意外ともうすぐ!?インボイス制度
2022/05/31 18:03:04 経理事務
コメント (0)
インボイス制度の概要は令和3年10月1日号(第92号)の事務所通信でお伝えしましたが、法案は平成の時代にすでに成立しており、令和5年10月より施行されます。まだ一年以上先ですが、取引先から登録番号を聞かれるケースが散見されるなど、意外ともうすぐなのです。ちなみに登録番号は法人はT+法人番号と最初から決まっているのですが、(わかっているからと登録申請せずに使用するのは違法です。一応)個人はマイナンバーとは関係ない13桁の番号が割り振りされます。TはたぶんtaxのTなのでしょうね。
もともと毎期消費税の申告納税をしている事業者にとっては、「適格請求書発行事業者の登録申請」をすれば2週間程度で登録通知が来ますので、令和5年10月以降に発行する請求書や領収書にその登録番号を載せれば、あとは事務的に変わることはあまりありません。また申請することによるデメリットも特にありません。弊社では、決算時に合わせて登録申請をさせていただいているケースが多いです(各担当者が随時ご案内いたします)。
問題は免税事業者または年間課税売上高が年度によって1,000万円に届いたり届かなったりするような事業者の場合です。売上先がほぼ100%事業者である場合は基本的には申請したほうがいい(せざるを得ない)のですが、売上先の大半が個人消費者の場合は、個々の状況に応じて判断する必要があります。たとえば飲食店の場合、飲食代を接待費として経費にするつもりのお客様から「登録番号がないのなら消費税分は支払わない」と言われるケースが時々あるでしょうが、一般消費者の方がその点意識する場合は少ないでしょうから、申請をして毎年納税をするほうが損なのでやっぱり申請はやめておこう、という判断になる場合もあります。
またインボイス制度の開始は令和5年10月からですが、令和5年3月31日までに申請しておかないと、原則令和5年10月からではなく翌事業年度からしか登録されませんので、注意が必要です。登録申請に合わせて簡易課税の選択申請をしたほうがいいケースもありますので、これらの点をからめて各担当者から提案がありましたら一緒にご確認をお願いします。
最後に、自社で会計処理をされている経理担当者様へ。令和5年10月以降は全ての領収書請求書に登録番号があるか否かを確認し、消費税コードを変えていかないといけません。インボイス制度開始後6年間は登録番号がない領収書等でも8割または5割のみ仕入税額控除が認められる経過措置があります。これらも全て区分が必要です。はっきり言って、結構面倒になりますよ!涙
ふるさと納税の証明書が簡素化
2021/11/30 16:41:52 経理事務
コメント (0)
確定申告時にふるさと納税の控除適用を受けるためには、今までは地方自治体ごとの寄附金受領書を添付しないといけなかったので、寄附回数が多いと書類がたくさんになり集計も大変でしたが、令和3年分の確定申告からは特定事業者から発行された「寄附金控除に関する証明書」(年間寄附額が記載されたもの)を添付すれば良くなりました。
指定された特定事業者は国税庁のホームページに載っていますが、大手のふるさと納税ポータルサイトは概ね登録されています(11月12日時点で14事業者)。楽ちんですのでこちらを活用しましょう(私も楽ちんです(^_^;))。
意外と影響の大きい、電子帳簿保存法の改正
2021/11/01 16:14:50 経理事務
コメント (0)
令和3年度の税制改正の中の1つに「電子帳簿保存法」の改正というのがあり、令和4年1月より施行されます。今までも帳簿書類の電子保存は認められていたのですが、要件が厳しく、あまり使われていませんでした。今回はその要件が緩和されたことと、一部に紙保存ではダメで、必ず電子保存しないといけないものが新たにできたため、注意が必要になります。
まず要件の緩和の方ですが、①税務署への事前申請が不要になった、②タイムスタンプの付与期間が3日以内→2ヶ月以内(+7営業日)に変更、③検索要件が緩和、などが挙げられます。
タイムスタンプとは、スキャン等をした電子データに、データが存在した日付とその日以後データが改ざんされていないことを証明するものになります。タイムスタンプの技術を提供している業者自体が少ないですが、今後改正に伴い増えてくるものと思われます。またクラウド会計等では仕訳データにスキャンした領収書がひも付けされ、修正や削除の履歴も残るようになっていますので、これらのシステム上で保管する電子データについてはタイムスタンプ自体が不要になります。
ここまでは電子保存を考えていない方には何の影響もないのですが、ここからは全ての方に影響がありまして、電子取引で行われる電子データ(のうち国税に関係する書類)の保存は「電子保存が義務化」になります。
