経営的視点からみる、カープの長野選手獲得
2019/02/01 17:02:26 経営
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広島カープが丸選手のFAの人的補償として、巨人の長野選手を獲得しました。広島では街をあげての歓迎ムードで、もう丸ロス?もすっかり過去のものとなったかのようです(私含む)。この獲得は経営的視点からみてどういう意味があるのでしょうか?大いに私見を含めて掘り下げていきます。
まず過去の新聞等の記事を見ても、丸選手流出は既定路線だったようです。1年前の契約更改時にも、複数年契約を提示されなかったことに不満を持っていたそうですし、巨人の破格の条件提示、巨人に外野手の補強があまりなかった、丸選手のお父さんも大の巨人ファンだった・・等、巨人に行く要素がプンプンしていました。
ここまではしかたないですが、いざプロテクトリストを見ると長野選手が外れていた・・。ここで長野選手獲得に動いたのは経営的視点からも大正解だったと私は思います。以下がその理由です。
(1)総合的に見て、丸選手の穴を十分埋めれる
昨年の成績だけを見ると丸選手に分がありますが、長野選手も実績含め十分な成績を上げているし、また人柄・人望も厚く、新井選手の役割だった兄貴分としての立場も期待されるほど。そして人気も丸選手以上かも、という感じで集客・グッズ販売的にも期待できる。会社で言うとエースの営業マンが退社したが、入れ違いにオールマイティなゼネラリストが入社してくれたという感じ。巨人に選手が流出することはあっても、まさか巨人からスター級の選手が来るなど夢にも思っていなかったカープファンにとっても、新鮮さが半端ないでしょう(私)。
(2)相手の戦力を削げる
間違いなく長野選手は今年の巨人でもレギュラー候補でした。巨人も丸選手を獲得したことによってカープの戦力を落とせたでしょうが、それはこちらも同じ。さらに西武と結託して(と私は見てますが)内海選手、長野選手という人望の厚い2選手を移籍させたことで相手の士気もかなり落とせたはず。城を攻めるは下策、心を攻めるは上策という中国の大軍師諸葛亮孔明の言葉を地で行く感じです。とくにシーズン終盤で、必死に追いすがってくるか、それともあきらめムードになるか、という大きな差になった現れるはずです。
(3)金銭的優位
カープには人的補償に加え金銭補償として1億円位入ります。さらに丸選手に3年12億円を提示していたそうなので、長野選手へ年棒を払っても2億円位今年の経費が浮きます。もしもし長野選手が来年FAして巨人に戻ったとしても、再び人的補償+金銭補償が手に入る。しかも巨人は、カープが若手・ベテランどちらも獲得する意志・資金があると知ったのでますますプロテクトに悩む。投資的にいうと、長野選手の獲得はカープにとってローリスク・ハイリターンなわけです。
私はカープファンなのでポジショントークも大いに入っていますが、これで今年もカープが優勝しそうだと思いませんか!?最後にカープファンでない方へ、好き勝手書いてごめんなさい(>_<)
親の持ち家に子がリフォームする場合の注意点
2018/12/23 15:44:40 相続対策
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いつもお世話になっております。あらためまして、新春のお慶びを申し上げます。
さて年末年始になりますと、暦の締めの関係等のため、住宅にからむ税の話題も増えて参ります。そしてよくある話の一つとして、「親と同居するのだが、そのままだと手狭だし、またお互いのプライバシーは尊重したいので、自分たちがお金を出して増改築・リフォームしてから住もうと思う」といった内容のものがあります。
じつはこのケース、税金に関して注意しないといけない点がいくつもありますので、ご紹介します。
一番注意しないといけないのは、その家が全て親の名義・持分の場合です。親名義の家の増築・リフォームのために住宅ローンを借りても、住宅ローン控除は使えません。住宅ローン控除の定義は「自己の所有する家屋への増改築」だからです。住宅ローン控除を使えないと、10年間で合計100万円以上も税金の控除が受けられない場合もあります。なんとかならないのでしょうか?
