漫画の領収書を経費にする方法
2014/11/26 18:42:19 節税
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「漫画を買った領収書を経費にして申告することができるでしょうか?」とだけ聞かれると、なんとなく「ダメでしょ!?」という気がしますが、必ずしもそうではありません。
そもそも領収書だけをもってシロかクロかを語ることは無理があり、その領収書が経費になるか否かは、まず①そのバックグラウンドたる事業活動をよく把握すること、そしてその上で、②その領収書がその事業活動のために不可欠な支出か、というステップを踏んで検討しないと意味がありません。
たとえば、理美容院や医院の待合室に、お客様・患者様向けに漫画を置いておくことは完全に事業サービスの一環であり、間違いなく必要経費です。これはわかりやすいですね。
では、「ナニワ金融道」(街金を題材にした漫画)を経理担当者が購入した場合はどうでしょうか?その事業上、資金調達が重要で豊富な知識が必要であり、他にはない知識を得れるということで経理担当者が実際に読んで参考にし、かつその漫画自体が事務所の書庫に置かれていれば、これはもう必要経費でしょう。
逆に、領収書があっても明らかに個人的な飲食等は必要経費にならないことはいうまでもありません。要するに、必要経費か否かは個別判断なのです。領収書の背景にあるものを感じようとすると、そこにドラマが見えてきます。私が税理士という仕事が面白いと感じる理由のひとつでもあります。
三重の節税!老後資金は法人契約の生命保険で積み立てる
2014/11/01 10:05:30 節税
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公的年金だけでは老後の資金が不安な世の中です。ある程度自分でも蓄えが必要なのは言うまでもありません。でも、給与の手取りから毎月5万円積み立てているという法人の経営者様、ちょっと待ってください。「個人のお金も法人のお金も自分が管理している」ならなおさら、法人契約の生命保険を活用して積み立てると三重の節税になることはご存じですか?
まず生命保険の基礎知識として、個人契約ではいくら多額の生命保険をかけていても、個人の所得から引いてくれる金額は年間5万円とか10万円位までです。税金にすると、2万円とか、その位しか減額になりません。一方法人契約ですと、掛金の半額が法人の経費(損金)になるような契約が多いです。100万円かけたら50万円が経費です。税金にすると、実効税率が26%とすると13万円の節税です。
法人の生命保険では、たとえば98歳満期の定期保険をかけたりします。「98歳まで生きない」と言われるかもしれませんが、もともと98歳までかけることを前提にしていません。半分が経費になり、かつ社長の座を退く65歳~70歳の間位に解約返戻金のピーク(100%は超えるでしょうから、掛金総額以上に戻ってきます)がくるために設計したら結果的に98歳満期になるだけです。始めから中途解約するのを前提にしています。
また、「解約した時に税金がかかる」と思われるかもしれませんが、その解約金は社長の退職金として個人にすぐ支払います。法人としては、保険解約益と退職金(損金)が相殺されて税金はほぼ出ません。個人としても、退職金はとても税金が優遇(かかりにくい)されています。
「保険会社がつぶれたらどうする」と思われる方もおられると思います。基本的には破たん時点の責任準備金の90%は保護されます。もちろんつぶれない保険会社を選ぶことが大事です。同時に、法人向け保険に強い保険会社を選ぶことも必要です。
もし個人の給与の手取りから毎月5万円を積み立てようとすると、その分役員報酬を増額することになりますが、そうすると所得税、住民税、社会保険も増えますよね。手取りで5万円増やすためには、月額給与を7万円位上げないといけません。社会保険は個人と会社が折半ですので、「法人のお金もわしの金」であるオーナー社長さんからすると、法人負担の社会保険も増えて、月額3万円位の税金、社会保険が増加するわけです。法人契約の生命保険なら、この増加分も必要ありません。
まとめますと、老後資金の積み立てを法人契約の生命保険で行うことにより、①法人税の節税、②個人の所得税・住民税の節税、③社会保険料の節約、という三重の節税効果があるわけです。実際には小規模企業共済や定期預金、株式・投資信託なども組み合わせて蓄えるわけですが、せっかく法人オーナーでしたら、生命保険を活用しない手はありません。
結局のところ、交際費はいくらまで使ってもいいのか?
