税務調査なう (Q&A方式で)
2017/11/02 12:10:06 税務調査
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Q.税務調査はどれくらいの頻度で来ますか?
A.税務調査は所得税、法人税、資産税(贈与税、相続税など)ごとに分かれて、提出された申告書に誤りがないかの実地調査等を行うものです。国税庁が発表した平成24年7月~平成25年6月の法人税の実地調査率(申告があったもののうち税務調査が行われた割合)は3.1%です。単純計算だと税務調査が来るのは33年に1回!ということになります。が、実際は規模の大きい法人や売上・利益が大幅に伸びている法人で3~5年に1回位、一般法人や個人事業主で10年に1回位だと思います。何十年も税務調査を受けていない法人も多いです。また、相続税の調査は以前は4件に1件程度と言われていましたが、平成27年に基礎控除額が大幅縮小されてから申告件数がかなり増えましたので、相対的に実地調査率は下がっていくと思われます。
Q.税務調査は断れますか?
A.任意調査と言われているので受けても受けなくてもいいような響きがしますが、断ることはできません。ただ、今週は外せない予定がつまっているので来週からにしてもらう等の日程調整はできます。任意でなく強制調査となると、マルサ(国税庁査察部)が捜査令状なしでも、いわゆるガサ入れをします。予告なしに踏み込み、有無を言わさず段ボール箱に入れてあらゆる資料を持っていかれます。
Q.税務調査で聞かれることはどこまで答えないといけないのですか?
A.調査官は「質問検査権」というものを持っており、税務調査に必要があれば質問や書類の提出を求めることができます。納税者側に拒絶権がないことが法律上明記されています。ただし税務調査に必要がないこと、たとえばプライベートの引き出しの中まで開示する必要はありません。また、法律上「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」という一文があり、調査官にも分別ある調査を求めています。
Q.税務署の調査官にノルマはあるのですか?
A.追徴税額のノルマはないよう(出世には影響する)ですが、調査件数のノルマはあります(調査官からも直接聞きました)。「1年間で30件の調査をおこなう」などのものです。税務署としては税額もあるのでしょうが、調査件数がこなせていない(=実地調査率が低い)ことを一番問題視しているようです。実地調査率が低い原因のひとつに調査官の慢性的な人手不足があり、税務署側も定年した調査官の雇用延長を増やすなどの対応をしているようです。
中小企業は「ちょっと違う」経営で生き残る
2017/10/02 16:47:45 経営
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中小企業は「よそと同じ」ではなかなか生き残ることは難しいので、「差別化」が必要なのは言うまでもありません。ただ私は、その差別化の度合い・バランスがとても重要だと思っています。
たとえば、あなたがパン屋さんを経営されていたとして、世界で初めて米粉を使ったパンを販売したとします(あくまでフィクションです)。この米粉パンはメディアでも取り上げられ、あなたのお店には連日お客さんが開店前から行列をなすようになりました。・・・では、あなたは一生左うちわで暮らしていけるでしょうか?
答えはNOです。NOになる明確な理由があります。なぜなら、次に大手企業にそれを模倣されてあなたの市場ごと根こそぎ顧客を奪われていく、というシナリオが見えるからです。
そうなる原因は、「米粉パン」という商品の「①市場が大きい」ことと、「②他社の模倣が容易」だということです。掘り下げてみますと、①は中小企業が開拓するには市場が大きすぎた、つまり市場の適切な絞り込みができなかったことが誤りです。②は原材料を小麦粉でなく米粉を使用する、という明確な差別化であったと同時に、わかってしまえば参入が容易である、ということが誤りです。
(もちろんそのパンが「米粉である」以外の差別化があれば話は別ですよ!)
