銀行融資を受けやすい決算書とは?
2024/12/02 13:55:12 決算書
コメント (0)
金融機関に事業資金の融資を申し込んだ場合、金融機関は決算書、試算表、事業計画書や代表者への聞き取りなどをもとに融資実行の可否を判断しますが、一般的に融資判断の7割程度は決算書で決まると言われております。では、金融機関は決算書のどこを見ているのでしょうか。
まず金融機関からの借入残高がどの位あるかを確認します。業種にもよりますが、年商(=1年間の売上高)の2分の1未満なら青信号、年商額未満なら黄信号、年商額以上なら赤信号、というイメージです。
次に利益状況です。黒字であればもちろん有利です。ただ法人が役員報酬を取りすぎて赤字になっている場合は、今後役員報酬を下げれば黒字転換できるし、役員報酬の一部は個人で貯金しているだろうから個人の返済余力が増加しているため問題なし、と判断されるケースもあります。代表者+配偶者で年間800万円程度以上の役員報酬を取っていて赤字の場合は、そのように判断されることが多いと言われています。
また法人の場合は減価償却をするかどうかは任意ですから、減価償却をしないことで黒字にするケースもありますが、金融機関は利益だけでなく法人の返済余力(ざっくり税引後利益+減価償却費)も見ます。減価償却してもしなくてもこの返済余力は同額になりますので、金融機関によっては「減価償却を限度額まで行っていたら赤字だった場合の黒字決算は、実質赤字」と判断する場合もあります。
直近の決算が赤字だから融資が受けられない、ということは必ずしもありませんが、その場合は①2期連続赤字でないか、②債務超過でないか、③税や社会保険料の未納がないか、等が判断材料になります。特に③に該当すると融資を受けるのはほぼムリですので、融資を多めに受けてでも、③にならないように普段から手持ち資金を潤沢にしておく必要があります。
それ以外の注意点として、法人なら「役員貸付金」がないか、は重要なポイントです。役員貸付金があると、金融機関は「法人に貸し付けた資金を個人に流用された」と見ますので、今後融資を受ける上で非常に不利になります。すぐに全額解消は難しくても、計画的な返済計画を提示して実際に毎期ごとに貸付金残高を減らして行かないと、金融機関の信頼を失います。
最後に、複数の金融機関とお付き合いすることをお勧めします。どうしても金融機関ごとに「積極的に融資する業種」と「融資に消極的な業種」の考え方(好み?)の違いがあるからです。また融資を受ける際に複数の金融機関からの条件提示を受けて、より有利な金融機関から借入をする、ということができる場合もあります。無借金経営を続けられる場合は必要ありませんが、どうしても多額な設備資金が継続的に必要な事業の場合、金融機関との上手な付き合いは避けて通れません。
業績を立て直すための優先順位とは?
2015/08/24 15:22:23 決算書
コメント (0)
業種にかかわらず、事業の利益はざっくり言いますと以下の計算式で算出されます。
利益 = 売上高 ☓ 粗利率 - 経費
ということは、利益をより上げるためには、(1)売上高を上げる、(2)粗利率を上げる、(3)経費を減らす、のいずれか又はその複数が必要になってきます。
ここまでは当たり前の話なのですが、では業績を立て直す場面においては、(1)(2)(3)のうちどれを最優先にすべきかお分かりになりますか?
答えは、(3)経費を減らす、です。
確かに、売上高が上がることが利益の源泉となるわけですし、全社で団結して目標売上高に向かってまい進することでモチベーションも上がってくることとは思います。
しかしながら、法人や事業にとって最も大切なことは「継続すること」です。事業が継続しなければ社長さんの生活は成り立ちませんし、従業員も路頭に迷わせることになるかもしれません。また、取引先や銀行にも迷惑がかかるでしょう。
そうなると、事業の継続にもっとも必要なのは、いわずもがなですが「キャッシュ(現預金)」です。極論ですが、キャッシュがある限りは売上が下がろうと、赤字が続こうとも、事業は継続できます。逆に、黒字でもキャッシュが底をつけば倒産します。
売上が実際に入金に結びつくためには、営業活動、マーケティング、契約、製造、納品、請求などのプロセスが必要なため、それだけ時間を要します。また、そのためのキャッシュも必要です。業績が好調で資金にも余裕がある段階ではかまいませんが、事業を立て直すという段階では即効性がないため、逆に苦しい期間が増えます。その点、たとえば月3万円の支払家賃を削減することができれば、翌月から即3万円のキャッシュを得ることができます。
たとえ3万円でもあなどってはいけません。月3万円の利益を獲得するためには、その事業の粗利率が30%だとすると、月3万円×12か月÷30%=120万円の売上高が毎年必要です。月3万円の経費削減と、毎年120万円の売上確保・・・、どちらが手を付けやすいでしょうか?
