっとも必要なのは、いわずもがなですが「キャッシュ(現預金)」です。極論ですが、キャッシュがある限りは売上が下がろうと、赤字が続こうとも、事業は継続できます。逆に、黒字でもキャッシュが底をつけば倒産します。
売上が実際に入金に結びつくためには、営業活動、マーケティング、契約、製造、納品、請求などのプロセスが必要なため、それだけ時間を要します。また、そのためのキャッシュも必要です。業績が好調で資金にも余裕がある段階ではかまいませんが、事業を立て直すという段階では即効性がないため、逆に苦しい期間が増えます。その点、たとえば月3万円の支払家賃を削減することができれば、翌月から即3万円のキャッシュを得ることができます。
たとえ3万円でもあなどってはいけません。月3万円の利益を獲得するためには、その事業の粗利率が30%だとすると、月3万円×12か月÷30%=120万円の売上高が毎年必要です。月3万円の経費削減と、毎年120万円の売上確保・・・、どちらが手を付けやすいでしょうか?
事業継続のためには、売上第一ではなく、利益第一主義にこだわっていただきたいです。
離婚により財産を分けた場合でも税金がかかる!?
2015/07/31 17:00:01 相続
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厚生労働省が平成27年1月に発表した「人口動態統計の年間推計」によると、夫婦の3組に1組が離婚しているそうです(!)。長年連れ添った夫婦が離婚に至った場合、夫婦共有の財産をどのように分けるか(財産分与といいます)、という問題が出てきます。 預貯金などは半分ずつ分けることができますが、今まで住んでいた持ち家はどうするのか?となるといろいろ問題が出てきそうです。いわゆる分け前をどうするかの問題もありますが、気を付けないと予期せぬ税金が課税されるケースも出てきます。
まず、財産をもらう側(専業主婦の方が、ご主人名義の預貯金をもらう場合など)ですが、慰謝料はもちろんのこと、「協議離婚に伴う財産分与による所得」にも、税金は課されません。持ち家をもらった場合も同様です。まあ、当然かなと思いますが。ただし、もらった財産があまりに過大だったり、偽装離婚だったりすると贈与税が課されます。
財産を渡す方はどうでしょうか?なんで渡す側に税金がかかるんだ?という声が聞こえてきそうですが、実はご主人名義の持ち家を奥様名義に変更した場合に、ご主人に「所得税、住民税」が課されるケースがあります。なぜなら、「離婚に伴う不動産の財産分与は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価(売値)とした不動産の譲渡」とみなされて譲渡所得税等が課されるからです。
「はっ?なんで?」という感じだと思いますが、そのような取扱いになっています。ただ、「譲渡」とみなされるので、不動産の買値が上回っていて利益部分がでなければ税金はかかりません。
そして、買値が下回っているときにも、特例を使うことができます。居住用財産を譲渡した場合には、確定申告をすれば3,000万円までの譲渡所得が非課税になります。ただし、これは親族への譲渡は対象外になるため、「離婚をして他人になった後に名義変更」をしないといけません(婚姻期間20年以上なら、2,000万円の贈与税の配偶者控除の非課税枠を離婚前に使う手もあります)。
いずれにせよ、頭の中の「?」マークが消えないのは、私だけではないと思います・・・。
ついに出た!トヨタの「元本保証株」
2015/06/17 11:02:34 株式投資
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トヨタ自動車の6月16日の株主総会で、「AA型種類株式」の発行が承認されました。内容は画期的な、まさに「元本保証」される株式となりそうです。
発行価格は普通株式より2割高くし、配当金は年利0.5%~2.5%で、5年間は売却できないが、5年経てば普通株式と1:1で転換するか、発行価格でトヨタに買い取ってもらうか選択できる、というものです。
つまり、5年後に株価が現在の1.2倍以上になっていれば普通株式に転換して値上がり益を得ることができ、それ以下の株価であれば発行価格で買い取ってもらうことで元本が事実上保証されます。
これは、会社自体によほど安全性、資金力、成長性に自信がないと発行できないわけですが、純利益2兆円をたたきだすトヨタなら「ありかな」と思う方も多いと思います。日本国債5年ものの利率が0.12%前後ですから、魅力的な運用資産であることには間違いありません。