業績を立て直すための優先順位とは?
2019/06/03 14:36:42 経営
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業種にかかわらず、事業の利益はざっくり言いますと以下の計算式で算出されます。
利益 = 売上高 ☓ 粗利率 - 経費 ※売上高×粗利率=粗利益
ということは、利益をより上げるためには、(1)売上高を上げる、(2)粗利率を上げる、(3)経費を減らす、のいずれか又はその複数が必要になってきます。
ここまでは当たり前の話なのですが、では業績を立て直す場面においては、(1)(2)(3)の優先順位はどうなるかお分かりになりますか?
答えは、(3)経費を減らす → (2)粗利率を上げる → (1)売上高を上げる、の順番です。
確かに、売上高が上がることが利益の源泉となるわけですし、全社で団結して目標売上高に向かってまい進することでモチベーションも上がってくることとは思います。しかしながら、法人や事業にとって最も大切なことは「継続すること」です。事業が継続しなければ社長さんの生活は成り立ちませんし、従業員も路頭に迷わせることになるかもしれません。また、取引先や銀行にも迷惑がかかるでしょう。
そうなると、事業の継続に最も必要・大切なのは、言うまでもなく「キャッシュ(現預金)」です。法人・事業はキャッシュがある限りは売上が下がろうと、赤字が続こうとも、事業は継続できます。逆に、黒字でもキャッシュが底をつけば倒産します。
売上が実際に入金に結びつくためには、営業活動、マーケティング、契約、製造、納品、請求などのプロセスが必要なため、それだけ時間を要します。また、そのためのキャッシュも必要です。業績が好調で資金にも余裕がある段階では問題ないのですが、事業を立て直すという段階では即効性がないため、逆に苦しい期間が増えます。その点、たとえば月3万円でも支払家賃を削減することができれば、翌月から即3万円のキャッシュを得ることができます。
たとえ3万円でもあなどってはいけません。月3万円の利益を獲得するためには、その事業の粗利率が30%だとすると、月3万円×12か月÷30%=120万円の売上高が毎年必要です。月3万円の経費削減と、毎年120万円の売上確保・・・、どちらが手を付けやすいでしょうか?
また「粗利率を上げる」方法ですが、材料仕入や外注費の得意先ルートを見直すだけでなく、人的コストも見直すことが必要です。ここで言うのは人件費削減=解雇や減給、などという単純かつ下策の話ではなく、業務工程を根本から見直すことで、同じ従業員人数でも、また外注を減らしても今以上の業務キャパ確保、業務効率化ができる体制をつくるという意味です。
事業継続のためには、売上第一ではなく、利益第一主義にこだわっていただきたいです。
消費税増税で令和は暗雲スタート(>_<)
2019/04/30 17:06:20 経済一般
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新年号「令和」、最近ようやくWordやスマホがダイレクトに変換してくれるようになってきました。めでたいことだとは思いますが、私的にはそれよりも10月の消費税10%が今年の最大のイベントです。今だに「増税再々々先送り論」がくすぶってますが、なぜでしょうか?それは、間違いなく景気に水を差すからです。
消費税が8%に増税されたのは平成26年4月ですが、その年の4-6月の日本の実質GDPは年率-6.8%です。歴史に学ぶ、という言葉を出すまでもなく、消費税の税収増など軽く吹っ飛ばす数値ですよね。10%にしたら財政が再建できるとでも本気で考えているのでしょうか?来年の東京オリンピックまで景気はもつと信じて、(その先のことはとりあえず考えずに)日本経済は走っているわけですが、中国の経済も持ち直しの兆しがでてきたので何とかなるかな、というところに消費税増税という時限爆弾が爆発したらどうなるか・・。地方選に敗れた自民党が「増税先送り+衆参ダブル選挙」と言うのもあながち暴論ではないと私は思います。
特に事業者目線からしますと、消費税の8%→10%は2%の増税ではなく、8%×1.25=10%と
25%の増税なわけですから、「消費税は預り金です」と正論を言われても肌感覚的にそれで納得するはずもないことはこの30年間で証明済みで、「景気の先行き不透明感+実質大増税」でまたも景気は低迷・・令和に替わってもそんなことを繰り返すわけです。
さらに軽減税率制度というのも10月から実施予定ですが、これがまた○○もいいところ・・(>_<)こんなものを導入しないと上げれない消費税なら最初から上げるな!と共産党支持者でなくとも言いたくなります。いったい消費税制度を無意味に複雑にして何がしたいんでしょうか。税理士の仕事を増やして税理士の既得権を国を挙げて守ってくれているのでしょうね。ホンマ、ありがたいことですわ。