大前提として、中小企業は大企業と同じ土俵で戦ってはいけません。資金力、人材、技術力で必ず負けます。大企業のいない隙間を縫って市場を絞り込んでいかなければいけません。いわゆる「ブルーオーシャン戦略」ですが、その中でも「全く顧客がいない海」では売り上げが上がりません。ある程度の市場はあるが、大手企業がわざわざ参入するほどでもない規模の市場を絞り込むことが絶対条件だと思います。例えば「日本全体で10億円程度の規模であればわざわざ大手企業が参入してくる可能性はかなり低い、その中でシェア30%を目指す」などです。言ってみれば、大手企業とは「ちょっと違う」ところで戦うのです。
また、商品の差別化も大手企業と戦ってはいけません。iPhoneのようにどう考えても「アップルしか造れない」商品があれば戦えますが、中小企業がそんな製品を造りつづけるのはムリです。
あるコラムでこんな話がありました。ある繁華街で飲食店を営む店主が、「向かいの牛丼チェーンはいつも客が少ない。いつか潰れるな。何なら俺が買い取ってやろうか」といったそうです。ところが実際にはこの店は全国でも上位の高収益店でした。客の回転率がとても速いので、いつも満席ではないが1日あたりの客数はかなり多かったのです。
この話のポイントは、新メニューが売れているというようなわかりやすい差別化ではなく、同業他社でもわからないような、「お客の高回転率を維持できるオペレーションの確立」といういわば「ちょっとした」部分の差別化であったということです。「同業他社でも気づかないが効果的」な差別化、というのは最強の差別化になるわけです。
事業資金を「借入」する本当の意味
2017/08/28 11:40:42 経営
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事業を行ううえで欠かせない、そして避けて通れないものの一つに「事業資金」をどう準備するか、ということがあります。自己資金で全て賄えなければ、金融機関から借り入れをする、ということになります。特に今から事業を始める!という方にとっては「最初の壁」となるかもしれません。
まず「借入」をすることは、「悪」ではありません。個人の家計においては、なるべく借金やクレジットカードを使わず、毎月の給与からやりくりしよう、という考えは正しいです。ただし、家計と事業では「借入」の意味合いはかなり異なります。
資金には、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つがあります。設備資金は、事業の開始、拡大、維持や改良、新規事業進出のために必要な設備を取得するためのものですが、これを自己資金がたまるまで待っていては時間がかかりすぎる、またそのチャンスを逃す、ということになりかねません。つまり、「設備資金の借入」とは時間を買うことと、目の前にある利益機会をつかまえる、という意味あいがあります。
運転資金は、通常の月々の必要経費を支払うための資金、また売上のお金が入ってくるまでのつなぎのお金になります。運転資金はぎりぎりの額であってはいけません。少なくとも毎月の支払額の1~2か月分は常に手元にある状態にしておくことが理想です。なぜなら、会社は赤字でも資金があれば倒産しませんが、黒字でも資金がなくなれば倒産するからです。バブル崩壊後にたくさんの会社が倒産したのは、バブル時の利益以上に赤字を出したからではなく、バブル時の利益で得た資金を設備投資で使いすぎて資金が枯渇したからです。
運転資金は会社にとっては血液と同じようなものです。借入をしてでも潤沢にしておく、というのが正解です。借入をしてもお金が手元にあれば自己資本(資産から負債を差し引いた残り)は減らないのですから、「運転資金の借入」とは会社の体力を増加させるものになります。
「無借金経営」を目指したい社長さんも多いかもしれません。ただ、これらの意味合いを無視した無借金経営は、会社にとって必ずしもメリットだけではないということです。似て非なる言葉に「実質無借金経営」というものがあります。平成28年度に、実質無借金の上場企業が初めて2,000社を超えた、というニュースもありました。やろうと思えば完済できる資金が手元にある(でも完済していない)、ということです。返済するよりも、利息を払ってでも手元の資金を厚くしておくという経営判断をしている会社がそれだけ多いということです。
とはいえ、借りたものは返さないといけません。「利益が出ていると税理士は言うが、いつもお金がなく苦しい。決算がまちがえているのではないか?」と思われる社長さんもおられるかもしれませんが、それは「利益の額以上に返済の額が多いから」です。会計的に言うと「利益は黒字だがキャッシュ・フローが赤字」だからです。計画的な返済計画はもちろん必要です!
