業績を立て直すための優先順位とは?
業種にかかわらず、事業の利益はざっくり言いますと以下の計算式で算出されます。
利益 = 売上高 ☓ 粗利率 - 経費 ※売上高×粗利率=粗利益
ということは、利益をより上げるためには、(1)売上高を上げる、(2)粗利率を上げる、(3)経費を減らす、のいずれか又はその複数が必要になってきます。
ここまでは当たり前の話なのですが、では業績を立て直す場面においては、(1)(2)(3)の優先順位はどうなるかお分かりになりますか?
答えは、(3)経費を減らす → (2)粗利率を上げる → (1)売上高を上げる、の順番です。
確かに、売上高が上がることが利益の源泉となるわけですし、全社で団結して目標売上高に向かってまい進することでモチベーションも上がってくることとは思います。しかしながら、法人や事業にとって最も大切なことは「継続すること」です。事業が継続しなければ社長さんの生活は成り立ちませんし、従業員も路頭に迷わせることになるかもしれません。また、取引先や銀行にも迷惑がかかるでしょう。
そうなると、事業の継続に最も必要・大切なのは、言うまでもなく「キャッシュ(現預金)」です。法人・事業はキャッシュがある限りは売上が下がろうと、赤字が続こうとも、事業は継続できます。逆に、黒字でもキャッシュが底をつけば倒産します。
売上が実際に入金に結びつくためには、営業活動、マーケティング、契約、製造、納品、請求などのプロセスが必要なため、それだけ時間を要します。また、そのためのキャッシュも必要です。業績が好調で資金にも余裕がある段階では問題ないのですが、事業を立て直すという段階では即効性がないため、逆に苦しい期間が増えます。その点、たとえば月3万円でも支払家賃を削減することができれば、翌月から即3万円のキャッシュを得ることができます。
たとえ3万円でもあなどってはいけません。月3万円の利益を獲得するためには、その事業の粗利率が30%だとすると、月3万円×12か月÷30%=120万円の売上高が毎年必要です。月3万円の経費削減と、毎年120万円の売上確保・・・、どちらが手を付けやすいでしょうか?
また「粗利率を上げる」方法ですが、材料仕入や外注費の得意先ルートを見直すだけでなく、人的コストも見直すことが必要です。ここで言うのは人件費削減=解雇や減給、などという単純かつ下策の話ではなく、業務工程を根本から見直すことで、同じ従業員人数でも、また外注を減らしても今以上の業務キャパ確保、業務効率化ができる体制をつくるという意味です。
事業継続のためには、売上第一ではなく、利益第一主義にこだわっていただきたいです。
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