コインチェック580 億円流出問題と「貨幣論」
2018/02/02 12:39:02 株式投資
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年初めには、本当は「仮想通貨第2章」みたいなタイトルで書こうと思っていましたが・・・。この1ヶ月でビットコインなどの仮想通貨には様々なニュースがありまして、まさに激動の1ヶ月でした。
最大のニュースは、1/26 に仮想通貨取引所コインチェックから当時580 億円相当の「XEM(ネム)」が不正送金された事件です。要はハッカーから盗まれたのです。コインチェックは国内最大級の取引所で、ビットコインを含む13 種類の仮想通貨が取扱いされています。
まず驚いたのがその金額です。ネムはこの13種類の仮想通貨のうち時価総額の大きさは6 番目です。6 番目の仮想通貨の保有高が580 億円ですから、全ての仮想通貨の保有高の合計は1 兆円を超えていてもおかしくないと思います。
さらに数日後にコインチェックは463 億円を自己資金で顧客に弁済すると発表しました。コインチェックは運営を開始してまだ3~4 年の会社ですよ!ベンチャー企業でこれはすごいです。
ただ考えてみますと、コインチェックでは取引の際に3~5%のスプレッド(実質、手数料みたいなもの)を取ります(ビットコインは無料)。月間取引高が4兆円を超える月もあったらしいので、単純にこの半分がビットコイン以外としても、2兆円×3%=600 億円の売上高が1ヶ月であった計算になります。これなら確かに何とかならなくもないですよね。月間粗利益600 万円の会社が463万円なら、無理すれば返せるかなと。
日本は今、世界で最も仮想通貨を取引している国と言われています。以前は中国でしたが中国が昨年全面的に仮想通貨取引を締め出す動きをしましたので、今は日本です。日本政府は仮想通貨取引を締め出すことはせず、昨年から仮想通貨交換業者を認可制にしました(コインチェックは申請中だったことも問題になっていますが)。正式に「貨幣である」とも認めました。世界に先駆けてです。つまり政府が監視をしながらも、適正に市場を守っていこうという姿勢が見え隠れします。ここからは私の妄想ですが、産業革命から続いた産業が衰退した際に金融大国として復活したイギリスよろしく、日本は仮想通貨大国として君臨するという狙いがあるのではないでしょうか。
仮想通貨に批判的な方の理由の一つとして、「そんな価値のないものに値がつくわけがない」というものがあります。私はこれには反対です。貨幣の歴史でいいますと、もともと貨幣は物々交換の時代に、「肉一切れと米どれくらいが平等な交換なのか」という尺度として誕生していきました。銅銭1枚が肉一切れと同等で、かつ米ざる1杯分が同等なんですよ、といった感じです。19世紀になると金本位制ができ、政府は金(きん)を保有し、その価値と同額の紙幣を発行しました。紙幣を金の価値で保障するのです。やがて紙幣は金の裏付けがなくとも政府の保障で発行するようになりました。今では紙幣そのものに価値があるとみんな理解しています。
ところで金(きん)って何で価値があるのですか?ピカピカしてきれいだけど、食べれないし、特別何かの材料に重宝されるわけでもないです。紙幣にいたってはただの紙です。つまり貨幣とは万人がその価値を認めるかどうかであって、貨幣そのものが紙であるとかデジタルであるとかは本質的には関係ないのです(偽造や盗難などの安全性の問題は別ですよ)。
金融危機「7年周期説」
2016/06/02 14:58:24 株式投資
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金融危機は7年おきに起こる、という金融危機「7年周期説」というものがあります。かなり影響が大きかったリーマン・ショックは2008年に起きました。リーマン・ショックに前後して、日経平均株価は1万8千円程度から7千円割れにまで暴落しました。実体経済にも相当の影響が出ました。
過去を見てみますと、その7年前の2001年は、ITバブル崩壊と、合わせてアメリカ同時多発テロが起きています。さらには1994年メキシコ通貨危機、1987年ブラックマンデーとさかのぼります。逆に最近では、昨年2015年には中国の景気失速懸念から世界的に株価が暴落しました(チャイナショックとも呼ばれます)。
ここで考えないといけないのは、7年という数字がどうこうではなく、経済は何年かの周期で上がったり下がったりを繰り返している、ということです。アベノミクスによる好景気(?)は、昨年の中国減速でいったんは終息しているとみるべきですし、逆にチャイナショックはアメリカの好景気がある程度打ち消してくれているため、もう少し景気が減速しても、それなりの時期には落ち着く(底を打つ)とみるべきだと思っています。
年金は大丈夫か!?GPIF、7-9月に7.8兆円の損失!
