節税、資産運用あれこれ
2018/03/28 19:13:29 節税
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(1)小規模企業共済
月7万円(年間84万円)限度の掛金で、退職金積立なのに全額所得控除になるという、税優遇度では随一の制度です。個人事業主または小規模法人役員のみ加入できます。
基本的には65歳到達後、または役員辞任により受け取りできます。任意解約の場合、240ヶ月以上掛けていないと元本割れします。途中での増額減額は可能です。また、受取時は基本退職所得扱いなので、税金が大幅に優遇されます。税理士会、商工会、金融機関などの窓口で手続きできます。
(2)倒産防止共済
月20万円(年間240万円)限度の掛金で、積立なのに全額必要経費算入できます。もともとは取引先の倒産等で一時的な資金ショートをした場合に低利で貸し付けを受けられる制度なのですが、この節税効果のほうをメインに加入される場合がほとんどです。
ただし解約時に全額雑収入計上されるので、大きく利益が落ち込んだ年に解約するなどのコントロールができないとトータルでは全く節税にならず、解約時の扱いがとても難しくはなります。
任意解約の場合、40ヶ月以上掛けていないと元本割れします。積立金額800万円がMAXです。
(3)法人契約生命保険
個人契約の生命保険は、いくら掛金が大きくて複数の保険契約をしていてもMAXで年間12万円の所得控除しかありません。ところが法人契約にしますと、全額損金や半額損金など、経費にとれる金額
が全く違うものがあります。また間接的に社会保険料の節約にも使えます。今回詳細は割愛します。
(4)株式投資、J-REITなど
上場株式、投資信託、上場REIT(不動産投資信託)などの譲渡益、配当金は個人では20.315%の固定税率での課税ですので、基本的には(法人でなく)個人で運用した方が税金が優遇されます。また、運用上の最大の特徴は出口戦術が即座にできる、ということです。不動産の売却には早くても数か月かかると思いますが、株式等はクリックすれば0.1秒くらいで売却が完了する、という意味です。
J-REITは株式と全く同じ感覚で売買できます。約60銘柄の配当利回りは現在、平均4%くらいで、 高いものは6~7%あります。東証REIT指数では、安定しつつも若干の下降トレンドで、割安感は出てきており、買い時ではあるのかなと思います。
資産運用は運用資産のバランス(ポートフォリオ)も大事です。預貯金、債券、不動産、株式などをねらいに合わせて分散投資されるのが基本です。投資の回収時期が短期でくるものと長期でくるもののバランスも大事です。
また、よく分散投資はリスク分散のためとも言われます。それ自体は正しいのですが、たとえば株式を日本株、アメリカ株、ヨーロッパ株に分散しても、世界経済はもはや一つにつながっていますので全ていっしょにこけてしまうと全くリスク分散になりません(リーマンショックの時など、まさにそうでした)。 投資するタイミングを分散する、例えば株式の投資資金を5等分し、1年ごとに5回に分けて買付する、などの時間分散もリスクヘッジには効果的(ドルコスト平均法などと言われる手法)です。
平成30年の税制改正
2018/03/01 19:53:38 税制改正
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まず、改正自体は昨年されましたが今年から適用されるもので、配偶者控除の見直しがあります。今年から、配偶者が税金上のの扶養になるための収入制限が103万円(給与所得の場合)から150万円に引き上げられます。103万の壁は消えました(配偶者以外の扶養親族は103万円のままです)。
厳密にいいますと、103万円を超えると配偶者控除はなくなるのですが、同額の配偶者特別控除が150万円になるまで続くようになっています。同時に、所得900万円以上の方は配偶者控除が減額され、所得1000万円を超えると配偶者控除が全くとれなくなりました。「金持ちに増税」の方向性が強く出ています。
ただ注意しないといけないのは、社会保険上の扶養になるための収入制限は130万円のままですので、税金上は扶養なのに社会保険の扶養からは外れる、という事態は起こり得ます。社会保険の扶養から外れると負担が急に大きくなりますので、実際は収入は130万円以内に抑えないといけない、ということになります。
次に今回の税制改正で決まった事項ですが、さきほどの「金持ちに増税」の流れを受けてか、平成32年(年号は変わりますが)からは給与所得控除が減額され、基礎控除は増額(ただし所得2,400万円以上は減額)されます。また扶養控除などの対象となる合計所得金額も引き上げ(38万円→48万円)られます。実務者としては、この辺の数字が細かくこねくりまわされるので、けっこう困ります(^_^;)。結局税額がどのくらい変わるのか?その効果は??・・です。
