ふるさと納税制度の是非(私見)
2017/06/01 12:11:38 経済一般
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限度額さえ守れば、毎年2,000円の負担でお肉やお米、海産物、家電や商品券までもらえる~やらなきゃ損よね!という感じで年々活発化しているふるさと納税。中には一日町長やテレビに出演できる権利がもらえるという変わり種までありますが、今年4月1日、総務省がこの流れに待ったをかけました。ふるさと納税の返戻品の還元率を3割以下にするよう通知を出しました。
これは、1万円のふるさと納税があった場合に、お礼の品を3千円までにしなさいよ、という意味です。強制力まではないのですが、なぜこんなことになったのでしょうか。
この背景には、返戻品の中に商品券、プリペイドカードなどの金銭に近いものや、電子機器や時計、カメラなどの資産性の高いものがネットオークションで相次いで転売されていることが問題になったからです。本来の目的から逸脱している、というところでしょうか。
では、ふるさと納税制度の本来の目的って何でしょうか?地方経済の活発化、地方と都市部の税収格差是正、といったところですが、本来国がこれらをある程度コントロールするために、地方法人税を創設して国の財源の一部を自治体へ再分配したりしています。これにプラスしてふるさと納税という、いわば「自分でも稼いでこい!」という制度をつくったのですから、乱暴な言い方をしますと、自治体からすればほかの自治体にふるさと納税という「収入源」を奪われるくらいなら、たとえば8,000円の返戻品をあげても10,000円のふるさと納税してもらって、差し引き2,000円の利ざやを得た方がいいよね、と考えても何ら不思議ではありません。今後、自治体がどれくらい自粛していくのでしょうかね。
個人的には、制度自体は不完全なものだと思ってますが、まあ返戻品を準備する地元の企業が活性化するという副産物が、結果的には地域活性化に一番貢献してるのかなと思います。地元に公共工事を引っ張ってくる政治家、みたいなイメージですが。
ところで、ふるさと納税の返戻品は税金の対象になってるって知ってました?一時所得として確定申告が必要です。が、他に一時所得がなければ年間50万円の非課税部分がありますので、よっぽど高価なもの(キャンピングカーが返戻品になっている自治体もありますが・・)以外は結果的に申告は不要です。株主に渡される株主優待品は雑所得なので、この非課税部分はないんですよね。ちょっと不公平な気もします。
金利低下で、住宅ローン控除は逆ザヤ状態
2016/09/30 17:48:42 経済一般
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日銀のマイナス金利政策により住宅ローンの金利は下がり続けており、メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)では10年固定でなんと0.5%程度になっております。地方銀行ではここまで下げると銀行業として成り立たないそうですが、この利率、実は住宅ローン控除の「借入残高×1%」を下回っています。これが意味するところは、もちろん諸条件が整えばですが、「銀行に払う金利よりも、税金の還付金が多く帰ってくる!」ということです。おそらく税務当局はこの状況は想定していなかったでしょう。10月からは日銀の政策変更により、住宅ローン金利はやや上昇すると見られていますが、それでもこの状況は政策から出たゆがみと言えそうです。
FinTechが経営に与える影響
2016/03/25 19:08:06 経済一般
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去年あたりから、FinTech(フィンテック)という言葉をよく聞くようになりました。フィンテックとは、Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語で、ITを活用した金融、決済、財務サービス等の技術の総称で、かなり広い分野を指します。
株式市場でも注目度は高く、セキュリティ・暗号技術、ビットコインなどの(政府以外の機関が発行する)仮想通貨、クラウド上(インターネット上)での決済、クラウドファンディング(ネット上での資金調達)に関連する企業などの株価は軒並み暴騰しております。
決済という部分では、インターネットバンキングやネット銀行がすでにかなり普及していますが、今後はスマホを使った決済がもっと普及すると考えられており、小売業などはその影響が避けられないと思います。
また、資金調達という部分では、日本とヨーロッパがマイナス金利時代に突入しており、通常の融資業務等では一層の利益の目減りが避けられない金融機関が、フィンテック技術の積極的な導入により、人がやっている仕事をフィンテック技術に置き換えようという動きが加速しています。また、アマゾンがAmazonマーケットプレイスに出店している法人に対して、そこでの取引実績を事前審査して、最短1日で融資を行う、といったフィンテック技術を使った異業種進出の動きも出てきております。
