新紙幣発行でタンス預金はどうなる
今年の7月3日から新札が発行されます。紙幣の刷新は約20年ぶりで、特に一万円札の刷新は約40年ぶりだそうです。刷新の主な目的は偽造防止ですが、日本ではもう一つ重要な目的があると言われており、それはタンス預金をあぶり出すことです。
日本は他の国と比較してキャッシュレスが進んでおらず、一説にはタンス預金は約50兆円程度あるそうです。このタンス預金が無申告で相続・贈与されると国は相続税・贈与税を相当取りっぱぐれるので、なんとかこのタンス預金を市中に引き出そう、としているわけです。
では新札が発行されると旧札は使えなくなるのか、と言うとそうではなく、今の福澤諭吉の一万円札は今後も使えますし、何でしたら聖徳太子の一万円札だって今も使うことができます。自動販売機とかでは使えないでしょうし、コンビニで聖徳太子の一万円札を出したら若い店員さんだったら偽札と思われるかもしれませんが、それでも少しづつ使っていく分には問題ありません。
しかし大量の旧紙幣を銀行に持っていくには問題が出てきます。もし今聖徳太子の一万円札を1,000万円分自分の口座に預け入れに行っても入金させてくれないでしょう。「自分のお金を自分の口座に預け入れできないなんておかしい!」と思われるかもしれませんが、マネーロンダリングを疑われて金融庁に通報される可能性が高いです。また国税当局に「申告されていない現金を大量に保有している」とマークされるでしょう。
ですのであまりに旧紙幣を多額に長期間所有し続けると、価値はあるものの実質どんどん使いにくいお金になって行く、と言えると思います。
「だったら福澤諭吉の一万円札は、今のうちに少しづつ預け入れしておこう」と思われるかもしれません。毎日のATM限度額が50万円だから、20日に分けたら1,000万円預け入れできるな、と・・。しかし、預貯金の動きは国税当局は、職権で取引履歴を閲覧できます。多額のお金が動くと、その出どころはどこなのか?と疑われます。
また相続税の申告をさせていただく時によく目にしますが、相続が発生する前後で毎日50万円づつATMで下ろしておく、という逆の動きをされることもあります。国税当局からするとこのような預金の動きは、相続税を逃れるための「典型的な」動きに見えます。相続が始まると口座がロックされるから先に引き出しておいた、という方がほとんどだとは思いますが、疑われる動きですのでなるべく避けましょう。
大量のタンス預金は、かえって子や孫を困らせるものになる可能性もあります。これを機に相続税対策は、長いスパンで、コツコツと、子や孫を困らせない方法を見つめ直す必要があるかもしれません!
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