10月から給与計算に影響するあれこれ
令和4年10月より給与計算に影響する変更・改定が結構あります。まず雇用調整助成金の支給で国庫の蓄えが少なくなってきたのでしょう、雇用保険料率が上がります。今年4月に一旦事業主負担のみが増えましたが、今年10月からは労働者負担の雇用保険料率も1000分の3→1000分の5に増えます(建設業等は1000分の4→1000分の6)。事業主負担も同時に、再度増えます。
社会保険関係では、保険料は変わりませんが、社会保険の対象になる労働者の拡大があります。社会保険に加入する義務のある労働者は原則として週30時間以上働く方でしたが、2016年10月からは従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方も対象に加わっていました。これが今年10月からは501人以上→101人以上に改定されます(2024年10月からはさらに「51人以上」に改定予定)。
ただし加入要件は週20時間以上だけではなく、①雇用期間が1年以上見込まれる、②賃金月額が8.8万円以上、③学生でないこと、の全てを満たす場合になります。ここで②に注目していただきたいのですが、月8.8万円×12ヶ月≒年収106万円になります。つまり従業員101人以上の会社でアルバイト・パートしている扶養者がご主人等の社会保険の扶養に入るためには年収を106万円未満に抑えないといけません。130万円の壁が106万円の壁に変わりますので、注意して下さい。
また、10月からは最低賃金の改定もあり、全国平均で時給930円→961円に増額されます。広島県では899円→930円になります。私が四半世紀前の大学生の時はたしか最低賃金が645円で、時給650円でアルバイトしていました。それから比べると最低賃金もかなり上がったような気もしますが、世界ベースで見ると日本は賃金の上昇率が低い(確か先進国の中ではほぼ最下位)です。
ここから話はそれますが、最近では中国に仕事を外注したり中国に工場を造ったりするよりも日本国内で外注や工場建設するほうがコストが抑えられるケースが結構あるらしく、中国の賃金は上がり日本の賃金は上がらないことが続き、とうとう逆転現象が起こるまでになったのです。さらに円安が今後も続くでしょうから、これからは日本国内にどんどん工場を建てて輸出したほうが価格競争力が維持できて、政局不安やテロ・戦争の不安のある国より安全です。日本のGDPも増加し、景気・雇用も良くなります。世界中で半導体工場建設ラッシュになっていますが、実際に日本国内でも半導体工場建設の動きが活発で、半導体受注生産最大手の台湾TSMCが熊本県に新工場を設立するなどのニュースもあります。
半導体を制する国が世界の経済、さらに軍事をも制する時代になりつつありますから、この意味は大きいです(半導体については後日もっと詳しく書かせてもらいます)。ロシアは強かったころのソ連を遠い目で懐かしんで馬鹿げた戦争を続けていますが、中国の台湾侵攻はそんな理由ではなく、台湾の半導体技術を手中に収めてアメリカから世界の覇権を奪う、という極めて現実主義的な理由によって動いている気がしてなりません。
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