決済、資金調達、という部分は事業の経営に欠かせない分野ですから、これらが紆余曲折しつつ変化、進化していく動きには、アンテナを張っておく必要があると思います。
経済活動の本質は「等価交換」
2016/01/31 07:40:16 経済一般
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私は大学時代は経済学部に在籍していましたが、あまり真面目に講義は受けていませんでした。でも、いくつか真面目に受けた中に「貨幣論」という講義があり、今思えばなかなかに経済活動の本質をついていたなと思います。
(ちなみに、マクロ経済学、ミクロ経済学などはちんぷんかんぷんでした…)
まず、経済活動の起こりは物々交換であったと言われています。たとえば自分達が収穫したお米を、漁師さんところに持っていって魚と交換してもらったりして、ほしいものを手に入れていました。
そのうち、この物々交換が活発化してくると、「お米1俵に対して、魚何匹と交換してもらうのが平等なのか?また、肉ならどれくらいが平等??」ということになり、やがてそれぞれの目安(相場)ができ始めました。
そこから、統一的な価値尺度を表す媒体物として貨幣が誕生しました。その貨幣も、第一次世界対戦の頃までは金の価値の保証を持って発行する金本位制が一般的で、現在のように政府の保証だけで発行する管理通貨制度はまだまだ歴史が浅い、といったところです。
前置きが長くなりましたが、重要なのは、形が変わっても、変わらない本質は「等価交換」だという、当たり前だけど忘れがちな点です。
つまり、お金を稼ぎたければ、それ相応の価値のある資産または労務を提供しなければならないということであり、他社より売上を伸ばしたければ、他社よりも多くの付加価値を提供するということが本質であり、全てということです。決して口先だけの営業トークや、小手先だけのマーケティングに、その本質はないということです。
消費者という立場からも同じで、お客様は神様でも何でもなく、等価交換の相手方であるに過ぎないわけです。ここを勘違いすると、自分達はお金を払っているのだからと、飲食店で他人の迷惑になるほど大騒ぎしたり、コンビニの店員を土下座させたりする輩が出てくるわけです。
経済の本質を身に付けて、健全な経済活動を送りたいものです。
Amazonに反撃か!? 消費税のリバースチャージ方式
2015/11/02 09:55:31 経済一般
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今まで、AmazonやGoogleなどのインターネット関連の外国企業に対して消費税を課税できないことによって、年間で200億円以上の税収が失われているとの指摘がありました。例えば私たちがAmazonで書籍を購入した場合、通常の書籍であれば消費税が課税されていますが、それが電子書籍であった場合には課税されていません。
なぜでしょうか?それは、消費税の取り扱いは、国内取引であれば課税、国外取引であれば不課税になるからです。そして、その内外判定は、資産(紙の書籍)の譲渡であれば、それが引き渡された場所が国内か国外か、役務(電子書籍)の提供であれば、原則役務の提供を行う者の事務所等の所在地が国内か国外か、で判定していたからです。
ちなみに、Amazon.co.jpでのショッピングは日本の消費者がAmazon USAから購入しているという取引形態になっており、日本国内にあるのは倉庫のみという主張です。以前、日本の税務当局がAmazonに法人税の課税をしようとした時も、「日本国内には倉庫はあるが支社等は設置していない」ので日本での納税義務はない、ということになり、アメリカとの国際問題に発展しかけたので矛をおさめた、という「うわさ」もあります。
このことにより、同じ電子書籍でも国内事業者が提供するものには消費税が課され、国外事業者から提供するものには消費税が課されないという、税金の、さらには事業者間の価格競争の不公平感が以前から問題にされていました。
そこで、平成27年10月より消費税のリバースチャージ方式というものが導入されました。これにより、国外事業者からの広告の配信等については「役務の提供を受けた国内事業者に申告納税を課す」こととなりました。つまり、支払う側が消費税を納税する(元々の納税義務者である事業者のみ)という、いままでにない方式になりました。ちょっと源泉所得税の預かりに似ているような感じです。また、電子書籍の配信等については、「国外事業者の登録」がされた国外事業者には新たに申告納税の義務が課されることとなりました。
これにより、上記の200億円以上の税金が全額納税されていくのかは、計算上の問題もあり、そうはならない気もするのですが・・。ともかく、日本の税務当局による「反撃の一手」となったことは間違いないのでしょう。ちなみに、簡易課税事業者等は適用する必要がないのですが、各社の会計ソフトには「特定課税仕入れ」という新しい入力区分がつくられています。
実際のところ、これらの適用を受ける取引や事業者は多くはないのですが、インターネットの普及による国境のボーダーレス化と、それに伴う課税当局側の苦悩がうかがえるところが面白いです。