実はこのケースは、事前に家屋の一部を(贈与税の非課税範囲である)110万円以内の贈与により親から子に名義変更しておくことで住宅ローン控除を使えるようになります。住宅ローン控除は、下記の持分移転を並行して行った場合は、移転後の持分割合に応じた借入額が対象になります。贈与にかかる登記費用と不動産取得税の負担はありますが、住宅ローン控除でおつりがくる場合がほとんどです。
また次の問題として、親の持ち家に子が増改築して、結果親の持ち家の価値が増加することで、税務上は子から親への贈与があったものとみなされるという点があります。子の預貯金が親の不動産価値に変わるからです。
たとえば増改築前の家屋の価値が500万円で、持分は親4:子1(=親400万円、子100万円)だったとします。ここに子が1,500万円かけて増改築したとすると、増改築後の家屋の価値は2,000万円になります。持分が変わらなければ、親1,600万円、子400万円の価値を有することになり、親はお金を出していないのに家屋の価値が1,600万円-400万円=1,200万円増加したことになります。つまり子から親に1,200万円の贈与があったものとみなされます。贈与税額でいうと315万円位になります。
この贈与税を避ける手段として、同額の家屋持分を移転する方法があります。このケースですと、2,000万円×3/5=1,200万円分、すなわち家屋の持分5分の3を移転します。登記上は代物弁済、税務上は譲渡になります。これですと移転後の持分は親1:子4になり、親の家屋価値は2,000万円×1/5=400万円で、増改築前と増えていないので贈与税は生じません。ちょっとややこしいですね。
この場合でも登記費用と不動産取得税はかかりますが、(詳細割愛しますが)譲渡所得税も避けられます。ただシステムキッチンを新しいものに取り換えるなど、不動産の資産価値が増加したとは言えない程度のリフォームではこれにあてはまりませんが、その線引きは微妙なところではあります(特に相続発生時は注意が必要です)。
このように親の持ち家に子が増改築・リフォームする場合は税金上の留意点が多いです。同様のご計画がある場合は事前に担当者にご相談いただければと思います。
なぜゴーン氏は逮捕されたのか
2018/11/30 18:29:23 経済一般
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最近テレビ等で連日報道されている日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏の逮捕のニュース。そもそもなぜ逮捕されたのか、不思議に思われている方も多いのではないでしょうか?私もちょっと違和感を感じております。詳しく見ていきたいと思います。
その逮捕理由ですが、金融取引法違反です。脱税とかではありません。有価証券報告書(株主に見せる用の決算報告書みたいなもの)に自分の役員報酬を少なく記載した、ということです。株主が投資判断するのはこの有価証券報告書が主な材料ですから、そこに虚偽の記載をされるとたまりませんし、もちろん法律違反になりますので、逮捕はまあ仕方ないとしても、なぜこの時期に逮捕なのか、というところに違和感があるわけです。
まず日産は1990年代後半に2兆円の借金を抱え、倒産寸前と言われていました。そこで日産は1999年にフランスの自動車メーカーであるルノー傘下に入り、資金援助を受けました。またゴーン氏が最高経営責任者となり、徹底的なコストカット等を実行しました。その結果2年後の2001年には(当時としては)過去最高の当期純利益2,500億円を達成しV字回復しました。つまり、この時のルノーとゴーン氏はまさに救世主だったわけです。
それだけの功績があるゴーン氏が、年10億円の報酬、また未記載のものを含む年20億円の報酬を受け取っていたとしても、国際的大企業の相場からみても飛びぬけてもらいすぎている、というほどではないわけです。なぜ少なく記載させたのかはまだ明らかではありませんが(脱税目的かもしれませんけど・・)、そうはいっても年間10億円という過少記載金額の事を今まで他に誰も知らなかったというのもちょっと考えにくいと思いませんか?
それが今になって内部告発により発覚し、(国際問題を恐れないと言わんばかりの)電光石火の逮捕劇、メディアも連日の大報道、当時リストラされた従業員までカメラの前に引っ張ってきて「あいつに人生をだいなしにされた」と語らせ、手のひらを180度返したように「ゴーンは悪だった、成敗せねば」との思想を日本国民に植え付けるがごとくですよ。
この辺もよく報道されていますが、今では業績、販売台数などは日産がルノーよりはるかに上を行っています。それなのにルノーは日産の株式の43%を保有する大株主です(日産はルノー株式を15%保有)。日産はもうルノーの助けは必要なくなってきている、逆にルノーは日産の資金や技術を取り込みたい、影響力を保持し続けたい。お互いの利害関係のズレが相当あるわけです。(ちなみに日産は上場企業の中でも一二を争う高配当企業で、ルノーには年間1,000億円以上の配当金を支払っている計算になります)
そこで今回の逮捕劇です。フランス政府が後ろ盾のルノーから来たゴーン氏を、あらかじめ温めていた虚偽記載容疑で更迭、ルノーの息のかからない経営陣を敷き、一気にフランスから日産の主権を奪い返す!というストーリーです。さて、このままうまくいくかどうか、動向を注視したいと思います。(もしかしたらフランス政府と落としどころができているのかもしれませんね。だってこんな国際問題を恐れない日本、なかなか見ないですよね)
意外と知らない「印紙」について
2018/10/30 14:05:45 節税
