ややこしい定額減税
2024/04/01 18:51:56 経理事務
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法人、事業者の方へ3月に「定額減税のしかた」が税務署から突如送られて来ました。これ何??と思われた方も多いと思います。一応デフレ対策として昨年11月に閣議決定はされていた定額減税ですが、なぜ給付金ではなく減税?国が減税したという実績を作りたいから?という疑問は尽きません。そしてやはり、もらうだけの給付金ではないので事務処理がややこしいです。
定額減税は対象者ひとりにつき所得税3万円、住民税1万円が控除されます。恒久的な制度ではなく一度きりです。来年に持ち越しとかもできません。年金受給者の方は年金から、確定申告をされる個人事業者の方は確定申告時に控除されます。そして給与所得者の方は令和6年6月1日以後に支給される給与から順次控除していきますので、給与を支給される法人、事業者はそれまでに事務手続きを確認して、対応する準備をしておく必要があります。給与ソフトを使って給与計算されている方は、ソフトの対応内容も合わせて確認して下さい。
気になる対象者は、①本人(R6.6.1現在勤務されている甲欄適用の方で、令和6年の合計所得金額1,805万円以下の方)、②扶養となる配偶者、③扶養親族となります(いずれも非居住者は除かれる)。例えば配偶者と2名の子どもを扶養されている方は所得税12万円、住民税4万円が減税になります。
②の配偶者ですが、合計所得金額が48万円以下の方に限られますので、配偶者特別控除の対象となる配偶者は外れます。また年末調整等では本人の所得が1,000万円超のため配偶者控除が取れない方も、この定額減税では②をカウントすることができます。このあたり年末調整上の扶養と判定が異なりますので、ややこしいです汗。
実際の給与計算では、各人の定額減税額をあらかじめ計算しておき、6月以降に支給される給与賞与の源泉所得税から定額減税額を引き算します。納付書で納める源泉所得税も、もちろん引き算した後の税額を納めます。
6月の給与から引ききれない場合は7月分、夏季賞与、8月分・・と、定額減税額を引ききれるまで引いて行きます。そのため、給与事務をされる方は現時点で誰がいくら引いているかというのを把握しておかないといけませんし、給与明細にも記載する必要があると思います。そのあたり国税庁HPでは「このエクセルファイルを使ってアナログに管理してね」と書いてあります・・。
ちなみに住民税は、あらかじめ市町村が控除した後の金額を5月頃に通知してきます。
ところで定額減税で引き切れるほど税額がない方はどうなるのよ?という疑問が当然生じますが、引ききれない部分は令和7年に給付金として支給されるそうです。それなら最初から給付金にしたらって?全くその通りだと思います!
インボイス制度と電帳法が始まった本当の理由
2024/01/04 15:53:52 経理事務
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年が明けて電子帳簿保存法(以下、電帳法)がスタートしましたが、インボイス制度と電帳法という二大悪法(と私は呼んでいます)はそもそも、なんの目的で始まったのか、ご存知でしょうか?
インボイス制度の建前は、免税事業者が消費税を受け取って納税せず懐に入れる(←もちろん合法)、いわゆる「益税」を無くすために、請求書上で課税/免税事業者であることを明らかにして、課税の公平性を高めるためです。
それ自体はまあ間違ってないのですが、益税を無くすためでしたら免税点(年間売上1,000万円未満)を下げるなり撤廃するなりすれば簡単に済む話です。あえてインボイス制度というややこしくて事務負担の多いものを導入したのは、間違いなく将来の消費税率UPを見越してでしょう。免税事業者に消費税18%を支払って国にも18%を二重払いする事態になれば、その非難の目はむしろ免税事業者の方に行くだろうと。現時点でもインボイス制度の導入により益税だった数千億円の大半は今後国に入ることになります。大掛かりな割に増税額は大したことはないが、本丸は消費税率UPのほうなので、今はこれくらいにしておいてやろう、てな感じでしょうね。
電帳法は、ペーパーレス化による効率的な帳簿保存により、近未来的な洗練された会社経営を実現し、ひいては日本経済のさらなる発展を目指して・・という目的では当然ありません。税務調査をする時に全部書類を探して、紙で持ち帰るのがめんどいからです。ほしい証憑類を検索で全部出させてデータで持ち帰り、署に戻って金額の大きい順に並べ直して調査すれば、それは洗練された税務調査が可能になるよねー。データで保存してなかったらどうするのかって?そりゃあ青色申告取消ですよ。
積極的に電帳法に対応した帳簿保存体制を整えることにより、結果的に洗練されたペーパーレス化を実現することは実際には可能だと思います。ただそれは企業努力の賜物であって、別に電帳法があるおかげではないわけです。
さあ、次は電子帳簿保存法だ!汗
2023/12/01 18:27:56 経理事務
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インボイス制度が始まり2ヶ月が経ちましたが、現場は未だに、いやますます混乱を深めている感すらあります。そんな中2大改悪法のもう1つである電子帳簿保存法が令和6年1月から開始(正確には猶予切れ)されます。
で、結局何をすればいいんじゃ!?という声が大きくなって参りましたので、とりあえず対応が任意のものは置いておいて、対応が義務化されるものを改めて確認したいと思います。
電子保存が義務になるのは、「今までも保存が必要だった領収書、請求書等の会計書類」かつ「電子データでのみやりとりされたもの」になります。それ以外のものは義務対象外です。紙でやりとりされたものは来年以降も何ら変わりはありません。また電子データで保存したものを印刷して紙とダブルで保存されることも問題ありません。時々、電子データで保存が必要なものは印刷することを禁じられている、と勘違いされているケースがありますが、全くそんなことはありません。で、具体的に義務になるデータは下記のようなものが該当します。
