経営のルールの作り方(2)
2016/08/08 15:13:59 経営
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前回、経営のルールの作り方、順番を以下のように定義させていただきました。
(1)経営理念 → (2)経営方針 →(3)戦略 →(4)戦術
(1)の経営理念が、会社の「存在意義」「使命」「旗印」として存在します。今回は、(2)(3)(4)についてご説明させていただきます。
(2)経営方針は、事業の根底となる判断基準です。私は、経営方針とは、市場・経済環境に左右されない、ゆるぎないものでなくてはならいと思います。数値的な方針も、ここでは必要ないと思います。
なぜなら経営方針とは、内部外部の要因により(3)戦略(4)戦術の見直しが必要になった場合に、会社の進むべき方向がぶれないようにするための指針だからです。進むべき方向に迷ったら、経営方針に従う!そのためのものだからです。
日本郵政グループの経営方針の一番目は、「お客様の生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。」とあります(同社ホームページより抜粋)。これに従いますと、例えば「採算と合理化のため、○○県から撤退すべきかどうか」の判断に対しては、「NO」という結論が導かれると思います。「全国ネットワークで提供」することが経営方針だからです(あくまで私の解釈です)。では、なぜ「全国で」なのかというと、経営理念たる会社の存在意義が、そうなっているからです。
こう見ますと、では「経営理念」「経営方針」は、意地でも曲げてはいけないものなのか、と聞かれそうですが、私はそれでいいと思います。ここが変わるということは、もうその会社は以前とは別の会社に生まれ変わるということだと思います。それくらい、「経営理念」「経営方針」は絶対的な根っこの部分だと思います。
(3)戦略は、目標達成のための絶対的ルールになります。その戦略に基づいた具体的な行動方針が、(4)戦術になります。「戦術」は、会社ごとに個別に計画していきますが、その基となる戦略は、大きく4つに分類できます。①商品戦略、②マーケティング戦略、③営業戦略、④組織戦略、です。
①商品戦略は、「何を売るか」です。ここで重要なのは、売るものの本質を見誤らないことです。たとえばソフトウェア会社であれば商品は確かに「ソフトウェア」ですが、本当に売るのは「煩雑な業務を効率化するためのソリューション(=解決)」です。保険会社の商品は「保険」ですが本当は「安心感」だったりします。商品を買うお客様の顔が見えているか?に気をつけましょう。
②マーケティング戦略は「どこで売るか」、③営業戦略は「どうやって売るか」、④組織戦略は「その商品を継続的に提供するためのバックボーンたる組織をどのようにするか」、です。この4つは相互に支え合う関係ながらも、全くの別物です。
当事務所では、このような経営のルール作りのお手伝いもさせていただいております。お気軽にお問合せください。
経営のルールの作り方(1)
2016/08/01 18:46:00 経営
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書店等では、経営に関するさまざまな書籍が並んでいます。アマゾンで「経営」「本」などと検索してみても、「経営の教科書」「小さな会社の経営戦略」「理念と経営」等々・・。見出しだけでも、あらゆる文言で、私たちに「経営とはかくあるべき」と語りかけて来ます。
しかし、良く聞きます「経営戦略」「経営戦術」という言葉は、学術上、その定義が確立されたものではありません(もともと軍事用語ですからね)。また、実際に経営をする側の立場からしますと、その定義が何なのかは正直どうでもよく、要するに経営のルールつくりの方法がわかればいいのです。
・・ということですから、私は経営のルールの作り方、順番を以下の通り(勝手に)定義しております。
(1)経営理念 → (2)経営方針 →(3)戦略 →(4)戦術
(1)が一番上位に位置する、ピラミッドのようなイメージでしょうか。
(1)経営理念は、会社の「存在意義」「使命」「旗印」です。会社が、経済社会において存在する理由、価値が何なのかを定義するものです。この使命を果たすために社長は経営をし、従業員はこの旗印を羅針盤として日々の業務を行うのです。この経営理念が大黒柱としてまず中央にドーンと立っていないと、例えば営利目的のみに走ったあげく顧客が離れ、倒産という事態になる可能性があります。存在意義のない会社は、社会から必要とされていないのだから、中長期的には必ず消滅します。自然の理ですから、仕方ないと思います。
大企業の経営理念を見てみますと、例えばキリン株式会社は、「飲みものを進化させることで、みんなの日常をあたらしくしていく」です(同社ホームページより抜粋)。いいですよね。飲料を売るのが使命ではなく、日常を新しく、元気にしていくことが真の使命だと言っているのです。この経営理念があれば、何か商品開発で迷いが生じても、「あたらしいもの」に向かってチャレンジするんだ、という方向に迷わず向かっていけるわけですから、従業員の方も働き甲斐があると思います。
(2)(3)(4)につきましては、また次回、お話させていただきます。
すぐわかる!節税のしくみあれこれ
2016/07/05 14:09:23 節税
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基本的な節税の方法、手法というのは限られています。そして基本的に単純でわかりやすいです。そうでないと、対策をした本人が、後で「どうしてこれをしたことが節税になるんだっけ」となることもあります。随時見直しができないようだと結局使い勝手が悪いです。時々、税法の隙間を利用したすごい節税方法を考え出すかしこい人がいます。でもそういったものは法改正で穴を埋められてしまったり、「租税回避」「行為計算の否認」などとしてクロにされてしまったりします。
