半沢直樹で思い出した、JALの破綻と再生
2020/09/01 13:39:50 株式投資
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今シリーズから半沢直樹を見始めましたが、すっかりはまっております。私の息子いわく「悪役をこんなに好きになったドラマは初めて」らしく、大和田常務とか、シリアス演技なのにギャグ化してくるのも面白いですね。
第5話からの帝国航空の話は日本航空(JAL)がモチーフになっていますが、JALの経営破綻はそんな昔の話ではないので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。JALは2010年に会社更生法の適用を申請して、負債総額2兆3,000億円以上で倒産。ところがわずか2年後の2012年9月には再上場を果たして、コロナ禍で業績が悪化するまでは毎年1,700億円以上の営業利益を叩き出す超優良企業に生まれ変わった、という激動の歩みをしている会社です。
当時は民主党政権で、前原国土交通大臣(例の女性大臣のモデル?)が再生タスクフォースを結成し、その後企業再生支援機構に引き継がれ、金融機関に5,000億円超の債権放棄をさせ、3,500億円の公的資金を注入し、株式を100%減資しました。
今サラッと100%減資と書きましたが、どういうことかわかりますか?100%減資なので、資本金を0円にするということです。それはつまり、株主の持っている株式がただの紙切れに変わったことを意味します。再生に向けて経営資源を少しでも維持するために、株主は全員切腹させられた、ということですね。
JALが再生したのは京セラ創業者の稲盛和夫氏が会長に就任して経営改革を図り、企業風土が変わったことが大きいと言われています。ドラマ同様、大幅な人員削減や企業年金の削減もあったようですね。日本を代表する企業ですし、このコロナ禍もなんとか乗り越えてもらいたいです。
ところで、当時は2009年の秋ころには、JALはもう破綻するだろうという話がかなり大きくなっていて、私もわかる範囲で色々調べた結果、「これは絶対、すぐにでも破綻するな」と思っていました。
そして当時の私の株式の取引履歴を見てみると、私は10月ころからしつこく空売りを繰り返していました。「空売り」とは株価が下がるほど儲かる仕組みの取引で、2009年10月始めの株価は1株140円くらいで、破綻して1円(紙くず)になると1株につき139円、10,000株なら139万円儲かるな、という算段でした。
ところが、たしか当時は「公的資金で、政府は何が何でもJALを殺さない」「救済する企業株主が現れて株価は急回復する」みたいな意見も根強く、そのうち「すぐにでも紙くずになりそうなのに、何でこんなに株価が下がらないんだ」と疑心暗鬼になり、自分の読みが誤ったのだろうと思って12月には完全に撤収しました。その後2010年1月19日に会社更生法を申請しましたので、なんて私には才能がないのだろうと思ったことを思い出しました。
うまく使いたい、自筆証書遺言書保管制度
2020/08/03 16:26:09 相続対策
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遺言書には大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」と公証人が作成し公証人役場で保管される「公正証書遺言」の2種類があります。「自筆証書遺言」は自分でいつでも作成できるので一見お手軽そうですが、有効になるように所定の内容を記載しておく必要がありますし、また遺言者の死亡後に家庭裁判所で「検認」請求をしなければいけません(その前に開封しても無効にはなりませんが、偽造等されていないことを客観的に証明できなくなります)。どこに保管しているかわからなくなる、という可能性もあります。
このような欠点を補うため、令和2年7月10日より「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。法務局で事前に遺言書の内容が有効かを確認してもらえて、保管してくれるようになります。画像データでの保存もされるため検索が容易になり、また家庭裁判所の検認も不要になります。事前に予約し、遺言書、住民票、身分証明書、手数料(3,900円)などを持参すればOKです。
ただし法務局では有効性の確認と保管はしてくれますが、書き方を教えてくれたり相談に乗ってくれるわけではありません。「ご相談には一切応じられません」ときっちり注意書きされていますので、内容自体の専門的なチェックが必要であれば、司法書士や行政書士に依頼することになります。
家賃支援給付金の申請スタート!
2020/08/03 16:24:51 経済一般
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家賃支援給付金の申請受付が令和2年7月14日にスタートしました(令和3年1月15日まで)。令和2年5月~12月の間の、いずれか1ヶ月の売上が前年同月比で50%以上減っているか、連続する3ヶ月の売上合計が前年同月比で30%以上減っている場合に、支払った家賃の3分の2または3分の1、上限で月額100万円(個人事業主は50万円)×6ヶ月分の給付を受けることができます。返済の不要な給付金です。
なお対象家賃は、親族間や同族会社間等での支払い、又貸ししている場合等は対象外です。
申請書類は、法人税申告書・事業概況説明書(個人の場合は確定申告書・決算書)や売上台帳、通帳写しなど、持続化給付金と共通する書類も多いです。また家賃の支払いをしている証拠書類としては、(1)賃貸借契約書の写しと、(2)申請月の直前3ヶ月間の支払実績を証明する書類が必要です。(2)は具体的には、銀行振込明細書か領収書の控え、または支払・引落がわかる部分の通帳の写しなります。
(1)(2)の書類がない場合は、中小企業庁が申請ページにアップしている所定のひな形書類で貸主からの証明をもらう形になります。
申請が可能かどうか、また申請手続き等でご不明な点がありましたら各担当者までご連絡ください。
コロナとAIで色んな仕事は取って代わられる?
