Amazonに反撃か!? 消費税のリバースチャージ方式
今まで、AmazonやGoogleなどのインターネット関連の外国企業に対して消費税を課税できないことによって、年間で200億円以上の税収が失われているとの指摘がありました。例えば私たちがAmazonで書籍を購入した場合、通常の書籍であれば消費税が課税されていますが、それが電子書籍であった場合には課税されていません。
なぜでしょうか?それは、消費税の取り扱いは、国内取引であれば課税、国外取引であれば不課税になるからです。そして、その内外判定は、資産(紙の書籍)の譲渡であれば、それが引き渡された場所が国内か国外か、役務(電子書籍)の提供であれば、原則役務の提供を行う者の事務所等の所在地が国内か国外か、で判定していたからです。
ちなみに、Amazon.co.jpでのショッピングは日本の消費者がAmazon USAから購入しているという取引形態になっており、日本国内にあるのは倉庫のみという主張です。以前、日本の税務当局がAmazonに法人税の課税をしようとした時も、「日本国内には倉庫はあるが支社等は設置していない」ので日本での納税義務はない、ということになり、アメリカとの国際問題に発展しかけたので矛をおさめた、という「うわさ」もあります。
このことにより、同じ電子書籍でも国内事業者が提供するものには消費税が課され、国外事業者から提供するものには消費税が課されないという、税金の、さらには事業者間の価格競争の不公平感が以前から問題にされていました。
そこで、平成27年10月より消費税のリバースチャージ方式というものが導入されました。これにより、国外事業者からの広告の配信等については「役務の提供を受けた国内事業者に申告納税を課す」こととなりました。つまり、支払う側が消費税を納税する(元々の納税義務者である事業者のみ)という、いままでにない方式になりました。ちょっと源泉所得税の預かりに似ているような感じです。また、電子書籍の配信等については、「国外事業者の登録」がされた国外事業者には新たに申告納税の義務が課されることとなりました。
これにより、上記の200億円以上の税金が全額納税されていくのかは、計算上の問題もあり、そうはならない気もするのですが・・。ともかく、日本の税務当局による「反撃の一手」となったことは間違いないのでしょう。ちなみに、簡易課税事業者等は適用する必要がないのですが、各社の会計ソフトには「特定課税仕入れ」という新しい入力区分がつくられています。
実際のところ、これらの適用を受ける取引や事業者は多くはないのですが、インターネットの普及による国境のボーダーレス化と、それに伴う課税当局側の苦悩がうかがえるところが面白いです。
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