今月のトピックスと、半導体についても少し
まず最初に、最近決定した気になるニュースを箇条書きでお知らせします。
(1)前々回取り上げました「収入300万円以下は一律で雑所得扱い」への改正は見送りとなりました。帳簿書類の保存を要件に、300万円以下でも事業所得として取り扱えることになりました。ただ逆に言いますと、帳簿書類を整備しておかないと300万円以上でも青色申告等ができない可能性があることになります。なお個人の取り扱いですので法人には関係ありません。
(2)国税のPayPayやd払いでの納付が令和4年12月から可能になります。12/1に国税庁がスマホ決済専用サイトを立ち上げるので詳細はまだ明らかではありませんが、クレジットカード払いのような手数料は不要のようです。ただし利用上限は30万円なので資金繰りを考えた高額決済はできません。
(3)前回、給与計算に関連する改正点を取り上げましたが、それ以外にも令和5年4月より中小企業にも月60時間超の残業代の割増率の引き上げ(25%→50%)が義務化される、また時間外労働の上限規制が段階的に施行される(令和6年4月より建設業等も対象に)など、労務管理も複雑さを増してきます。社会保険労務士などの専門家の手助けも受けることも今後は重要になってきます。
ウクライナ戦争では、ロシアの敗色が濃厚になっているようです。欧米が課しているロシアへの経済制裁は、ロシアは天然ガス等を中国やインドに輸出して外貨を稼げるから意味がない、みたいな意見があります。それ自体はその通りでしょうが本丸はそこではなく、高性能な半導体が欧米から入らないことで「ロシアは新たな武器が作れない」ことに最大の意義があります。おそらくもうロシアには大規模な反撃をするような武器の在庫も生産能力もなく、戦局は覆らないと思います。21世紀の兵糧攻めは米ではなく、半導体を断つのです。
また自動車産業でも、今後は自動運転や電気自動車(EV)普及のため、今まで以上に半導体が必要になります。私見ですが、EVの普及は環境問題・SDGsを考慮して、というのは表の顔で、裏の顔はガソリン車から電気自動車という別物の製品に入れ替わる過程で、アメリカ・日本・ドイツ等が強い自動車産業の勢力地図を中国やイギリス等が一気に塗り替えたいという思惑があるのだと思います。つまり10-20年後の自動車業界を支配したいのでしょう。ここを見誤ると数少ない日本が世界で戦える分野の自動車産業で、日本がかつて半導体シェアを奪われた時の二の舞いになりかねないと思います。
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