非上場株式の評価見直し
2026/08/03 16:38:44 税制改正
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現在国税庁が有識者会議を立ち上げ、非上場株式の評価方法の見直しについて議論されています。令和10年分からの評価計算が抜本的に変更される可能性があり、実現すれば62年ぶりの大改正とのことです。非上場株式の評価方法が見直されることは、すなわち事業承継し株式を譲り受ける場合における税負担がどうなるか、を意味します。
現時点では結局税負担が増えるのか?減るのか?というところまでは進んでおらず、第1・2回会議では例えば、非上場株式の評価計算である類似業種比準方式による評価額が上場株式市場の急激な変動によって左右されることが妥当なのか、等の話が出たようです。第3回会議では日本商工会議所と日本税理士会連合会から意見資料が提出され、「事業承継とは経済的な合理性を求めて行うだけではなく地域経済や従業員のためにという側面もあるのに、その事業承継者に対し重い税負担を課すのはいかがなものか」「現在の評価方法は中小企業株式の現金化が困難、という課題を反映していない」「中小企業はゴーイングコンサーン(継続企業)として事業を続けているのに、純資産価額方式(=解散価値)で評価されるのはおかしい」「会社規模が小さくなったにもかかわらず評価額が上昇するケースがある」など、かなり踏み込んだ問題提起がなされたようです。今後の成り行きを見守っていきたいです。
青色申告75万円控除と、総勘定元帳の電子化
2026/07/01 18:02:40 税制改正
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令和9年分の個人の確定申告より、青色申告控除の最大額が65万円→75万円に拡充されます。ただし、今まで通りやっていて自動的に控除が増える、というものではありません。逆に大きく減ってしまうケースもあります。
令和8年分までは、事業的規模の事業所得または不動産所得の申告を行う場合、複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書などを確定申告書に添付し期限内に申告すれば55万円控除、それをさらに電子申告するか、総勘定元帳等を優良電子帳簿保存していれば65万円控除が取れました。ところが令和9年からは55万円控除そのものが無くなり、電子申告しなければ(=紙提出すれば)無条件に最大10万円しか控除が取れなくなります。そして75万円控除を受けるためには、「電子申告かつ優良電子帳簿保存」が必要になります。
この優良電子帳簿保存というのは、総勘定元帳を単にPDFにして保存するだけでは要件を満たしません。会計データそのものが電子帳簿として保存されており、訂正・削除の履歴が残ったり検索が行えるような仕組みでないといけません。これは個人で構築するのはとても難しいですが、当事務所では優良電子帳簿保存に対応しうる会計ソフトを導入し、顧問先様のほうでも閲覧可能なデータとしてお渡しできるように準備中です。これで75万円控除が取れるようになります。また法人様にも同様のデータをご準備する予定です。
これらは令和8年末までに導入する予定ですが、それまではPDFデータによる総勘定元帳のお渡しとなります。従来より行っていた紙印刷での総勘定元帳のお渡しはペーパーレスの観点も含めて、廃止させていただきます。PDFの総勘定元帳は優良な電子帳簿ではありませんが、適切に保存していただくことで紙印刷での総勘定元帳の保存と同様の、一般の帳簿保存義務は満たされることになります。
「消費税1%」の議論に、日本の悪い点が凝縮
2026/06/01 17:06:26 税制改正
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選挙後にしばらく音沙汰のなかった飲食料品の消費税減税ですが、最近になって「令和9年4月~令和11年3月に限定して8%→1%に引き下げ」という話が出てきました。その経済的効果や税収へのインパクトはさておき、「0%だとレジのシステム改修に1年程度かかるから、0%でなく1%にする案が有力になった」という部分が個人的にはすごく引っかかりました。
消費税率の変更だけでシステム改修に1年?日本ってどれだけIT後進国なのよ、って思いませんか?本部のサーバーの設定をポチッと変えれば、10秒くらいで全国全てのレジの設定が完了するんじゃないの?どうなってんのよ??
もともと日本の消費税にも0%という概念は存在します。それは輸出です。日本の消費税は「日本国内での資産の譲渡につき課税される」税金のため、国外に輸出した商品などの売上にかかる消費税は0%になります(輸出免税と言います)。ただ「国外で販売した場合」というシチュエーションなので、それをレジで打つ、という場面は基本的にありません。なのでレジの基本的な概念として0%が想定されていないのです。そのため、レジのシステムの根幹の計算プログラムを書き換えないといけなくなります。
またこの輸出免税もそうですが、もし飲食料品の消費税が0%になった場合も、これは「0%課税売上」であり、「非課税売上」「消費税対象外売上」とは消費税申告時の意味合いが全く異なる(詳細は割愛しますが)ので、0%だからレジでの消費税を無視しちゃえばいいじゃん、というわけにもいかないです。令和最大の改悪であるインボイス制度もからむので、なおさらややこしいのです。
なるほど、その点1%にするなら、10%と8%に1%を付け加えるだけなので、10秒くらいで設定が完了するわけですね。政府案には「1%への改定ならレジのシステム改修は3~6ヶ月で済む」とあります。
ん?3~6ヶ月??待て待て、1%こそ設定をポチッと変えればさすがに完了するだろうよ!ところが、日本の個人の飲食店や地方のスーパーなどでは、ネットに繋がっていないレジ、使い切りのPOSレジなどが現役で大量に動いているのです。それを業者が1軒ずつ店舗を回って機器を入れ替えたり手作業でアップデートや設定変更したりしたら・・。なるほど、確かに3~6ヶ月かかりますな・・。
結局何が悪いかって、日本の消費税の仕組みがツギハギだらけの複雑怪奇な体系になってしまってるからです(レジのシステムもだけど)。こんなシステムしか構築できない日本なんだから、そりゃあマイナンバーだって他国と違って使えないものになるよね・・。日本が世界に誇れる技術や文化はたくさんあって、それは日本人としての誇りでもあるのですが、こと消費税のシステムに関してはホコリかぶってるなあ、と思っちゃいました。
令和8年度税制改正大綱の内容を解説!
