YouTubeの視聴履歴で重加算税
関東でこんな税務調査事例がありました。ユーチューバーが動画投稿による広告収入等約3,600万円を全く申告しておらず追徴課税されたのですが、納税者は当初国税局に対し「確定申告が必要なことを知らなかった」と説明したそうです。ところが国税局は、納税者が「税務調査を受けたらどう対応するか」という内容の動画を閲覧していた履歴と、「確定申告が必要である旨の動画配信サービス会社からの受信メール」の証拠を突きつけ、納税者に重加算税(=40%税金上乗せ)の処分を下しました。
この事例のポイントは、国税局がパソコンの閲覧履歴や受信メールを取得したことに正当性があるかどうかです。マルサの強制捜査ですとパソコンも押収されているでしょうからアウトですが、一般の任意調査ですとこれらの内容を調査官が強制的に確認する権限は、今のところありません。勝手に調査官が確認していたのなら違法調査の可能性があります。
税務調査では、調査官からの「パソコン見せて」の要求は要注意です。請求書のエクセルデータを確認したいと言いながら、このような別の証拠を横目で探している可能性があります。先ほど「今のところありません」と書きましたが、来年から電子帳簿保存法が本格的に施行されます。そうなると例えばEメール本文で代金請求があった場合、そのメールデータ自体の保存義務があり、税務調査で閲覧を求められれば拒否できません。電子帳簿保存法はデータのままでも保存できる便利な改正などではなく、税務当局にこのようなパソコン上の証拠を閲覧する権限を与えるためのものだと解釈すべきでしょう。
この記事にコメントする