二宮尊徳の言葉から思うことあれこれ
突然ですが、二宮尊徳(二宮金次郎)をご存知ですか?薪(まき)を背負いながら本を読んでいる銅像が小学校にありましたよね、あの方です。「勤勉」のイメージはあるものの、何をした人か知らないという方も多いと思いますが、江戸時代後期に荒れた農村の復興を指導し、また道徳と経済の両立を説いた「報徳思想」を唱える思想家でした。その二宮尊徳の残した言葉の中に、こんな名言があります。
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」
かなりストレートかつ本質をついた言葉だと思います。企業・事業者の目的は利益を出すことであるのに間違いはありませんが、経営理念もなくただただ顧客から売上を搾取するような行為は犯罪と同じだ、と断じています。顧客に、ひいては社会に役立つ商品・サービスを提供し、それに見合う対価を得ながら発展することこそ企業の存在意義だということですね。企業が継続的に発展していくには、顧客・社会に貢献するという視点・観点を忘れることがあってはならないと私も思います。
また後半の言葉も厳しいですね。いくら顧客・社会のためという理念があっても、必要以上な安売りや過剰サービスで企業が疲弊し、利益を残すことができなければ永続的に良質な商品・サービスが提供できなくなり、結果的に顧客・社会を裏切ることになる。永続的な実現ができないような経済活動は結局寝言(=意味がない)と断じています。
ところで、最近賃上げの話題が多くなっております。ファーストリテイリング(ユニクロ)がこの春から最大40%の賃上げを行うなど、大手企業で賃上げの動きが相次いでいます。たまった内部留保を活用して、有能な人材を確保していくという動きは日本全体にとっても良いことだと思います。賃金が上がる→購買意欲が増える→企業の業績が良くなる→賃金が上がる→・・の好循環がなかったから、日本は30年間経済成長しなかったわけですから。
一方中小企業はどうでしょうか?賃上げできますか?どうしても必要な人材には(引き止めという意味も含めて)賃上げが必要になってくると思います。そうなると、企業に必須でない人材の賃上げまでする余力がない中小企業では、給与格差が拡大していくのかなと思います。
企業としては、従業員の給与を絞って絞って利益を搾取するようでは最終的には必要な人材まで流出することになり、継続的な発展はないでしょう。かといって大盤振る舞いばかりしていては資金がもたなくなり、結局最終的には職員を失業させてしまうことになるかもしれません。まさに二宮尊徳の言う通りになってしまいます。給与体系の見直しが必要でしょうし、人材配置や社内業務の合理化、また商品・サービスの差別化など、やるべきことをやる企業とやらない企業との格差もまた、拡大していくのだと思います。
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