経済活動の本質は「等価交換」
2016/01/31 07:40:16 経済一般
コメント (0)
私は大学時代は経済学部に在籍していましたが、あまり真面目に講義は受けていませんでした。でも、いくつか真面目に受けた中に「貨幣論」という講義があり、今思えばなかなかに経済活動の本質をついていたなと思います。
(ちなみに、マクロ経済学、ミクロ経済学などはちんぷんかんぷんでした…)
まず、経済活動の起こりは物々交換であったと言われています。たとえば自分達が収穫したお米を、漁師さんところに持っていって魚と交換してもらったりして、ほしいものを手に入れていました。
そのうち、この物々交換が活発化してくると、「お米1俵に対して、魚何匹と交換してもらうのが平等なのか?また、肉ならどれくらいが平等??」ということになり、やがてそれぞれの目安(相場)ができ始めました。
そこから、統一的な価値尺度を表す媒体物として貨幣が誕生しました。その貨幣も、第一次世界対戦の頃までは金の価値の保証を持って発行する金本位制が一般的で、現在のように政府の保証だけで発行する管理通貨制度はまだまだ歴史が浅い、といったところです。
前置きが長くなりましたが、重要なのは、形が変わっても、変わらない本質は「等価交換」だという、当たり前だけど忘れがちな点です。
つまり、お金を稼ぎたければ、それ相応の価値のある資産または労務を提供しなければならないということであり、他社より売上を伸ばしたければ、他社よりも多くの付加価値を提供するということが本質であり、全てということです。決して口先だけの営業トークや、小手先だけのマーケティングに、その本質はないということです。
消費者という立場からも同じで、お客様は神様でも何でもなく、等価交換の相手方であるに過ぎないわけです。ここを勘違いすると、自分達はお金を払っているのだからと、飲食店で他人の迷惑になるほど大騒ぎしたり、コンビニの店員を土下座させたりする輩が出てくるわけです。
経済の本質を身に付けて、健全な経済活動を送りたいものです。
Amazonに反撃か!? 消費税のリバースチャージ方式
2015/11/02 09:55:31 経済一般
コメント (0)
今まで、AmazonやGoogleなどのインターネット関連の外国企業に対して消費税を課税できないことによって、年間で200億円以上の税収が失われているとの指摘がありました。例えば私たちがAmazonで書籍を購入した場合、通常の書籍であれば消費税が課税されていますが、それが電子書籍であった場合には課税されていません。
なぜでしょうか?それは、消費税の取り扱いは、国内取引であれば課税、国外取引であれば不課税になるからです。そして、その内外判定は、資産(紙の書籍)の譲渡であれば、それが引き渡された場所が国内か国外か、役務(電子書籍)の提供であれば、原則役務の提供を行う者の事務所等の所在地が国内か国外か、で判定していたからです。
ちなみに、Amazon.co.jpでのショッピングは日本の消費者がAmazon USAから購入しているという取引形態になっており、日本国内にあるのは倉庫のみという主張です。以前、日本の税務当局がAmazonに法人税の課税をしようとした時も、「日本国内には倉庫はあるが支社等は設置していない」ので日本での納税義務はない、ということになり、アメリカとの国際問題に発展しかけたので矛をおさめた、という「うわさ」もあります。
このことにより、同じ電子書籍でも国内事業者が提供するものには消費税が課され、国外事業者から提供するものには消費税が課されないという、税金の、さらには事業者間の価格競争の不公平感が以前から問題にされていました。
そこで、平成27年10月より消費税のリバースチャージ方式というものが導入されました。これにより、国外事業者からの広告の配信等については「役務の提供を受けた国内事業者に申告納税を課す」こととなりました。つまり、支払う側が消費税を納税する(元々の納税義務者である事業者のみ)という、いままでにない方式になりました。ちょっと源泉所得税の預かりに似ているような感じです。また、電子書籍の配信等については、「国外事業者の登録」がされた国外事業者には新たに申告納税の義務が課されることとなりました。
これにより、上記の200億円以上の税金が全額納税されていくのかは、計算上の問題もあり、そうはならない気もするのですが・・。ともかく、日本の税務当局による「反撃の一手」となったことは間違いないのでしょう。ちなみに、簡易課税事業者等は適用する必要がないのですが、各社の会計ソフトには「特定課税仕入れ」という新しい入力区分がつくられています。
実際のところ、これらの適用を受ける取引や事業者は多くはないのですが、インターネットの普及による国境のボーダーレス化と、それに伴う課税当局側の苦悩がうかがえるところが面白いです。
シャープが中小企業に!? 「1億円に減資」とは
2015/05/31 15:12:52 経済一般
コメント (0)
シャープという日本を代表するグローバル企業があります。一時は「世界の亀山モデル」と自負する液晶TVなどの液晶関連製品で好調でしたが、ここ数年は液晶自体の差別化が難しくなってきており、液晶関連に設備投資を集中しすぎた反動もあり、ここ3年で9,000億円の連結赤字を出すなど業績が急激に悪化しております。
そのシャープが新中期計画の一環として5/11に発表した(正確にはリークされた)のが、「1億円に減資」して「中小企業」となり、「中小企業の税制上の優遇措置を受けながら経営を立て直す」というものでした。