2015/12/01 18:35:54 株式投資
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日本の年金積立金は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関で管理、運用されています。GPIFのホームページによりますと、平成27年9月末現在での運用資産額は約135兆円ですが、7~9月の3か月間で7兆8,000億円以上(!)もの損失を計上しています。
これは、安倍首相が主導した運用改革により株式等の運用比率が高くなっていたところに8月のチャイナショックによる世界的な株安などがあり、大きな運用損が出ました。もっとも、10月以降は株価も大きく戻していますし、長期的には利益は出ているので、これだけをもってすぐに「年金危機」というような状況ではありません。ただ問題は、株式の運用比率を倍程度に引き上げたため、損益の振れ幅が大きくなっているということです。7.8兆円という損失は、リーマンショック時の年間損失額に迫る金額だそうです。
さらにGPIFは、今後「ジャンク債」と呼ばれる海外の低格付け債での運用も行うと発表しております。もしかして、「夏に大負けしたから、ハイリスクハイリターンの運用で取り返す」みたいな、頭に血が上った運用になってませんよね!?まさかとは思いますが・・・
根本的な問題として、株式運用が「長期的な運用」に適しているのか?という問題があります。世界的に経済が安定して成長しているわけではない状況では、長期間株式を持ち続ける、ということ自体がかなりの(暴落などの)リスクを伴うことになります。大事な年金資金を、株高演出の政治利用にされないことを願うばかりです。
ついに出た!トヨタの「元本保証株」
2015/06/17 11:02:34 株式投資
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トヨタ自動車の6月16日の株主総会で、「AA型種類株式」の発行が承認されました。内容は画期的な、まさに「元本保証」される株式となりそうです。
発行価格は普通株式より2割高くし、配当金は年利0.5%~2.5%で、5年間は売却できないが、5年経てば普通株式と1:1で転換するか、発行価格でトヨタに買い取ってもらうか選択できる、というものです。
つまり、5年後に株価が現在の1.2倍以上になっていれば普通株式に転換して値上がり益を得ることができ、それ以下の株価であれば発行価格で買い取ってもらうことで元本が事実上保証されます。
これは、会社自体によほど安全性、資金力、成長性に自信がないと発行できないわけですが、純利益2兆円をたたきだすトヨタなら「ありかな」と思う方も多いと思います。日本国債5年ものの利率が0.12%前後ですから、魅力的な運用資産であることには間違いありません。
「投資」と「投機」と「ギャンブル」の違い
2015/03/01 14:36:24 株式投資
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日経平均がとうとう18,000円を突破して参りました。第三の矢はなかなか飛んでこないように思いますが、円安、アメリカ経済の好調、そして日銀金融緩和と年金資金等の買い支えにより株式市場は好況のようです。
NISAなども始まっており、資産運用の一環としての株式投資を始める方も増えてきておりますが、一方で「株は怖い」「株で借金して身を滅ぼす」といったイメージが根強く残っているのも事実だと思います。
私は「ぜひ株を始めて下さい」とお勧めする気はありませんが、「投資」「投機」「ギャンブル」の3つの違いを理解することによって、少なくとも株式投資で借金を抱えるようなことはなくなると思います。
「投資」とは会社の未来の業績UPにより株式価値の上がることを期待して株を買うことで、まっとうな経済活動であると思います。ただし株価というのは業績に連動しているわけでは必ずしもなく、話題性、需要と供給のバランス、特定資金の介入など、複数の要素が絡み合っておるところが悩ましいところです。
「ギャンブル」とは、上がるか下がるか、丁半ばくちのような感覚で株を買うことです。「ここまで下がったら損切りする」というようなリスク管理もなく、することといえば「上がれ」と祈ることだけです。これでは一度二度は利益が出せても、長い目で見れば必ず損をすることでしょう。
「投機」とは、いわば「市場の歪み」を利益に替える行為です。悪い材料が出て市場がパニックになり、あまりにも売られすぎ、というほど株価が下がることがままあります。市場心理が落ち着けば落ち着くべき水準に戻るので、「下がりすぎのところで買い、適正水準に戻ったところで売る」という投資行動により利益が得られます。特に「ギャンブル」と「投機」の違いはよく理解しておく必要があると思います。
「投資」という長期投資と、「投機」という短期投資、そして「ギャンブル」はしない、健全な資産運用ができることを心掛けていきたいですね。