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領収書や契約書に貼る「印紙」ですが、「なんでこんなものを貼らないといけないの?」と思われている方も多いのではないでしょうか?(私も今だにそう思っています(^_^;))今回は印紙について取り上げてみたいと思います。
まず印紙の意味ですが、これはもうズバリ「税金」です。一定の契約書や領収書を「紙で」作成したら、その作成に対して税金がかかります。だからその契約書等に印紙を貼っておかないと「納税漏れだよ」となり、貼っていないことが発覚すると後で3倍の印紙税を徴収される(割印の押印漏れは1.1倍)ことになります。
逆に言うと印紙には税金の意味しかありませんので、印紙を貼っていないからと言って契約書の効力には一切影響ありません。また印紙に半分印影がかかるように押す「割印」も、印紙を使いまわさないようにする、ということ以外の意味はありません。
なお先ほど「紙で」とわざわざ書きましたが、じゃあ契約書を電子文書で作ったらどうなるの?という質問には、「紙でないので印紙はいりません」という答えになります。これは印紙税法に「印紙を貼るのは書面の文書のみですよ」と書かれているからです。そのため、電子証明書を活用した電子書面の開発が徐々に進んでいます(それほど広がっていない気はしますが・・)。
またよく聞かれる質問の中で、「領収書に印紙を貼るのは5万円以上(平成26年3月31日までは3万円以上)ということだけど、この5万円は消費税込みですか?抜きですか?」というのがあります。答えは、領収書に書く金額が税込金額のみなら税込で判定、消費税を別記するなら税抜で判定となります。別記とは、例えば51,840円(消費税3,840円含む)のような書き方です。
漏れやすい印紙として、「継続的取引の基本となる契約書」があります。大きく「業務提携していきましょう」という内容の書面が多く、具体的な請負金額等が明記されないものがほとんどなので印紙を貼らなくてよさそうだと勘違いしがちですが、4,000円の印紙が必要です。意外と高額です!
また先の西日本豪雨により被害を受けた方が作成する印紙税については、一定の非課税措置が設けられました。すでに貼ってしまった場合でも税金の還付を受けられます。おおまかな条件は下記の通りですが、詳細は国税庁HPを見られるか、弊社各担当者にお問い合せください。
①不動産の譲渡または建設工事の請負に関する契約書であること
②り災証明等を受けた被災者が作成する契約書であること
③災害により損壊した建物の譲渡等や、代替建物の取得等にかかる契約書であること
知ってますか?税金天国
2018/10/01 16:06:27 経済一般
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「タックスヘイブン」という言葉を聞かれたことがありますか?巨大企業や富裕者層の方が税率の低い、または無税の国に会社などを設立して、納める税金を安くして租税を回避するという方法です。「え、そんな国があるの?じゃ早速その国に会社を・・」と思われる方もいるかもしれませんが、基本的には税法でその抜け穴はふさがれています。
私も最初勘違いしましたが、「タックスヘイブン」はTax Heaven(天国)」ではありません。Haven(避難所)という意味です。たしかに税金を全く納めなくていい、というのは人によっては天国みたいなことなのでしょうが(^_^;)
タックスヘイブンとなる国は、無税のケイマン諸島などが有名です。カリブ海に浮かぶ小さな島の国です。広い意味ではシンガポール(法人税率約17%)なども該当します。そもそも税金をかけなくて国として成り立つの?という疑問も出てきますが、これといった産業がないため、無税によって国外から企業を誘致することでその国の経済が成り立っていたりしますので、タックスヘイブンとなる国にとっては一般的な税率で税金をかけることは国の存亡にかかわるため、無税の国がなくなることはまず考えにくいと言われています。
タックスヘイブンを使って租税を回避するために、例えば国内で作った商品を儲けなしにケイマン諸島の子会社に売って、その子会社が利益を乗せてまた販売することで、利益が出ても税金を払わなくて済む、という方法が思いつくと思います。しかし日本の法人税では、「儲けなしに国外子会社に売る」ことが正常な取引行為ではないので、妥当な利益を乗せて販売する価格に売上、利益を修正されます。これを「移転価格税制」と言います。
またこの税制をクリアしたとしても、日本の会社等が50%以上株式を保有している等(詳細はもっとありますが割愛します。また改正により例外もあり)の国外子会社で、税負担割合の著しく異なる(ここも詳細割愛します)場合については国外子会社の利益であっても日本の法人税が課税されます。これがいわゆる「タックスヘイブン税制」です。
ただ、税制により世界のすべての租税回避が阻止されているかというと、そうはなっていないようです。少し前に問題になったパナマ文書だったり、アメリカの某巨大企業がほとんど法人税を払っていないと問題になっていたりすることからもそれが伺えますよね。その国での活動の実態が外部にわかりにくくなるようになっているのもタックスヘイブンの特徴のひとつですので・・。
なおフォローしておきますと、タックスヘイブンにある全ての会社が租税回避目的で設立されているわけではなく、逆に本国と現地国で法人税を二重課税されないようにタックスヘイブンが選ばれていたり、タックスヘイブンでは情報保護、匿名性の観点が強いため政治的に敵対している国の企業と商売するためタックスヘイブンを経由させたりすることもあるようですよ。