2014/07/01 10:28:53 節税
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「交際費はいくらまで使ってもいいのか?」との質問を受けることがよくあります。
税務署の調査が入ったとき、いくらまでなら認めてくれるか、という意味合いです。経営者の方なら、誰でも気になるところです。結論から言いますと、いくら使ってもかまいません。事業上の経費である限り、100万円でも、500万円でも、経費は経費なのですから、金額で左右されるいわれは全くありません。税法のどこにも、金額の多寡で経費性を判断する条文はありません。
ただ、法人の交際費には税金計算上、損金から外される部分があります。平成25年度までは、資本金1億円以下の中小法人は年額600万円が上限で、範囲内でもそのうち1割は自動的に外されていました。資本金1億円超の法人には交際費の損金算入は一切認められていませんでした(これは税金の計算式の問題なので、「経費にならない」とは意味合いが違います)。
しかし、平成26年度※からは一部緩和され、中小法人は年額800万円が上限になり、1割カットもなくなりました。資本金1億円超の会社にも一部損金算入が認められます。
この改正には、交際費を認めて税収が減ることよりも、交際費を使ってもらって景気の底上げに貢献してもらう方が重要だとの政府の意図があると言えます。多少御幣のある言い方をすれば、「どんどん交際費を使ってね」というメッセージが発せられたわけです。
ですので、経営上必要と判断される交際費はしっかり使って、全て交際費として処理してください。ただし、やはり問題となるのは、それが「事業上の」交際費であるか否かです。
言うまでもなく、家族での食事や、個人的な買い物は経費になりません。しかし、経営者同士での飲食や、同業社団体の活動費など、プライベートと事業上との境界線があいまいなものが多く含まれるのが実態です。税務当局としても、シロともクロとも断定できない、「一部交際費」的なものが多く出てくると、落としどころとして、「同規模の同業者の平均的な交際金額が○○円だから、それを超える部分はプライベートと考えられますね」という話をしてくるわけです。こういう話を聞くと、「やっぱり交際費の上限ってあるんだ」と誤解しがちです。でも、それは税務上の判断材料としては不十分ですよね。
交際費としての主張を強くするためには、とにかく交際費の領収書に接待相手の「①会社名、②主な担当者、③人数」をメモしておくことです。それでも税務当局は「本当にその人といったのか?証明できるのか?」というかもしれません。ですが、それ以上こちらで立証する必要はありません。税務当局が領収書のひとつひとつの相手先を実際にあたっていくようなことは、実質的にできないでしょう。よほど高額悪質な事案でない限り、人手不足の税務当局にそのような時間はありません。
最後に、平成24年に交際費に関する画期的な判例が出ておりますのでご紹介しておきます。
簡単に言いますと、個人の弁護士さんが、弁護士会の活動に関連して支出した交際費が税務調査で否認されたことに関して訴訟を起こしたものです。第一審では棄却されましたが、控訴した東京高裁の判決(平成23年(行コ)第298号。平成24年9月19日判決)では一部判決の変更(認容)があり、二次会の費用を除き経費として認められました。この時の裁判所の判断の中に、「業務の遂行上必要であれば、必ずしも直接的な交際費に限定されない。なぜなら、直接という解釈が税法上見当たらないためである」という趣旨のものがありました。今までは類似した税務訴訟ではそのような判断は全く出てこなかったので、大きな変化といえます。売上に直結する交際費に限定されなくなったのですから!
ただしこの訴訟は国側が上告しておりますので、その結果によっては判断が再度ひっくり返るかもしれないことはご了承ください。
※正確には、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度です。