2020/07/01 10:03:32 経済一般
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6月末には詳細が発表されると思っていた家賃支援給付金は、6/30時点でまだ発表がありません。また改めてご案内させていただきます。持続化給付金は、申請から7日~3週間程度と、ややばらつきがあったものの比較的迅速に入金されているようですね。また「うちは申請できないだろう」と思っていても、いざシミュレーションしてみると満額申請が可能だった、というケースも散見されています。まだ申請されていない方は本当に申請できないのか、もう一度ご検討ください。
ところでコロナ以前とコロナ以後の変化として「本当はなくてもなんとかなる物と企業は淘汰されていく」という内容のことを前回書かせていただきましたが、そうでなくても「多くの人が今後AIによって仕事が奪われる」と以前から言われるようになっています。本当にそうなるのでしょうか?私は、実際に取って代わられると思っています。
実際にどういう状況になったらAIに取って代わられるかと言うと、それは「人を雇うときの人的コストよりも、AIを導入するときの投資コストが下回る状態になった時」です。AIの導入コストは年々下がっていくでしょうから、同じ成果でコストが下がるなら、経営者としては当然人→AIに切り替えていくでしょう。工場が無人化されていく過去の経緯を見ても、それは容易に想像がつきます。
こう書くと、人間がAIに支配されていくSF映画のような世界を思い描く方もいるかもしれませんが、そうではありません。本来AIは人類をより豊かにしてくれるもののはずです。だって人間の代わりにAIが働いてくれたら、人間は働かなくていいんですよ!
でも実際にはそれでも人間は働かなくてはいけません。なぜなら働かないとお金が入らなくなりますから。働かなくてもいいのにお金のために人は働かなくてはならない・・人間とはお金に支配されている生き物なんですかね(~_~;)
AI時代にどういう仕事のやりかたをしていくべきか。AIがやれる仕事はAIにやってもらう。そして人間はその空いた時間で、人間にしかできない「付加価値の高い仕事」をする。これしかないと思います。たとえば私たちは税理士の仕事をしていますので、AIが試算表や決算申告書の作成部分を今まで以上に担ってくれるのであれば、私たちは空いた時間で顧問先様の経営分析・相談、資金繰り対策、節税対策、事務経理の合理化提案、マッチング業務などにもっと力をいれることができます。
実際のところ時間的な制約等で、まだこれらのことが十分できていないと思っていますので、私としては「早くAIが取って代わってくんないかなあ、他にもっとやりたいことがあるんですけど」と思っています。AIと共存して、より豊かな社会にしていきましょう!
コロナ関連の経済支援策まとめ②とアフターコロナ
2020/06/02 09:55:28 経済一般
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(1)納税猶予関連
法人税などの国税、固定資産税などの地方税、社会保険料は納税が猶予(最長1年間、延滞税などがかからない)される特例制度があります。条件は共通で、令和2年2月以降のどこかの月で前年同月比20%以上売上が減少している月があり、かつ一時に納付することが困難であること(ここは個別に判断されるところだと思います)です。申請は各対象機関にそれぞれ個別に行う必要があります。
(2)固定資産税の減免制度
これは令和3年度の固定資産税になりますが、令和2年2~10月のうちいずれかの連続する3ヶ月で前年同月比30%以上50%未満売上が減少した場合に固定資産税の半分が減免され、前年同月比50%以上売上が減少した場合、固定資産税の全額が減免されます。なお減免とは「納めなくてよくなる」という意味です。要件は厳しいですが、該当する場合は固定資産税の負担が大幅に減少します。申請は令和3年1月になる予定です。
(3)家賃支援給付金
第二次補正予算の成立が前提ですが、令和2年5~12月のうちいずれかの連続する3ヶ月で前年同月比30%以上売上が減少した場合、またはどこかの月で前年同月比50%以上売上が減少した場合、法人で月額最大50万円×6か月、個人で月額最大25万円×6か月、給付額が支給されます。複数店舗を有する場合は法人が100万円、個人が50万円まで月額最大額が引き上げられます。申請方法などの詳細は未定で、早ければ6月下旬から受付が開始されると言われています。
このようにコロナ経済対策は前例のない大規模な内容で次々と打ち出されています。私はウイルスの沈静化と(第二波への備えは必要ですが)、経済対策マネーが市場にあふれることにより景気はとりあえず回復すると思っております。ただしコロナ前と同様の形に戻ることもないと思っています。
なぜなら、この自粛生活により「本当はなくてもなんとかなる物」があぶりだされてしまったからです。みんなが毎日同じ時間に同じ場所へ通勤する必要はないとわかってしまいましたし、買わなくても困らないものが何かもわかってしまいました。これらの「不要とわかったものと、それを作り出していた企業」は急速に淘汰されるでしょう。そしてアフターコロナの世界に本当に必要とされるものが台頭してくると思います。
あと怖いのは、政府が大規模な財政支出をした反動で、将来緊縮財政や増税などにより、再び景気の腰を折ってしまうことです。1930年代の世界恐慌後、積極財政で経済が持ち直しかけた時に緊縮財政を早まったため、再び景気後退に陥ってしまったという歴史を繰り返してはいけません。