「患者さんにとって」いい歯科医院とは~
2016/04/15 17:26:43 歯科経営
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「いい歯科医院とは」「歯科医院に求めるものは」などの、患者アンケートの集計結果をいろいろな機関、団体が実施しております。結果としては、おおむねこんな感じだと思います。
(1)歯科医師の技術が高く、応対が良い
(2)スタッフの応対が良い
(3)医療機器、アメニティが充実している。清潔感がある
ところで、患者さんは、先生の「技術の良し悪し」がわかるのでしょうか?お察しの通り、患者さんは、先生の(本当の意味での)技術の高さは、ほぼわかりません。当然ながら、患者さんは歯科の治療技術を学んでいませんし、自分が治療を受けている間は目をつぶって口を開けて仰向けになっている状態ですから、自分の目で確かめることもできません。
では、患者さんは、「他の歯科医院では治癒されなかったがこの歯科医院では治った」などの明らかな差異がある以外の場面では、どのように先生の技術の高さを「感じて」いるのでしょうか?
(1)説明が丁寧でわかりやすい
(2)(患者の)話をよく聴いてくれる
(3)情報提供が豊富
この結果から見えることは、患者さんは「高い技術を」と回答していますが、本当は「先生の人柄」の部分を「技術」に置き換えて回答している、ということです。「小学生でもわかるようなわかりやすい説明をしてくれた」こと、「治療時の歯の痛みが苦手なことを先生が理解してくれたこと」が、患者さんにとっての「高い技術」だったりするわけです。
さらに言いますと、本当はこの部分は、「人柄」という漠然としたものではなく、(コーチングなど、)「患者との対話技術」に置き換えることが可能です。ホスピタリティと置き換えてもいいと思います。歯科医院の経営においては、先生の歯科治療技術の向上と経営成績は同じ角度では比例しません。前述の通り患者の言うところの「技術」と、先生の「技術」の認識にそもそも隔たりがあるからです。
そんなことは歯科治療とは関係ないじゃないか、という意見もあるかと思います。たしかに直接的には関係ない部分もあると思います。しかし考えてみてください。歯科治療を行えるのは歯科医師の先生だけですが、だからと言って歯科治療以外のことをしてはいけないわけではありません。患者さんが望まれるホスピタリティが実現できる歯科医院、素晴らしいと思います。
そしてその先生の思いは、スタッフの意識向上へとつながります。また、スタッフ教育の土台となります。そしてそれが、その歯科医院の「風土」として根付いていくようになります。
国外財産への課税強化の発端となった、「武富士事件」
2016/04/11 11:12:21 相続対策
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近年、課税当局は国外財産への課税を強化しております。たとえば、平成26年より、5,000万円以上の国外財産を有する方は、毎年「国外財産調書」を税務署に提出する義務が生じましたし、平成27年7月以降、1億円以上の有価証券等を有する方が国外転出する場合は、原則その含み益に対して(売却していなくても!)課税されることとなっております。
このように国外財産に対して監視の目が厳しくなったきっかけは、いわゆる「武富士事件」と呼ばれる、課税当局が平成23年に最高裁で逆転敗訴し、本税1,600億円と還付加算金(税金につく利息のようなもの)400億円を返還した一件が発端になっております。
事件の概要はこうです。父がオランダ法人の株式(この法人が武富士の株式を所有している)を香港に住む長男に贈与しました。非居住者(ざっくりいえば、国外に住む者)が国外財産を贈与によって取得しても、(日本の)贈与税は課税されません。ちなみに、香港には相続税や贈与税そのものがありません。
これに対し、課税当局や東京高裁は、(1)年間日数のうち65.8%は香港に滞在していたが、日本滞在中は出国する前の自宅(部屋は家財道具等がそのまま維持されていた)で生活していたこと、(2)香港での居住はサービスアパートメント(ホテルとアパートの中間的なもの)であった、等の理由により、本当の生活拠点は日本であり、香港への出国は、(税法的には合法ながら、)不当な租税回避目的の行動だとして、(課税当局の最終兵器とも言える、)行為計算の否認の規定適用を行い、また支持しました。つまり、不当な税金逃れのために国外居住したのだから、国外に居住しているという事実はなかったものとみなす!というのです。
しかし、最高裁ではこの主張を退けました。理由としては、「贈与税回避の目的があったとしても、客観的な生活の実態が消滅するものではないから、各滞在日数を調整したことのみをもって、生活の拠点が香港にないとまでは言えない」というものでした。