後は、事業承継税制が改正されます。後継者へ法人株式を相続・贈与する際に相続税・贈与税を猶予するという制度ですが、今まで全国で年間200件~400件程度しか使われていませんでした。全国に中小企業は380万くらいあるのですが・・。なぜあまり使われていないかというと要件が厳しすぎるからです。まさに使えない制度でした。今回要件が緩和されるのですが、これで使える制度になるかは、まだ検討が必要になります・・。
ひそかに重要なのは、一般社団法人を使った相続税回避スキームが、とうとう塞がれてしまいました。誰でも安価に設立できる一般社団法人を、うまく使えば相続税をまるまる回避できるような方法があった(以前書かせてもらったことがあります)のですが、ほぼ完全にアウトになりました。まあ、いつか塞がれるとは前々から言われていましたので、仕方がないところではあります。国からすると、塞いで当然でしょうね(^_^;)
他にも細かくはいろいろあるのですが、細かすぎてあまり書く気にはなれません・・。改正がかかわってくるケースでは、当事務所の担当者が個別にご提案、フォローさせていただきます。
コインチェック580 億円流出問題と「貨幣論」
2018/02/02 12:39:02 株式投資
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年初めには、本当は「仮想通貨第2章」みたいなタイトルで書こうと思っていましたが・・・。この1ヶ月でビットコインなどの仮想通貨には様々なニュースがありまして、まさに激動の1ヶ月でした。
最大のニュースは、1/26 に仮想通貨取引所コインチェックから当時580 億円相当の「XEM(ネム)」が不正送金された事件です。要はハッカーから盗まれたのです。コインチェックは国内最大級の取引所で、ビットコインを含む13 種類の仮想通貨が取扱いされています。
まず驚いたのがその金額です。ネムはこの13種類の仮想通貨のうち時価総額の大きさは6 番目です。6 番目の仮想通貨の保有高が580 億円ですから、全ての仮想通貨の保有高の合計は1 兆円を超えていてもおかしくないと思います。
さらに数日後にコインチェックは463 億円を自己資金で顧客に弁済すると発表しました。コインチェックは運営を開始してまだ3~4 年の会社ですよ!ベンチャー企業でこれはすごいです。
ただ考えてみますと、コインチェックでは取引の際に3~5%のスプレッド(実質、手数料みたいなもの)を取ります(ビットコインは無料)。月間取引高が4兆円を超える月もあったらしいので、単純にこの半分がビットコイン以外としても、2兆円×3%=600 億円の売上高が1ヶ月であった計算になります。これなら確かに何とかならなくもないですよね。月間粗利益600 万円の会社が463万円なら、無理すれば返せるかなと。
日本は今、世界で最も仮想通貨を取引している国と言われています。以前は中国でしたが中国が昨年全面的に仮想通貨取引を締め出す動きをしましたので、今は日本です。日本政府は仮想通貨取引を締め出すことはせず、昨年から仮想通貨交換業者を認可制にしました(コインチェックは申請中だったことも問題になっていますが)。正式に「貨幣である」とも認めました。世界に先駆けてです。つまり政府が監視をしながらも、適正に市場を守っていこうという姿勢が見え隠れします。ここからは私の妄想ですが、産業革命から続いた産業が衰退した際に金融大国として復活したイギリスよろしく、日本は仮想通貨大国として君臨するという狙いがあるのではないでしょうか。
仮想通貨に批判的な方の理由の一つとして、「そんな価値のないものに値がつくわけがない」というものがあります。私はこれには反対です。貨幣の歴史でいいますと、もともと貨幣は物々交換の時代に、「肉一切れと米どれくらいが平等な交換なのか」という尺度として誕生していきました。銅銭1枚が肉一切れと同等で、かつ米ざる1杯分が同等なんですよ、といった感じです。19世紀になると金本位制ができ、政府は金(きん)を保有し、その価値と同額の紙幣を発行しました。紙幣を金の価値で保障するのです。やがて紙幣は金の裏付けがなくとも政府の保障で発行するようになりました。今では紙幣そのものに価値があるとみんな理解しています。
ところで金(きん)って何で価値があるのですか?ピカピカしてきれいだけど、食べれないし、特別何かの材料に重宝されるわけでもないです。紙幣にいたってはただの紙です。つまり貨幣とは万人がその価値を認めるかどうかであって、貨幣そのものが紙であるとかデジタルであるとかは本質的には関係ないのです(偽造や盗難などの安全性の問題は別ですよ)。
なぜ今、広島カープの人気に火が付いたのか(後編)
2018/01/05 12:05:59 経営
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まず2009年に新球場(マツダスタジアム)ができたのが大きいですよね。当時は「(球団のお金が)大丈夫なの?」と思いましたが、メジャーリーグの球場を参考に造られた、ボールパークという考えが斬新でした。野球そのものだけではなく球場全体がアミューズメントスポットである、という概念が多様な娯楽ニーズにうまくはまりました。
どーんと正面にあるグッズショップはセンスのいいものがそろっており、コンコースのお店は食事やお酒類も豊富。新幹線やスポーツクラブからも球場が見えるし、座席も広くて種類も多い。試合前の練習風景を見ながらビール片手にコンコースをぐるぐる回るだけでも楽しめるんですよね。
