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103万円の壁は崩壊!現状を正確に確認

2019/08/01 20:11:13  節税
 「年収を103万円以内に抑えないと、主人の扶養から外れたら大変・・」奥様がパートで働く場合によく言われるセリフです。現在、これは正しくなくなっています。

 「扶養」には2種類あり、その要件が異なります。(1)税金の扶養から外れるのが年収103万円(通勤費除く)以下、(2)社会保険等の扶養から外れるのが130万円(通勤費含む)以下、になります(給与収入のみの場合)。それ自体は変わっていないのですが、(1)には続きがあります。

 まず、年収103万円以下の場合は、ご主人は配偶者控除38万円が取れます。これは変わりません。そして103万円を超えた場合、確かに配偶者控除は取れなくなりますが、その替わりに配偶者特別控除が取れます。しかも税制改正により、平成30年以降は年収150万円以下の場合は配偶者特別控除が38万円取れます。つまり奥様の年収150万円までは、ご主人は控除が38万円(変わらず)取れますので、103万円の壁は150万円に替わっていた!と言えます。ただし社会保険等の130万円の壁は変わらず存在します。社会保険等を奥様が別途負担するようになると夫婦の手取り合計が下がりますので、結局130万円の壁は越えてはいけないということになります。

 また同時に配偶者特別控除には所得制限が設けられ、ご主人の所得金額が900万円超では配偶者特別控除が減額され、所得金額1,000万円超(給与収入のみの場合、1,220万円超)で控除が受けられなくなりました。
 この配偶者特別控除の改正は平成30年からですが、この類の給与・扶養関係の控除を引き下げる動きは近年細かく少しずつ施行されています。さらに令和2年からはこのような改正もあります。

 令和2年からの給与所得控除(基本は増税)
 →  (1)一律10万円引き下げ
    (2)控除を受けられる給与収入の上限を850万円に引き下げ(現行は1,000万円)
    (3)控除額の上限を195万円に引き下げ(現行は220万円)
    (4)給与収入から850万円を控除した金額の10%を、給与所得から控除(ただし本人または
       扶養親族が特別障害者であるか、23歳未満の扶養親族がいる場合のみ)

 令和2年からの基礎控除
 →  (1)一律10万円引き上げ(ここだけ減税。ただし給与所得控除の(1)で行って来い・・)
    (2)所得金額が2,400万円超の人は引き下げ、2,500万円超で0円に
   
 そして上記2つの改正に伴い、扶養親族の合計所得要件を48万円以下(現行38万円以下)に引き上げました。ただし給与所得控除の引き下げがありますので、扶養親族の給与収入の上限は48万円+(65-10)万円=103万円で変わりません(^_^;)
 
 それにしても、基礎控除までいじくるのか~という感じです。ああややこしいなあ(>_<)

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税理士・代表取締役 沢辺勲
趣味は株式投資とマラソンと広島カープ
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