広島カープから経営戦略を学ぶ
2017/08/02 18:14:36 経営
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今年もカープは独走態勢に入っております。昨年よりも選手層が厚くなっており、よほどのことがない限り今年もリーグ優勝しそうですよね! ・・そんなカープですが、経営面から見ると40年以上も黒字経営を継続している優良企業です。40年ですから、前回の日本一の時から、そしてその後の低迷期(市民球場がガラガラだった時期(^^;))でも黒字は維持し続けていたわけです。株式会社広島東洋カープは上場企業ではありませんので、あくまでも詳細な決算内容が開示されているわけではありませんが、最近はカープ関連本もたくさん出ていますので、私見を大いに含めて、その秘密を見ていきたいと思います。
株式会社広島東洋カープの株主構成は、マツダ創業者の松田家が40%強、マツダが30%強で、マツダは拒否権を発動できる3分の1以上は所有していないようです。よって、赤字を補填するといった部分までの関与もしていないため、株式会社広島東洋カープは単独で採算を合わせていかないといけない、という大前提があります。そのため黒字継続もそうですが、銀行借入金も比較的少なく、自己資本比率(総資産のうち、借入以外でまかなっている割合)も約60%と財務状況も健全です。
売上面から言いますと、やはり2009年にオープンしたマツダスタジアムの存在が大きく、建設当時はたしか「新球場なんか造って大丈夫?(資金まかなえるの?)」という声も少しあったように記憶していますが、こんな「観客を楽しませる」アイデアが豊富な球場だとは!思いませんでした。収容人員自体は旧広島市民球場より約1,000人増えた33,000人程度なのですが、目先のキャパ(収容力)を広げることよりも、野球観戦をゆったりと楽しめる環境整備を優先し、またマーケティング的には、家族におけるキーパーソンである「女性客」(特にお母さん)をメインターゲットにしたことで、長期的な目線でリピーター顧客(=ファン)を定着させ、高い観客動員数を維持することに成功しています。売上高では2009年に初めて100億円を突破し、2015年には148億円ですから、なかなかの伸びです。広島市の人口が120万人程度で観客動員数が年間200万人以上ですから、広島市に住む全ての人が毎年2回マツダスタジアムに行っている計算(もちろん広島市以外からもたくさんの人が来ていますが)ですから、驚異の「回転率」だと思います。戦後の復興の象徴である地元密着型球団、という個性もかつては「地方の貧乏球団」という位置づけでしたが、今は強烈な個性(=アイデンティティ)としてプラスに働いている感があります。
また、売上増加はグッズ収入の伸びも大きく貢献しており、新球場オープン前である2008年の10億円弱に対して2015年は35億円となっています。これもすごい伸びです。かなり独特で、センスのいいグッズで種類も豊富(三井物産と提携しているそうです)です。個人的には、「野球グッズ」ではなく「カープというコンテンツの関連商品」という目線で作られているところに経営センスを感じます。また、サヨナラ勝ちの数日後には記念Tシャツが販売されるなど、「フットワーク」と「企画力」もすごいです。
※今度気が向けば、売上以外のことも書かせていただきます。
仮想通貨元年!?
2017/07/03 15:09:16 経済一般
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今年に入って、仮想通貨に関するお問い合わせ(どのように申告すればいいか)が増えています。仮想通貨取引でかなり利益が出ておられる方が増えているのだと思います。ビットコインは今年の初めから約3倍、イーサリアムで約10倍、中には何十倍にもなっているものもあるようです。
正直、お問合せには困る部分があります。税務当局からも実務的な統一見解が出ていないからです。法人での取引だといいのですが、個人での取引の場合の税務的な取り扱いの解釈が難解なのです・・(>_<)
ところで、仮想通貨って何?という方も多いのではないかと思います。私も少し前までそうでした。一般的な通貨(法定通貨)である円やドルなどは政府や中央銀行などが発行して、要するに「国がお墨付き」を与えているから価値があったわけです。仮想通貨には基本的に発行主体はいません。では何がその価値を保証しているかというと、「暗号技術」です。暗号技術の高さが、その価値を担保しているということになります。具体的には、通貨そのものに取引履歴をくっつけたり、取引時に第三者が承認を行ったり(発掘、マイニングと言います)しています。
国の保証がない、というのはいかにも不安なのですが、デメリットばかりではなく、たとえば中国の富裕層が「元」だけで財産を保有するのは政治上のリスクから不安なので、ボーダーレスな「ビットコイン」などの仮想通貨を購入している、というのは有名な話です。仮想通貨のボーダーレス(国境を超える)という特徴は、インターネットが普及していったスピードを見れば、今後いかに普及が見込まれるかの想像がつくというものです。
現状では仮想通貨は、取引媒体としては使える実店舗やネット上の店舗はそう多くありませんが、実験的に導入していくところも増えていくと思います。クラウドファンディング(インターネット上での不特定多数からの資金調達)に仮想通貨が使われるといった動きも出ているようです。ただ今はそれよりも「値上がり益」をねらう投資(または投機)での需要が多いと思います。
では早速取引を!と思われる方もいらっしゃると思いますが、取引所もまだまだ未成熟ではあります。大手の取引所(株式やFXの取引でいうところの証券会社)での口座開設であれば安全性に問題はあまりないとは思いますが、株式投資のような特定口座はもちろんありませんし、取引所によっては取引履歴の確認すらしずらいところもあるようで・・。取引量が増えてきたときに履歴を把握しにくいのが、申告を複雑にさせそうなにおいをプンプンさせているわけです・・(^_^.)
とは言いましても、今後普及がどんどん進んでいくことは間違いないだろうと思っております。ただ、詐欺まがいの仮想通貨や取引所も多く存在するようで・・。ある日突然取引所のホームページが封鎖されてて一切資金が引き出せなくなった、というような話を聞いております。くれぐれもご注意ください。