事業継続のためには、売上第一ではなく、利益第一主義にこだわっていただきたいです。
電子申告の今
2015/03/01 14:32:59 決算書
コメント (0)
確定申告真っ最中の時期ですが、税務署は数年前から電子申告の普及に力を入れており、利便性や安全性も年々向上しているため、今ではずいぶん便利になりました。
自分で確定申告をする場合、今ではすべて手書きで作成する方よりも、国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーで作成したものを印刷し、必要書類をつけて郵送する、という方が増えてきています。返信用封筒を同封すれば、受付印のついた控え書類を返送してくれます。
電子申告はもう少し進んで、源泉徴収票などの書類も添付書類データとして作成すれば提出不要で(保存は必要)、印鑑を押さなくても本人もしくは税理士の電子署名を添付すればペーパーレスで申告が完了してしまいます(一部、原本提出が必須なものもあり)。
ただ税理士に依頼しない場合は、自分で住基カードを取得してバーコードリーダーを買ってくるなど最初に環境を整えるのが手間なため、ややハードルがありました。しかし日経新聞によりますと、2017年からはスマートフォンのSIMカードを利用して、本人認証ができるようになるようです。さらにマイナンバー制度が始まると、医療費情報が共有化されて、医療費の領収書の添付すらなくなるとも言われています。
予算書、作成してますか?
「試算表や決算書ていうのは、結局過去の数字でしょ?」
「決算書は、税務署や銀行のために作ってるんだから」
と思われている方、いらっしゃいませんか?
確かに決算書自体は過去の数字ですし、それ自身が将来の収益を生み出すものではありません。
では、決算書を経営に活かすことはできないのでしょうか?
答えは、決算書をもとに今期の予算書を作成することです!
予算書というと手間な感じを受けるかもしれませんが、要は経営者の頭の中にある今期の経営の計画を金額に落とし込む作業です。
「今期は○○の商品を売り込むために広告宣伝費を多めに割こう」
[今期は△△の事業に進出するために、人員を増やすつもりだ」
などの計画があった場合、当然ながら具体的にいくら経費を使うのか、という問題が出てきます。
そこで、前期の決算書をもとに、今期の各費用項目について予算金額の割り当てを行います。
前期と変動ないであろう部分は前期の実績値を引っ張り、変動があろう部分は、例えば「給与手当は前期比+350万円」などと設定していきます。
そうすると、今期の販管費合計額、そしてそこから損益分岐点となる粗利益と売上高が逆算できます(銀行借入金の返済原資などは、別に考慮していく必要がありますが)。
ポイントは、必ず費用項目から設定していくことです。目標売上高をベースにしてしまうと、費用予算が大きくなりがちで、「この金額までなら使ってもいい」と、経費削減の抑止力が働きにくくなります。
算出した予算書の売上高は「最低売上高」なので、目標売上高とは差異があるかもしれませんが、予算書は保守的な数値であることが絶対条件です。
頭の中の目標売上高は、あくまで皮算用ととらえておきましょう。ただし、経営計画を2~3パターン作っておくということ自体は、むしろ大切なことです。
「どうせ予算どおりにはいかないから意味がない」と思われてはいけません!
予算額と実績額に差異が出てくるのは当たり前なのです。その差異の原因を逐次分析して微調整、時には軌道修正していく事が大事なのです。
「売上高がいくらに達したら、○○の案件については今期前倒しで経費をいくらかけよう」などと、具体的な金額をもって前向きな経営ができるようにもなります。
さあ、今期からは経営に予算書をフル活用していきましょう!