個人事業の方の場合は、青色申告特別控除+青色事業専従者給与+小規模共済加入、の3点セットが節税の基本です。これを検討せずに他の節税を検討する、というのはありえません。制度を利用して特典を受け、(可能であれば)親族への給与支給で所得を分散し、小規模共済で老後資金を積み立てながら所得控除を取ります。これが法人であれば、役員報酬の支給、法人契約生命保険、倒産防止共済なども絡めていきます。
これらの節税方法がすぐれているのは、お金が外部に流れない点にあります。制度の利用にお金はいりませんし、親族への給与は家計が同じならばトータルのお金は減りませんし、積立金はいずれ自分の手元に戻ってきます。資金流出がある節税よりも資金流出がない節税の方が優れている、というのが基本です(全てではないですが)。交際費をパーッと使っても減税はできますが、お金は出て行ってますし、そもそも経営的にどうなの?ってなりますよね。
もうひとつのポイントは、その節税が減税なのか繰延なのか、という点です。繰延という言葉は、専門家はあたりまえに使っていますが、ちょっとなじみのない言葉ですね。「今年払う税金を来年払うようにする」のが繰延です。先送りですね。税金が減るわけではありません。ただ、来年なら資金に余裕が出る、とか、今期だけ突発的に利益がたくさんでた、という場合には有効です。
金融危機「7年周期説」
2016/06/02 14:58:24 株式投資
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金融危機は7年おきに起こる、という金融危機「7年周期説」というものがあります。かなり影響が大きかったリーマン・ショックは2008年に起きました。リーマン・ショックに前後して、日経平均株価は1万8千円程度から7千円割れにまで暴落しました。実体経済にも相当の影響が出ました。
過去を見てみますと、その7年前の2001年は、ITバブル崩壊と、合わせてアメリカ同時多発テロが起きています。さらには1994年メキシコ通貨危機、1987年ブラックマンデーとさかのぼります。逆に最近では、昨年2015年には中国の景気失速懸念から世界的に株価が暴落しました(チャイナショックとも呼ばれます)。
ここで考えないといけないのは、7年という数字がどうこうではなく、経済は何年かの周期で上がったり下がったりを繰り返している、ということです。アベノミクスによる好景気(?)は、昨年の中国減速でいったんは終息しているとみるべきですし、逆にチャイナショックはアメリカの好景気がある程度打ち消してくれているため、もう少し景気が減速しても、それなりの時期には落ち着く(底を打つ)とみるべきだと思っています。
どうすれば歯科自由診療収入が増えるか
2016/04/18 18:07:59 歯科経営
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厚生労働省の医療経済実態調査等によれば、歯科診療所の、収入全体に占める自費の割合の平均値は約13%です。この割合が高いと感じるか低いと感じるかは歯科医院ごとの経営方針等もあり一概には言えませんが、自由診療収入が収入源の一つとして経営基盤の強化につながることは、間違いありません。
では、どうすればもっと自由診療収入が増えるでしょうか。以下の3つのステップで考えてみましょう。
1.自費診療を行っていることを伝える
2.自費診療を受けることによって患者さんに何をもたらすかを伝える
3.自費診療を行う意義を、院内で共有する
1.自費診療を行っていることを伝える
院内掲示で、ホームページで、先生の医院ではどんな自費診療を行っているかをしっかり伝えていらっしゃいますか?患者さんで、たとえばブリッジと入れ歯の違いを分かっている方は少ないです。クラウンにどんな種類があるかを知っている方は少ないです。「クラウンとは被せ物の事であり、当医院ではセラミックとメタルボンドとパラジウムを扱っており、それはどのようなもので(写真があるとベストです)、値段はいくらで、どんなメリットデメリットがあり、当医院ではどのくらいの期間アフターメンテナンスをするか」まで伝えて、初めて患者さんもイメージが湧き、本当に「伝えた」ことになります。先生の院内掲示は、本当に伝わっていますか?一度見直して見られるのもひとつの手です。
2.自費診療を受けることによって患者さんに何をもたらすかを伝える
T.レビット博士という方のマーケティングの格言に、こういう意味あいの言葉があります。「人は、ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのである」と。もし先生が、日曜大工のためにホームセンターにドリルを買いに行ったとして、店員さんに「このドリルは最新式で、回転が速く、材質はなになにで、充電が長持ちで・・・」とドリルの製品説明を延々とされたらどうでしょう。先生はきっと「私は早くドリルを買って帰って、材木に穴を開けて本棚を作りたいのだ!」と考えてイライラするのではないでしょうか?
歯科医院でも同じことが言えます。患者さんはメタルボンドという金属が欲しいのではなく、「安心して笑える歯」もっと言えば「笑顔」を求めて歯科医院に来ているのです。「入れ歯」を買いに来ているのではなく、「しっかり噛んで食事をする喜び」「噛めることによる健康」を求めて来ているのです。患者さんがその自費診療を受けることにより、自分の幸せな姿をイメージできるように、伝えてあげてください。
3.自費診療を行う意義を、院内で共有する
笛吹けど踊らず、という言葉がありますが、院内で「お金儲けのために自費診療を増やす」という雰囲気が蔓延してしまいますと、スタッフには「新しい仕事が増えてめんどう」となり、院内での治療の連携がスムーズにいかなかったり、歯科衛生士が患者さんからの質問にポジティブではない受け答えをしてしまう可能性があります。「すべては患者さんの幸せのために」という意義があることを、スタッフ全員に共有してもらわないといけません。