2026/01/05 18:10:18 税制改正
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令和8年度の税制改正大綱が令和7年12月26日に閣議決定されました。早速121ページある大綱から気になったものをピックアップしていきます。
(1)年収の壁と扶養控除範囲の見直し
「年収の壁」とはいくらまでの収入なら所得税がかからないかというラインのことで、給与収入のみの場合の金額が令和7年から103万円→160万円に改正されていました。これが令和8年から178万円に再度改正されます。基礎控除の最大額が95万円から104万円に、給与所得控除の最低保証額が65万円から74万円に改正されたため、104+74=178万円に年収の壁が変わりました(ただし令和10年以降はまた見直される予定)。なおこの年収の壁はあくまで所得税に関してなので、住民税は108万円からかかります。
またこの年収の壁はあくまで「本人に」所得税がかからないラインなので、178万円までなら税金上の扶養に入れるという意味ではありません。扶養に入れるのは給与収入の場合、基礎控除(本則)62万円+給与所得控除(特例を除く金額)69万円=131万円まで(令和7年は123万円まで、それ以前は103万円まで)です。社会保険の扶養判定も130万円ですので、ざっくりと「税金も社会保険も130万円まで」を目安に考えてもいいでしょう。
(2)暗号資産の課税見直し
暗号資産への課税が20%申告分離課税になります(金商法改正の翌年1月1日から)。現状の総合課税では最大55%課税されるため利益確定をためらっていた方も多いと思われますが、今後は上場株式と同様の課税になる(3年間の損失繰越控除も使える)ため、より取引しやすくなったと言えます。
ただし特定口座の制度はないので、源泉徴収はされないため今後も必ず確定申告は必要になります。また確定ではありませんが、国外転出時課税の対象になる(対象資産を1億円以上所有していた場合(売却していなくても)出国時に含み益に対して課税される)、国外取引所で取引したものは分離課税の対象から外される、という内容がセットになる可能性が高いです。
(3)免税事業者からの仕入税額控除の特例の改正(インボイス関連)
免税事業者に支払った経費につき消費税部分の80%を控除できる特例が令和8年9月で終わりますが、その後の特例スケジュールが変更になり、令和10年9月まで70%控除、令和12年9月まで50%控除、令和13年9月まで30%控除となりました(改正前は令和11年9月まで50%控除のみ)。また元免税事業者の納税額を軽減するいわゆる「2割特例」についても令和8年9月で終わりますが、その後令和10年9月まで「3割特例」が追加されます。
(4)少額減価償却資産の特例の改正
青色事業者が全額減価償却費で落とせる固定資産の額が30万円→40万円未満に。ただし年間合計300万円までが上限、という要件はそのままです。大綱には明記されていませんが、おそらく令和8年4月から適用されると思われます。
ややこしすぎる!所得税の基礎控除の改正
2025/07/01 16:55:05 税制改正
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所得税の基礎控除が令和7年より改正されます。が、施行は令和7年12月1日となっており、「今年はとりあえず今までどおり計算して、年末調整や確定申告で全部つじつま合わせてね」という摩訶不思議なことになりました。その改正の内容ですが、当初は一律48万円→58万円になるという話でしたが、最終的には合計所得金額132万円以下の場合で95万円、それ以上の場合で58万円+令和7・8年分の上乗せ金額あり、という形になりました。
同時に給与所得控除の最低額も55万円から65万円に改正されましたので、収入が給与だけの場合は基礎控除95万円+給与所得控除65万円=年収160万円までは所得税がかからないということになります。なお住民税の基礎控除は改正されませんので、住民税はかかります。
また税金上の扶養に入れる所得の要件も、基礎控除に合わせて合計所得金額48万円→58万円と改正されています。ところがこれは最大95万円までの上乗せはないので、給与収入のみの場合、基礎控除58万円+給与所得控除65万円=年収123万円までが税金上の扶養に入れる要件となります。年収123万円~160万円の場合、本人に所得税はかからないけど税金の扶養にも入れない、という状態になります。気を付けてください。
なお103万円の壁は123万円まで後退しましたが、社会保険上の扶養の壁である106万円や130万円は何ら変わりませんので、引き続きこれらの壁は意識していく必要があります。
毎月の給与から天引きする源泉徴収税額を変更するのは令和8年1月からになります。基礎控除等の変更に伴い金額が変更されますが、特定扶養親族(19~22歳までの扶養親族)の所得控除の改正もあったため、大学生の子をもつ方の扶養人数のカウント基準も変更(年間給与収入165万円まではカウント可)されています。ご注意ください。