また、広島カープには他球団にはないアイデンティティがあることも、今の時代に共感を得ています(昔ならそこまでとりあげられなかった)。戦後復興の象徴として創設され、資金が足りなくなったときは「たる募金」で市民も多額の資金援助をして、いまの球団がある・・。広島に縁はなくとも「判官びいき」で応援したくなるわけです。日本酒を製造販売する方が銘柄のひとつひとつにかける思いやこだわりを日々フェイスブックにつづったところ、それに共感する人が殺到し売り上げが何倍にもなったという話を聞いたことがあります。物があふれている時代だからこそ、物があるだけでは満足できず、その背景にある人の「思い」がより重要視されるのだと思います。
広島カープは野球の「見せ方」にも長けていると思います。ただ野球を見せるだけではない、でも選手を「アイドル」として見せたりしているわけでもない。ファンとの「一体感」を演出しています。ジェット風船もカープファンが考案したらしいですし(初めに広まったのは甲子園ですが)。
あとはやっぱりグッズですね。昔(私が子どものころ)はグッズと言っても野球帽くらいでしたが、今は日常の雑貨にもカープ坊やがあふれてますよね。広島駅を降りると車掌の制服を着たカープ坊やがどどーんと迎えてくれますし、センスのいいグッズが多いので女性が身に着けていても違和感ないです。カープは球団やマスコットを「コンテンツ」としてとらえている(私見ですが)ので、グッズの創り方の発想が柔軟で、いいと思います。野球グッズだから野球に関連したものでないといけない、みたいな先入観が微塵もない感じがとても好きです。
いまはシーズンオフなのでカープロスの方も多いと思いますが、カープファンでない方も含めて、いつもとちょっと違った目線で野球を見てみると、新しい発見や楽しさがあると思います。また経営者の方は、広島カープの経営戦略・戦術で自社の経営に生かせる部分がひとつふたつ、見つかると思いますよ!
なぜ今、広島カープの人気に火が付いたのか(前編)
2017/12/01 14:59:13 経営
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クライマックスシリーズは残念でしたが、広島カープは二連覇しました!言うまでもなく、強いです。そして今や球場のチケットの入手が困難になるほど、人気球団です。会社帰りに市民球場にいってもガラガラで、カバンや弁当を後ろの空いている座席に置き放題(本当はダメですが)だったころと比べると、信じられませんよね!だいたい広島市在住の身からすると、カープ女子だの、関東のファンが急増しただのといった現象は今だに「なんで??」じゃないですか?
今やナベツネさんもカープの球団経営には一目置いていたり、DeNAが球団を黒字化させた経営手法もカープから学んでいたりするのですが、経営戦略という目線からすると、なぜ今その人気に火が付いたのか、理由は明確です。「野球の見せ方・楽しませ方が現代にマッチしている」からです。
(以下は私見、想像が大いに入っています。ご注意ください(^_^;))
昭和の高度成長期である昭和30~40年代、夕食後の家族での団らん・娯楽といえばテレビでした(私はまだ生まれてませんが・・)。月曜日以外は必ず野球中継があり、王長嶋が全盛期、怒涛のV9ですよ。この頃は野球が見れるだけで楽しい、ましてや球場に見に行けるとなれば・・!海外旅行に行くくらいの大興奮ですよ。
時は流れまして平成20年代、今やスマホはひとり1台があたりまえ、これさえあればネットも動画も見放題。テレビ?・・最近あまり見なくなりましたね。野球?・・好きですけど、地上波では最近あまりやってませんよね。スカパーなら全試合見れますけど、まあヤフーで試合結果だけチェックする日も多いですかね。あ、今からAmebaTV見るんで、これで失礼します。
今は、昔のように野球観戦が特別な娯楽ではなくなっています。ただ野球を見るだけなら他にも面白いものがいっぱいあるわけです。球団から「野球を見せてやる」と言われても、昔ならそれだけで十分楽しかったんですが、今は(それだけでは)特別な娯楽ではないんです。飲食店から「とにかく腹いっぱいにさせてやる」と言われてもそれだけではその店に行きませんよね。税理士から「申告書(だけ)作ってやる。(それで十分だろ?)」と言われてもそれだけではその税理士を選びませんよね。それと同じです。
で、今は昔ほどはTV放映権などの収入が入ってこなくなり、球団も赤字になったりしているのですが、親会社からすると、「まあ今は昔ほどの野球人気はないかもしれないけど、国民的スポーツなのは変わりないし、数億円程度の赤字なら、まあ広告宣伝費と考えればいいでしょう」という感じで抜本的な変化はなかったわけです。
ところが、カープには親会社はありません。そして、2004年のプロ野球再編問題時に「解散か」「阪神が吸収合併か」「ライブドアカープ誕生か」などといううわさまで流れたカープからすると、今後の球団経営に並々ならぬ危機感があったのではないでしょうか。 (次回につづく)