一応軽減税率制度の説明をさせていただきますと、増税後も飲食料品と(なぜか)新聞の定期購読は引き続き8%です。軽減される飲食料品には、テイクアウト・宅配等は含まれ、酒類・外食等は含まれません。新聞等でよく議題に上がっていたのが、「コンビニで飲食料品を購入して、持ち帰れば8%だが、そのままイートインコーナーで食べると外食に該当するので10%。これをレジでの支払段階でどちらと判断するの?」という話でした。
結論は、コンビニは「イートインを利用される方は申し出てください」と張り紙しておき、レジで購入者に意思確認して判断。たとえ「持ち帰る」と答えて8%払った後イートインで食べても法律上咎めることはできないようで、法理論が破たんしているような・・。
会社の「事業承継」の考え方
2019/04/03 14:20:06 事業承継
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「事業承継」とは、事業を次の世代に引き継ぐことを指しますが、何だか漠然としていますし、具体的な計画方法を理解されている方は少ないのが実情だと思います。ただ、事業承継に関するご相談は年々増えております。団塊の世代が70歳前後になられている、という人口構成も関係していると思います。
事業承継には、大きく以下の3つの要素があります。
(1)「社長のイス」の承継
(2)「オーナー株式」の承継
(3)「社長の個人財産」の承継(譲渡、贈与、または相続)
そして、これらを以下の誰に承継するのか、という問題があります。
(1)息子などの親族
(2)自社幹部役員や従業員
(3)社外への売却(いわゆるM&A)
そして、特に中小企業では、親族に事業を承継させるメリットは、「やっぱり息子に継がせたい」という心理面以外にも、下記の通り多くあります。当事務所では、まずは親族が事業を承継することを基本線として検討すべきであると考えております。
(1)幹部が納得する(幹部の一人が承継者になると、他の幹部が納得しないことが多い)
(2)銀行が納得する(社長の個人資産も引き継いでくれるため、担保面でも安心する)
(3)外部要素に左右されにくく、人生設計を含めた事業承継計画が立てやすい
書店で事業承継に関する本を探すと、自社株評価をいかに下げて税金を抑えるか、という点に多くを割いているものが多いです。たしかにそれも大事ですが、事業を永続的に繁栄させていくためには、次の世代への体制づくり、組織づくりが最重要です。そこには多くの人々の思い、心、気持ちがからみあってまいりますので、それらをおろそかにしないことです。テクニカルな株式・節税対策はその後でいいのです。
ただ税務的、会社法的には、株式の譲渡はとても重要です。その注意点を以下に掲げます。
(1)過半数(51%)では不十分で、67%(3分の2以上)を次期社長に株式譲渡するべき
→重要事項の決定権を抑えるためには3分の2以上の議決権が必要
(2)67%以外の部分でも、できる限り次期社長が株式を保有すべき
→株式買取請求権を行使される、株式の買取代金が多額になる、というリスクが残るため
(3)自社株評価を意図的に下げて株式の譲渡にかかる税金を抑えるためには、5~10年の
スパンで株式譲渡のタイミングを計るべき
(4)「経営承継円滑化法」などの優遇措置は、よくよく検討すべき(後戻りできない)
最終的な事業承継のゴールは、事業承継に関わる皆様の幸せです。幸せな事業承継が行えますよう、歩んでまいりましょう。
二極化市場をどう生きるか
2019/03/04 09:57:12 経営
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業種を問わず、市場の二極化傾向がより鮮明になっております。「大」企業と「小」企業だけが生き残り、その中間的な企業は淘汰されていくと以前から言われておりましたが、今は「大」も淘汰される時代となり、「巨大」と「小」しか生き残ることができなくなっております。
「巨大」企業ですら、たとえば家電小売り業界の王者であったヤマダ電機や、外食(牛丼)における吉野家など、圧倒的な低価格を実現できる企業もってしても、現在は消耗戦により苦戦を余儀なくされているところも少なからずあります。また、アマゾンやグーグルなどの圧倒的な技術やネットワークをもった新興IT企業が、業界地図やユーザーの生活そのものまで完全に塗り替えてしまいます。
その中で私たちがどのように生き残っていくべきか。まず間違っても「巨大」企業が行う、低価格戦略をとってはいけません。「小」が行っても、自らをへとへとに消耗させてしまうだけで長続きはしません。「巨大」ですら、一時期は圧倒的な低価格によりシェアを拡大しても、その後その低価格があだとなって自らの首を絞めているのです。中小企業なら言わずもがなです。