(1)ネットバンキングで振込した場合の振込明細書
(2)アマゾン等で買い物した際の領収書
(3)WEB上からダウンロードした①クレジットカード取引明細、②ETC利用明細、③ガソリン
カードの利用明細、④その他業者からの請求書
(4)メール本文で請求等がされた場合の、メール本文そのもの
(5)クラウド上にアップロードして共有することで受け渡しした請求・契約に関するデータ
(6)スマホ決済アプリで決済事業者から発行される明細書データ、またはそのスクショ
大体これくらいで全部だと思うのですが、インボイスもそうですが、実際実務を始めていくと「こんなものもあった」というのが出てきます。随時対応していくしかありませんね。
そして保存の方法ですが、要件が2つあります。①改ざん防止、②可視性の確保です。一番簡単かつ間違いないのは、電帳法対応のクラウドストレージを契約してそこに全て保存する方法です。タイムスタンプを自動付与してくれますし、ストレージ内で検索がかけれるので①②を満たしてくれます。毎月の利用コストがかかりますが、対象データがかなりある場合は仕方ないと思います。
そこまで対象データはないしコストをかけるのはもったいない、という場合は国税庁HPから事務処理規程をダウンロードしてその通り運用する方法があります。この規程はざっくり言いますと、「データ保存責任者を決めて、保存データを修正等する場合は修正内容を履歴として残す」というものです。修正が多い場合、その履歴を全て残すのは結構大変だと思います・・。合わせて保存するPDFのファイル名に「日付・取引先・金額」を規則的に入れて統一することで①②は満たせます。
それもできな~い!という方は、ひとまず月ごとにフォルダを作って、とりあえずそこに全てデータを入れておいてください!バックアップは定期的にして下さいね。
とうとう始まったインボイスについて徒然・・
2023/10/02 16:01:22 経理事務
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前回に続いてインボイスに関する記事で申し訳ないですが、最近のお問い合わせの90%がインボイスに関するものなので仕方ありません。
「インボイス番号のある領収書じゃないと、会社が経費として精算してくれないんです」なんて言うサラリーマンの声が一部あるようで、タクシーも「インボイスOK」「インボイスNG」のステッカーを導入しちゃったようです。完全にインボイスの被害者って感じで気の毒です(NGのをわざわざ貼るとか嫌ですよね)。車の上につける表示灯バージョンもあるみたいです・・。またアマゾンや楽天でのネット購入も、10月になって見てみたらマイページの購入履歴から適格領収書をダウンロードできるようになっていました。
最近多かったお問い合わせで、「売上代金が振込手数料分差し引かれて振り込まれた場合、適格返還請求書を発行しないといけないの?」というのがありました。これは、返還金額が税込1万円未満の取引は発行不要という規定があり、まさにこの振込手数料分をいちいち発行しなくていいように一応考えられています。
あまり知られていない特例として、「基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入につきインボイス保存不要」という「少額特例」があります。該当する事業者は、例えば6,600円の消耗品をアマゾンで買って適格領収書を保管していなくても、帳簿に記載があれば10%分の仕入税額控除を認められます。この特例の不思議な点は、例えばインボイスを発行できないタクシーの領収書でも、特例を使えば10%分仕入税額控除ができちゃうのです。これは国税庁のHPにもはっきり書かれています。適用できない事業者との不公平感がありますし、ますますインボイス制度をわかりにくいものにさせています。
あとは、「結局インボイス登録しなかった下請先との金額交渉を、10月からどうしたらいいですか?」というお問い合わせも多いです。色々なお話を聞くと、とりあえず3年間は未登録者への支払いも8割は仕入税額控除ができるので、消費税10%×8割=8%を本体価格に乗せて払うことで、トータルの負担が変わらなくするという方法がコンセンサスになりつつある感じがします。今まで税抜100,000円+消費税10,000円=110,000円支払っていた場合は、税抜108,000円+消費税0円=108,000円支払うことにして、2,000円は国に納税する、という形になります。
インボイス開始に向けての準備
2023/09/01 15:14:21 経理事務
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インボイス制度が本当に10月から始まってしまいます。登録申請や請求書・領収書への番号記載以外にも経理事務を変更しないといけない点がいくつかあります(引き続き消費税の免税事業者である方には必要ありません)。
まず、10月以降にクレジットカードで支払った経費は、都度領収書をもらって保管する必要があります。今までは原則1ヶ月ごとの利用明細書と帳簿記載のみで消費税の仕入税額控除が認められていましたが、これがしれっと廃止されました。税務調査が来た時にカード払いの経費の領収書がないと、原則消費税が否認されて追徴税額を納めないといけなくなるので、必ず保管をお願いします。
なお3万円未満のJR料金や自販機での商品購入に限り保管義務が免除されます。またETCは、ウェブ上の「ETC利用照会サービス」で交付される明細を保管すれば大丈夫です。
また自社で会計入力をされる場合は、経費の都度請求書・領収書にインボイス番号があるかどうかを確認して消費税入力をしていただく必要があります。例えば弥生会計の場合、番号があるものは「適格」、ないものは「区分記載80%」を選択します。手書きの振替伝票等を作成される場合は、番号のない経費は「番号なし」などと摘要に記載していただき、後で区別できるようにしていただければと思います。その他ご不明な点がありましたら、各担当者にお尋ねください。