電子取引とは、メール添付、web送受信、インターネット上、ファックス等により行われる取引と定義されており、例えばメールに添付されたPDF形式の請求書を受け取った場合、ネットで買い物をした場合、インターネットバンキングで振込をした場合等が挙げられます。
令和4年1月以降は、PDFで受け取った請求書を印刷して紙保管をしても税務上の保管要件を満たさないことになります。最悪青色申告取り消しもあると国税庁は言っています。そのため、相手側にタイムスタンプを付してもらうか、タイムスタンプのないデータを受け取った時は自分で速やかにタイムスタンプを付すことが義務づけられます。
現時点では、タイムスタンプを導入しようにも取り扱いサービスが少なく、整備されるにしてももう少し世間の動向を見てからのほうがいいかもしれません。会計ソフト会社も現時点で全てに対応できてはいないようです。アマゾンや楽天で買い物をして領収書をダウンロードする際には自動的にタイムスタンプが付与されるようにしてくれたら便利なのになーと思いますが、あくまで私の希望的観測です・・。
インボイス制度 ~大増税への新たな布石~
2021/10/01 17:41:32 経理事務
コメント (0)
消費税のインボイス制度が令和5年10月に導入されるのに伴い、令和3年10月より登録申請の受付が開始されました。インボイスは取引時に「適格請求書」を使用して売手側が買手側に消費税率や消費税額などを正確に伝えるものです。
適格請求書は基本的には今までの請求書、領収書等と内容はほぼ変わりません。税率ごとの消費税額を区分表示することは令和1年10月の軽減税率導入時にすでに求められていますので、変わる部分は「登録番号」を記載することくらいです。この登録番号を税務署から発行してもらう申請の受付が開始されたと言うことになります。令和5年10月1日からの登録を受けるためには令和5年3月31日までに申請をする必要があります。弊社でも申請等の対応を順次させていただく予定です。
それがなぜ大増税への布石になるのかということですが、まず登録番号のない請求書等は仕入税額控除ができません。課税事業者(簡易課税選択時を除く)は、売上と一緒にもらった消費税額から経費支払と一緒に払った消費税額を引き算して残りを納税するのですが、登録番号の記載のない請求書・領収書を受け取った場合はこの引き算ができず(開始後6年間は一部経過措置あり)、納める納税額が増えます。
次にこれが最も大きい点ですが、課税売上高が1,000万円以下の免税事業者(消費税を納めていない事業者)はそもそも登録番号がもらえません。その結果仕事の締め出しをくらう可能性が出てきます。はっきり言って小規模事業者いじめの制度なのです。
例えばある課税事業者が下請けに500万円+消費税50万円の仕事を出す予定とします。下請事業者Aは登録番号があり、下請事業者Bはないとします。課税事業者はAに仕事を出す分には今まで通り何の問題もないですが、Bに出した場合は消費税50万円の仕入税額控除ができず50万円の納税が増加します。こうなると課税事業者はBに仕事を出すと損をするので仕事を出さなくなり、結果的にBは元請から締め出されることとなってしまいます(500万円+消費税0円でBが仕事を受けることも考えられます)。
Bはこれを逃れるためにどうするか。免税事業者の立場を捨て、課税事業者となることを自ら届け出て選択し、消費税50万円を納税することになります。今まではBからすると消費税の50万円はもらいっぱなし(これを益税といいます)だったのですが、それができなくなります。国はこの益税を無くし税収を上げることと、益税を無くすことで公平感を高め次なる税率引き上げへの布石とすることが本当の目的なのです。
すべての業種がこのような締め出しを受けるかはわからないですので、免税事業者の方が課税事業者を自ら選択すべきかどうかは難しい判断になります。
今年の年末調整の注意点
2020/10/30 19:50:13 経理事務
コメント (0)
今年はいくつか改正点がありまして、①給与所得控除の金額が変更されています。下限が65万円→55万円になり、上限も195万円で足切りです。また②基礎控除額が変更されて38万円→48万円になり、合計所得金額が2,400万円以上の方は金額が減り、2,500万円以上で0になります。
①と②の関係で、税金上の扶養親族になれるかどうかの判定は、給与収入のみの親族は改正前後で「給与控除+基礎控除」が65万+38万=55万+48万=103万円となるため変わりません。給与収入以外の所得がある方は基礎控除の48万円のみで判定しますので、昨年と異なります。細かい改正のためかえってわかりにくくなっております。
また③所得金額調整控除の創設、④ひとり親控除の措置などもあるため、年末調整時に記入する用紙の3枚めが「基・配・所」という、もはや何の用紙かわからないものになっています。記入不要の方が大多数ですが、ご不明な点は各担当者にお問い合わせください。