それでは、「小」はどのような戦略を取るべきか?それは、①市場を適切に絞り込むこと、②強み、付加価値、ブランディングを活かす、ことによって「高くても売れる」ようにすることです。特に新規参入企業にとっては、これ以外に生き残る道はありません。
「市場を適切に絞り込む」とは、言い換えますと、戦うべき相手と戦わない相手を区分するということです。小企業がいきなり戦場のまん真ん中に切り込んでいっても返り討ちに合います。自社の経営資源を集中させて、勝てる相手を選んで切り込んでいくために、「市場を絞り込む」のです。
ここでは、地域、場所、を例にとってみます。あなたの市場は、「広島市」ですか?「広島県」ですか?「○○町界隈」?それとも「日本」?「世界」?地域や地域性に大きく影響を受ける業種では、地域の範囲が広すぎると競合が多すぎてジリ貧になってしまいます。地域の範囲が狭すぎると市場規模が小さすぎて利益がでません。また、地域性により戦略が異なる場合もあります。一般的に、大都市圏と地方ではニーズの反応、種類が異なることが多かったりします。
お好み焼き屋を開店するのに、「広島市でナンバー1」では市場が広すぎます。「○○町周辺のサラリーマンの昼食を早く安く提供するお好み焼き屋でナンバー1」ならいけそうではないですか?回転数を多くして採算を合わせる戦略です。逆に、他にはない新鮮な魚介類の仕入れルートがあるならば、「サイドメニューの鉄板焼きと焼酎・日本酒が豊富な、○○町でナンバー1の店」でも戦えるでしょう。この場合は、「夜の宴会客」をターゲットに「単価を高くする」ことで採算を合わせる戦略です。「市場」と「自社の強み」は両輪であり、この2つがかみ合わないままの市場の絞り込みはまず成功しません。
経営的視点からみる、カープの長野選手獲得
2019/02/01 17:02:26 経営
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広島カープが丸選手のFAの人的補償として、巨人の長野選手を獲得しました。広島では街をあげての歓迎ムードで、もう丸ロス?もすっかり過去のものとなったかのようです(私含む)。この獲得は経営的視点からみてどういう意味があるのでしょうか?大いに私見を含めて掘り下げていきます。
まず過去の新聞等の記事を見ても、丸選手流出は既定路線だったようです。1年前の契約更改時にも、複数年契約を提示されなかったことに不満を持っていたそうですし、巨人の破格の条件提示、巨人に外野手の補強があまりなかった、丸選手のお父さんも大の巨人ファンだった・・等、巨人に行く要素がプンプンしていました。
ここまではしかたないですが、いざプロテクトリストを見ると長野選手が外れていた・・。ここで長野選手獲得に動いたのは経営的視点からも大正解だったと私は思います。以下がその理由です。
(1)総合的に見て、丸選手の穴を十分埋めれる
昨年の成績だけを見ると丸選手に分がありますが、長野選手も実績含め十分な成績を上げているし、また人柄・人望も厚く、新井選手の役割だった兄貴分としての立場も期待されるほど。そして人気も丸選手以上かも、という感じで集客・グッズ販売的にも期待できる。会社で言うとエースの営業マンが退社したが、入れ違いにオールマイティなゼネラリストが入社してくれたという感じ。巨人に選手が流出することはあっても、まさか巨人からスター級の選手が来るなど夢にも思っていなかったカープファンにとっても、新鮮さが半端ないでしょう(私)。
(2)相手の戦力を削げる
間違いなく長野選手は今年の巨人でもレギュラー候補でした。巨人も丸選手を獲得したことによってカープの戦力を落とせたでしょうが、それはこちらも同じ。さらに西武と結託して(と私は見てますが)内海選手、長野選手という人望の厚い2選手を移籍させたことで相手の士気もかなり落とせたはず。城を攻めるは下策、心を攻めるは上策という中国の大軍師諸葛亮孔明の言葉を地で行く感じです。とくにシーズン終盤で、必死に追いすがってくるか、それともあきらめムードになるか、という大きな差になった現れるはずです。
(3)金銭的優位
カープには人的補償に加え金銭補償として1億円位入ります。さらに丸選手に3年12億円を提示していたそうなので、長野選手へ年棒を払っても2億円位今年の経費が浮きます。もしもし長野選手が来年FAして巨人に戻ったとしても、再び人的補償+金銭補償が手に入る。しかも巨人は、カープが若手・ベテランどちらも獲得する意志・資金があると知ったのでますますプロテクトに悩む。投資的にいうと、長野選手の獲得はカープにとってローリスク・ハイリターンなわけです。
私はカープファンなのでポジショントークも大いに入っていますが、これで今年もカープが優勝しそうだと思いませんか!?最後にカープファンでない方へ、好き勝手書いてごめんなさい(>_<)