「えっ、あのシャープが中小企業って・・!?」という強烈なインパクトの発表でした。正直、「そんなのありなの?売上約3兆円、従業員5万人で中小企業??」と思いました。でも、中小企業の定義はいくつかあるものの、法人税法上の中小企業の判定は「資本金が1億円以下か否か」だけなのです。売上高も従業員数も関係なし。
「確かに合法だけど、そこまでやるか・・」と思っておりましたら、翌12日に経済産業省の「企業再生としては違和感がある」などの指摘を受けて、13日には「やっぱり資本金は5億円にします(現在は約1,200億円)」と発表しました。現場の混乱や、政界とのパイプの薄さが露呈されてしまいました。 結局、14日の決算発表では2,223億円の最終赤字を出し、単体決算ではとうとう債務超過になってしまいました。
そもそも、「減資」と経営再建は関連があるのでしょうか?シャープが行う予定の減資は、資本金を過去の利益剰余金のマイナスと相殺するというもので、乱暴に言いますと「資本金/利益剰余金」という仕訳を帳簿上で切るだけです。実質的には何も変わりません。既存株主にも、特に有利にも不利にも働きません。
既出の「優遇措置を受ける」とか、また累積損失が消えることによって「将来、配当を出しやすくする」などとニュースでは出ていましたが、正直、存続すら危うい企業が将来株主に出す配当のことなど優先して考えている場合ではありません。表に出ていない本当のねらいがあるはずなのです。
有力な考えとしては、将来増資をして資金調達をするための布石、ということです。「増資のための減資」です。今回の減資では株主には有利不利はないと書きましたが、将来多額の増資を行えば、一株ごとの価値は大きく下がります(要するに株価が下がります)。今は、インターネット上でいくらでも情報があふれているように見えますが、本当に大切な情報は、やはりどこか一部で握られていると考えるべきだと思います。
マイナンバー制は、行政の利便性向上か、それとも国家の国民監視制度か
2015/01/26 17:01:39 経済一般
コメント (0)
昨年5月に閣議決定され、平成28年1月より始まるマイナンバー制度。内閣府の発表によると、今年10月に国民一人ひとりに、一生使うマイナンバー(個人番号)が通知され、平成28年以降は年金などの社会保障や税金、免許証やパスポートなどの手続きにはマイナンバーの提示が必要になります。
縦割りだった行政が情報を共有化して、行政サービスの利便性が向上するようには思います。まだ記憶に新しい「消えた年金問題」なども今後は起こらなくなるかもしれません。また、社会保険の加入漏れや税金の課税漏れ、脱税防止などの意図もあるようです。そこまでは良しとしましょう。
ただ、先日平成27年度の税制改正大綱を読んでいると、その中にこんなことが書いてありました。 「マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用を行う」と。つまり、今後預金口座にもマイナンバー制を拡大し、全ての預金口座を国が監視しちゃう予定があるよ、ということです。名目は脱税防止、マネーロンダリング防止、生活保護不正受給防止、などですが、これはやりすぎでは!!と思ってしまいます。日本は、集団的自衛権で他国と戦争し、マイナンバー制で国民を監視する、という戦前の過ちを繰り返す第一歩になるかもしれない、という危うさをこのマイナンバー制は秘めていると思います。
他にも問題はあります。そもそも「住基ネット」という国民IDを利用した行政サービスをうんぬん・・・というのがありますよね。私は利用したことがありませんが。巨額を投じて作ったこの住基ネットはどうするの?マイナンバー制とどうちがうの?というのを説明してほしいですよね。でないとこのマイナンバー制もただの「IT公共事業」と化してしまいます(数千億円規模の市場規模だそうです)。
後はやっぱりセキュリティの問題が不安です。なんといっても一生同じ番号を使うわけですから。なりすましなんかにどう対応するのか?サイバーテロ対策は?公務員からの流出はないのか?など。なんといってもプライバシーの塊ですからね、マイナンバーの情報は。
ガソリン代急落の背景は
2014/12/28 12:59:12 経済一般
コメント (0)
このところガソリン代が大分安くなってきました。平成26年12月末現在で、リッターあたり130円~140円といったところでしょうか。なぜ最近急に安くなってきたのか、ご存じですか?
まず、原油相場自体が急落しているわけですが、これは「WTI原油先物チャート」などを見ていただければよくわかります。この相場自体はアメリカの西テキサス地方のガソリン原油を指していますが、取引量と市場参加者が中東の相場などと比較しても多いため、この相場を見ておけばまず間違いありません。
そして、この急落にはOPECの減産見送りが大きく関係しております。本来は、原油価格が下がってくると減産を行い、市場に出回る原油の量を抑えてその価値を希少化し、価格を維持または上げていくわけですが、今回は原油価格がもともと下落傾向にあるにも関わらず減産をしませんでした。
では、なぜ減産をしなかったか。それは、アメリカで開発が進むシェール・オイル(以前はシェール・ガスとも言われていました)が関係しています。つまり原油価格が高いままだとシェール・オイルにシェアを奪われ、結局トータルの原油収入が下がるために原油価格下落を容認するしかない、ということです。
それは裏を返せば、アメリカは経済大国だけでなく資源大国としての道を歩みつつあり、それを背景にアメリカの景気が良くなってきているということです。アメリカの景気が我々一般人がニュースなどで知る以上に良くなっていることの一つの証だということが言えます。