令和4年度税制改正
昨年12月に令和4年度の税制改正大綱が発表されました。特に気になるものをご紹介させていただきます。
(1)中小企業所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)
給与支給額が増加した場合の税額控除です。この税制は令和3年4月以後開始事業年度から「2年以上継続して雇用していた雇用者への給与額」という制約が外れ、とにかく雇用者への給与支給額が1.5%以上増加した場合に税額控除の対象となっています。給与増加額×15%~25%(法人税額×20%限度)が税額控除額でしたが、令和4年4月以後開始事業年度からこれが拡大され最大で給与増加額×40%まで法人税額・所得税額が控除されるようになります。ただし赤字法人等には引き続き適用がないので、この税制がどこまでコロナ禍での中小企業の賃金上昇に貢献するのか微妙ではあります。
(2)住宅ローン控除の改正
令和4・5年の住宅ローン控除額が借入残高の1%→0.7%に引き下げられ、ただし控除期間は10→13年に拡大されました(認定住宅等以外の場合)。こちらの意味するところは、近年の住宅ローン金利低下により金利が1%未満の場合は支払う金利より控除される税金のほうが大きくなるいわゆる「逆ザヤ」の発生が頻発するようになり、住宅ローンを借りる必要がない人まで逆ザヤをゲットするようになっている流れを抑えるためです。
言い換えればこのような改正がされるほど住宅ローン金利は低下傾向が続いているわけで(低い場合だと0.5%以下のものもあり)、今の住宅ローン金利が高いと思われている方は借り換えの検討をされてもいいと思います。
(3)電子帳簿保存法について
前々回の通信でお知らせした一部データ保存の義務化については、影響の大きさや世間的な対応が間に合わないということもあってか、2年間の経過措置が認められました。つまり、本格施行は令和6年からとなります。財務省や国税庁が一度決定した事項について施行までの経過措置を後で設けるというのは極めて異例のことです。
(4)その他
令和4・5年の住宅資金贈与特例の非課税金額は500万円(耐震住宅等は1,000万円)と一部縮小されました。また貸付用の固定資産取得については10万円未満でも全額算入ができないという特例が加わり、少額なドローンや足場を大量購入してレンタルする、というスキームの節税が塞がれました。
なお、贈与税の基礎控除(年間110万円)の見直し(廃止を含めて)がされるのではないかと言われていましたが、今回は見送られたようです。あくまで今回はですが。
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