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日本低迷を象徴する、東芝の迷走っぷり

2021/04/30 13:09:43  経済一般
 東芝といえば、1875年に創業し、現在グループ従業員数12万人を超える日本を代表する世界的企業の1つですが、最近新聞やニュースでよく取り上げられる企業でもあります。個人的には、この東芝の迷走が低迷する日本を象徴していると思っております。

 東芝迷走の始まりは2015年、まず内部通報により粉飾決算が発覚しました。社内に厳しいノルマ、パワハラが横行した結果、7年にわたり合計2,306億円の利益をかさ上げしていました。また2017年にはアメリカ原子力子会社が原発建設遅延などにより破綻。損失金額の計上方法を巡って監査法人とも揉めて2度の決算発表延期をした末に、最終約1兆円の損失を発表して東芝自体も破綻危機に陥ります。2018年には稼ぎ頭の東芝メモリ(現キオクシア)を国外企業等に売却して債務超過を回避し(ちなみにサザエさんのスポンサーを降りたのもこのころ)現在に至っています。

 で、何が日本低迷の象徴なの?ということですが、社内のパワーバランスしか考えない組織体質とか、東日本大震災後も原発事業を継続したあげくの失敗という時代の流れの見る目のなさ、等ももちろんあるのですが、やはり半導体事業にあると思います。

 1989年(平成元年)ころは、日本の半導体の世界シェアは50%強に達していました。半導体は家電品、パソコン、スマホ、インターネット、インフラなど、当時も今もあらゆるものに欠かせない存在で、戦後復興~高度成長期~バブル期と突っ走ってきた日本が、世界のトップランナーの一角にまで復活したことの象徴の1つでした。
 それが今は6%にまで低迷しています。バブル崩壊後は国外に人材が流出して技術を奪われ、2013年には東広島市にメイン工場があった当時世界4位の半導体メーカーが経営破たんでアメリカのマイクロン社に売却、シャープも2016年台湾の鴻海精密工業傘下になり、はてにはこの東芝メモリ売却です・・。これが、世界への影響力もすっかり低下し、アメリカと中国の覇権争いに挟まれ右往左往している今の日本の象徴と言わずして何なのか・・。

 そして最近東芝がよくニュースで出てくるのは、イギリス系投資ファンドが東芝を約2兆円で買収したいという提案がされたからです。これが外資資金で実現しますと、まだ4割程度株式を保有している前述キオクシアを含めて完全に外資の手に落ちるわけです。
東芝には原発事業等も残っていますので、そのまま全て国外に流出はさすがにいかん、ということで、日本の外資規制審査が関わり、最終的には日本企業も含めた買収案が提示されるという話になっています。
 
 買収提案のニュースが流れたのが4/7ですが、今度は4/14に社長辞任(事実上の解任と言われています)のニュースが出ました。辞任した車谷社長は買収提案したイギリス系投資ファンドの日本法人出身ということで、様々な憶測が流れています。まだ迷走は終わりそうにありません・・。

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税理士・代表取締役 沢辺勲
趣味は株式投資とマラソンと広島カープ
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