野村證券の多額損失から見える、過剰流動性の危うさ
2021/03/31 16:04:23 株式投資
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野村證券が3/29に、米国の子会社での金融取引で20億ドル程度の損失が発生する可能性がある、と発表しました。20億ドルは1ドル110円で換算すると2,200億円です。この金額自体は、野村證券(正確には野村ホールディングス)は2021年3月期に5,000億円程度の税引前利益の予測がされていることから、直ちに赤字転落とか、経営危機とかいったことになる金額ではありません。
しかし同じ取引先の金融取引で、世界大手のクレディ・スイスでも10億ドル~40億ドルの損失が発生するなど、その影響拡大を懸念する声が出てきています。極端な話、リーマンショックの引き金のようにならないか、ということです。
問題となった取引先は、米国のアルケゴスといういわゆるヘッジファンドで、保有資金の何倍もの取引額(=レバレッジ取引)で株式を運用していましたが、保有株が急落したことで債務不履行になり保有株の強制投げ売りが起こり、野村證券などが証拠金(=レバレッジ取引をするための保証金)の回収ができない可能性が高くなった、ということです。
株価がこれだけ上がってくると、極端にリスクの高い買い方をしてくる投資家が出てくるのですが、実際には株価は短期的には上がったり下がったりしているわけで、極端な買い方だと短期間でも急激な下落があればすぐ耐えきれなくなるわけです。
最近の株価は高値圏で乱高下しております。世界各国がコロナ対応のために過去に前例がない規模でお金を市場にばらまいたため、行き場のないお金が株式などの金融資産の価格を大きく押し上げているのですが、世界経済の回復期待だけで評価するには株価はすでに高すぎる域まできており、目先の上昇に乗っかるだけのような、逃げ足の早い資金が多くなっています。
また、今年1月に起きたゲームストップ事件をご存知でしょうか?米SNS「レディット」の掲示板で結託した個人投資家がゲームストップという米小売会社の株式を一気に買い上がり(1ヶ月弱で約18倍まで株価上昇)、同株式を空売りしていた米大手ヘッジファンドに数千億円の損害を与えて破産寸前まで追い込んだ、という事件です。ちなみにこの事件はヘッジファンドに不信感のある個人投資家が、狙ってヘッジファンドを潰しにいったと言われています。
こんなことも、市場にお金が極端に出回ってしまっている(=過剰流動性)からこそ起こるのです。
要するに今はすでにバブルなのです。日本では賃金上昇は一向に起こらないので実感はないですが、世界のお金の動きは明らかにバブル的です。バブルはすぐにではないにせよ、いつかははじけます。また政府も、多額の財政支出を増税という形でいつかは回収に来ます。アンテナを張って、危機に備えましょう。
今後の政府のコロナ対応は?
2021/03/01 17:46:11 経済一般
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日本ではコロナ感染者数は減少しつつありますが、まだまだ予断を許さない状況です。政府では令和2年度第3次補正予算と令和3年度予算で、いくつか追加対策を決定しています。
(1)事業再構築補助金
ポストコロナ時代に対応するために思い切った事業再構築(業態転換や新分野展開など)を
行った場合の設備投資等の金額について上限6,000万円のうち3分の2までを補助する、というものです。対象月の売上10%以上減少、支援機関等との事業計画策定、付加価値の年3%以上の増加などの要件があります。
これらは申請すれば必ずもらえるわけではなく、また申請が採択されて設備投資を行った後に補助金がおります。採択率は初回70%~と言われております。また、交付決定後1年程度の補助事業期間を経て実績報告を行った後に補助金の支払いがされますので、補助金支給は早くて令和4年の後半くらいになります。
(2)一時支援金
令和3年1月に発令された緊急事態宣言に伴う、飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動自粛により売上が50%以上減少した場合に、法人60万円、個人事業者30万円を限度として支給される支援金です。
緊急事態宣言に伴ってということですので、例えば広島県は緊急事態宣言が発令されておりませんので基本的には対象外ですが、概要を読みますと地域外の事業者でも要件を満たせば給付対象となる、とは書いております。
対象事業者は限定されており、飲食店、飲食店への卸業者・設備業者・流通業者・生産者など、または対面で個人向けに商品・サービスの提供を行う事業者(タクシー、ホテル等、カラオケ、小売店など)となっております。
審査手続きは、受付後TV会議や電話等の事前確認等を経て申請→審査という流れになるようです。
(1)(2)とも詳細は3月上旬以降決定されていくと思います。
(3)感染拡大防止支度補助金(医療機関むけ)
医療機関では令和2年度で、コロナ感染症対策費用として県から最大100万円の補助金がありましたが、第3次補正予算で、これとは別に厚生労働省に直接申請する形で最大25万円(指定医療機関、有床診療所等は別枠あり)が補助されます。県のものと領収書等が重なってはいけませんが、補助対象となる経費の種類は県のものとほぼ同じです。また令和3年度予算もありますので、補正予算分で申請しない場合は令和3年4月以降の経費に対して改めて申請することもできます。