この事件や、他にも課税当局に不利な判決の出た事件等もあり、課税当局は、これ以上の財産の国外流出と、それに伴う課税逃れを阻止しようと、躍起になっているわけです。税法の改正が「いたちごっこ」である側面が垣間見えますよね。
ちなみに、現在は改正により、非居住者であっても、日本国籍を有する一定のものは国外財産にも課税されることとなっております。
小規模企業共済の一部改正
2016/04/04 17:49:00 節税
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一定の個人事業主または法人役員の方の退職金準備制度として、小規模企業共済があります。独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しているため安全性が高く、積立型でありながらその支払全額が所得控除になり、かつ受取時の課税も退職所得扱い等になるため優遇されており、非常に使い勝手のいい制度です。この度、4月より一部改正があり、より使い勝手が良くなりました。以下に改正点を簡略に抜粋します。
(1)子などに事業を譲渡した場合に伴う共済金の受取額が増加する
(2)65歳以上になった場合に伴う共済金の受取額が増加する
(3)掛金の中途での減額が(完全に)原則自由となった
当事務所でも、中国税理士協同組合を経由して取次ができますので、ご関心がございましたら、いつでもお問合せ下さい。
FinTechが経営に与える影響
2016/03/25 19:08:06 経済一般
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去年あたりから、FinTech(フィンテック)という言葉をよく聞くようになりました。フィンテックとは、Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語で、ITを活用した金融、決済、財務サービス等の技術の総称で、かなり広い分野を指します。
株式市場でも注目度は高く、セキュリティ・暗号技術、ビットコインなどの(政府以外の機関が発行する)仮想通貨、クラウド上(インターネット上)での決済、クラウドファンディング(ネット上での資金調達)に関連する企業などの株価は軒並み暴騰しております。
決済という部分では、インターネットバンキングやネット銀行がすでにかなり普及していますが、今後はスマホを使った決済がもっと普及すると考えられており、小売業などはその影響が避けられないと思います。
また、資金調達という部分では、日本とヨーロッパがマイナス金利時代に突入しており、通常の融資業務等では一層の利益の目減りが避けられない金融機関が、フィンテック技術の積極的な導入により、人がやっている仕事をフィンテック技術に置き換えようという動きが加速しています。また、アマゾンがAmazonマーケットプレイスに出店している法人に対して、そこでの取引実績を事前審査して、最短1日で融資を行う、といったフィンテック技術を使った異業種進出の動きも出てきております。
決済、資金調達、という部分は事業の経営に欠かせない分野ですから、これらが紆余曲折しつつ変化、進化していく動きには、アンテナを張っておく必要があると思います。
で、スーツは経費で落ちないのか?
2016/03/25 18:11:35 節税
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単純だけど、回答が難しいご質問の一つに、「スーツは経費で落ちないのか?」というのがあります。家でくつろぐ時にスーツを着る人はいないのだから、当然経費でしょ!と思われると思いますが、実はそう簡単にはいかないのです。なぜなら、昭和49年の税務訴訟の判例で、「被服については、一般的に個人の趣味嗜好が入る・・・」等の理由により、個人的な支出とされたからです。ですので、税理士や税務署の回答は、基本「NG」と答えざるを得ないのです。
ただ、この見解は今後変わってくる可能性があります。平成26年に、給与所得者が給与所得控除(自動的に一定額が非課税になる)に替えて使える「特定支出控除」の改正があり、この中で、「会社員が仕事で必要なスーツの購入は、必要経費に含めることができる」ことになりました。
会社員には認めて、事業主に認めないのは公平性がないので、今後、明らかに業務のみに使用するスーツについては、経費で落としてもいいという見解に変わってくる可能性は大いにあります。
ただ重要なのは、「業務のみ」に使用することが客観的に認められないといけないので、高額なスーツや、ハデなスーツなどは、やはり難しいと思います。税務署的には、「葬式、結婚式、パーティなど、プライベートでもスーツは着ますよね?」という見方が支配的ですので。