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マイナンバー制は、行政の利便性向上か、それとも国家の国民監視制度か

2015/01/26 17:01:39  経済一般
 昨年5月に閣議決定され、平成28年1月より始まるマイナンバー制度。内閣府の発表によると、今年10月に国民一人ひとりに、一生使うマイナンバー(個人番号)が通知され、平成28年以降は年金などの社会保障や税金、免許証やパスポートなどの手続きにはマイナンバーの提示が必要になります。

 縦割りだった行政が情報を共有化して、行政サービスの利便性が向上するようには思います。まだ記憶に新しい「消えた年金問題」なども今後は起こらなくなるかもしれません。また、社会保険の加入漏れや税金の課税漏れ、脱税防止などの意図もあるようです。そこまでは良しとしましょう。

 ただ、先日平成27年度の税制改正大綱を読んでいると、その中にこんなことが書いてありました。 「マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用を行う」と。つまり、今後預金口座にもマイナンバー制を拡大し、全ての預金口座を国が監視しちゃう予定があるよ、ということです。名目は脱税防止、マネーロンダリング防止、生活保護不正受給防止、などですが、これはやりすぎでは!!と思ってしまいます。日本は、集団的自衛権で他国と戦争し、マイナンバー制で国民を監視する、という戦前の過ちを繰り返す第一歩になるかもしれない、という危うさをこのマイナンバー制は秘めていると思います。

 他にも問題はあります。そもそも「住基ネット」という国民IDを利用した行政サービスをうんぬん・・・というのがありますよね。私は利用したことがありませんが。巨額を投じて作ったこの住基ネットはどうするの?マイナンバー制とどうちがうの?というのを説明してほしいですよね。でないとこのマイナンバー制もただの「IT公共事業」と化してしまいます(数千億円規模の市場規模だそうです)。

 後はやっぱりセキュリティの問題が不安です。なんといっても一生同じ番号を使うわけですから。なりすましなんかにどう対応するのか?サイバーテロ対策は?公務員からの流出はないのか?など。なんといってもプライバシーの塊ですからね、マイナンバーの情報は。

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税理士・代表取締役 沢辺勲
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